白い結婚のはずが、騎士様の独占欲が強すぎます! すれ違いから始まる溺愛逆転劇

鍛高譚

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第22話 噂の拡散/リオナの孤立

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第22話 噂の拡散/リオナの孤立

翌朝。
学院に足を踏み入れた瞬間、リオナは胸の奥がざわついた。

(……なんか、空気が変……?)

廊下を歩けば、左右から小声が飛んでくる。

「ねえ、あの子がリオナよ」
「昨日カイル様と二人で……だって」
「ほら、あの庶民の子」

リオナはぎこちなく笑って、視線をそらした。
挨拶を返そうとしても、目を合わせてもらえない。

(え……なんで……み、みんな急にそっけなくない?)

教室に入ると、さらにあからさまな反応が返ってきた。

「……あ、リオナだ。行こ」
「うん、別の席に座ろ」

同級生の女子たちは、わざわざ席を移動してしまう。
リオナは机の前で立ち尽くした。

(これ……完全に避けられてるよね……?)

戸惑いが広がるなか、いつも仲良くしてくれていたはずの子でさえ、声をかけてくれない。

「……お、おはよう、エマ……」

勇気を出して声をかけても──

「ごめん、今日……ちょっとカイル様に関係のある人と話したくないの」

淡々とした拒絶だった。

まるで、リオナが“触れてはいけない存在”になったみたいに。

(な、なにこれ……どうして……?)

胸が思わずぎゅっと縮む。


---

◆学院中に広がる「噂」

その頃、廊下のあちこちでは噂がさらに色を変えながら広まっていた。

「リオナって、カイル様を誘惑してるんだって」
「ほら、昨日あの二人、放課後に話してたでしょ?」
「庶民のくせに大胆すぎ」
「しかも、カイル様がリオナの家に通ってるって話まで聞いたわよ」

それは完全なる嘘。
だが──“面白い”という理由だけで、噂は加速した。

ミレイナの取り巻きの少女が、わざと聞こえるように言った。

「まあ……かわいそうに。庶民だと、貴族男性を誘惑するしか手がないのね」

その言葉に周囲がクスクス笑う。

リオナは席に座りながら、指先をぎゅっと握りしめた。

(ひどすぎる……なんでこんな嘘が……?
わ、私そんなことしてないのに……)


---

◆カイルの焦り

午前の授業が終わると同時に、カイルが駆け寄ってきた。

「リオナ、大丈夫!? 朝から様子がおかしいと思ってた」

リオナは無理に笑顔をつくった。

「だ、大丈夫だよ。なんか……みんな、ちょっと距離を置いてるみたいで……」

「“ちょっと”じゃないよ。完全に君を避けてる」

カイルの眉間には深い皺が寄っていた。

(……ミレイナだ。間違いなく)

「リオナ、放課後……いや、今すぐでもいい。話したいんだ」

「えっ!? い、今……?」

「もう見てられない。君がこんな思いをするなんて、許せない」

その強い声に、教室の後ろがざわめく。

「ほら……やっぱり噂どおりじゃん」
「カイル様があんなに庇うなんて……」
「リオナってやっぱり……」

リオナは肩を縮めた。

(こんな……私、どうしたら……)

「リオナ。放課後、裏庭で……必ず話そう」

カイルは真剣な目でそう言い、リオナの返事を待たずに去っていった。


---

◆リオナ、ついに教室にいられなくなる

午後の授業が始まっても、噂は止むどころか加速していた。

「ねえ見て、カイル様の視線、ずっとあっち」
「もう完全に“囲い込まれてる”よね」
「庶民のくせに……」

リオナはついに席から立ち上がった。

(だめ……ここ、いたくない……)

教室を出ると、空気が冷たく感じた。

(みんなが信じてくれない……どうして……?)

孤独がじわじわと胸に広がる。

そこへ──
曲がり角の先で、ミレイナが微笑んでいた。

「まあ、リオナさん。今日はずいぶん元気がないわね?」

その声は、優しさの“仮面”をかぶった毒そのものだった。

リオナは足を止める。

「ミレイナさん……あの、みんなが……」

「大変ね。噂って、怖いものよね」

ミレイナはゆっくりとリオナに近づき、耳元で囁いた。

「でも“庶民が貴族の婚約者候補に媚びる”なんて話、
誰だって信じたくなるものよ」

リオナの心臓が凍りつく。

(これ……ミレイナさんが……?)

ミレイナは優雅に微笑み、告げた。

「あなたには、学院の外の方が似合っているわ。
ここは“身の程をわきまえた人だけ”が居られる場所よ」

そのひと言は、刃だった。

リオナは息を呑み、何も言い返せなかった。

──こうして、リオナの孤立は決定的になった。

しかし。

カイルはミレイナの動きを察していた。
そしてこの日の放課後、彼もまたある“決意”を固めることになる。

それこそが、次の大きな転機の始まりだった。


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