婚約破棄?結構ですわ。公爵令嬢は今日も優雅に生きております

鍛高譚

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第4章 ――貴族令嬢と王室の来訪――

18話

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次なるステージへ

 王室の使者が去り、屋敷の空気は緊張から解放されて穏やかになった。私は急ぎ足で自室へ戻り、マーガレットと打ち合わせをする。どの商人たちに声をかけるか、ぶどう園にはどんな試作品があるか、市場で知り合ったパン屋さんは協力してくれるか――考えることが山ほどある。

「お嬢様、本当にいいのですね? 晩餐会といえば、今度こそ王太子殿下とも顔を合わせることに……」

 マーガレットが申し訳なさそうに言う。しかし、私は笑って首を振る。

「いいのよ、そんなの。別に何を言われても気にしないわ。それより大事なのは、このチャンスを活かして私たちの領地をアピールすることだもの。復讐? 見返し? そんなの面倒だわ。私はただ、自分の楽しいことをやりたいだけ」

「お嬢様……そうでしたね。うふふ、私たちはお嬢様の味方です。全力でお手伝いさせていただきますわ」

 マーガレットの力強い言葉に、私も自然と頬が緩む。そうだ、私はもう王子の許嫁ではないし、誰からの束縛も受けない。自由を得た公爵令嬢として、領地を盛り上げ、自分も楽しめる道を歩んでいる――それこそが最高の生き方ではないだろうか。
 机に向かい、さらさらとノートにアイデアを書き込む。どんな商品を出すのか、王宮の晩餐会でどうやって試食してもらうのか、試作品のクオリティやコストはどうするか。頭の中はやるべきことでいっぱいだが、不思議と苦痛には感じない。それどころか、何かに情熱を注げることが嬉しいのだ。

「ワインの話がまとまったし、次はジュースとパン、そして新しいスパイス料理にも挑戦してみたい。あとは布地や刺繍品も……。やることが山ほどあるわね」

 自分でも呆れるほど、多くの企画が浮かんでくる。前世では“仕事=苦痛”だったのに、この世界での“活動”はやりがいと楽しさに満ちているから不思議だ。もちろん、上手くいかないこともあるだろうが、失敗したら失敗したで勉強になる。私はそんなポジティブな気持ちを抱きながら、さらなる計画を練り続ける。
 こうして第4章は幕を閉じる。アーデルハイド公爵家は、30年熟成ワインの正式な提供契約を結び、国王陛下が主催する晩餐会で大いに注目を集めることがほぼ確定した。そこに便乗する形で、レイラは領地の新たな特産品を売り込む小さな企画を立ち上げる。
 果たして晩餐会当日、王太子や周囲の貴族たちはどのような反応を見せるのか――そして、レイラが推し進める“領地の新プロジェクト”は成功を収めるのか。婚約破棄など意に介さず、邁進し続ける彼女の物語は、さらに勢いを増していくことだろう。
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