白い結婚のはずが、騎士様の独占欲が強すぎます! すれ違いから始まる溺愛逆転劇

鍛高譚

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第24話 ミレイナとの対峙/カイルの宣言

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第24話 ミレイナとの対峙/カイルの宣言

翌朝。
学院の正面ホールは、不穏な緊張に包まれていた。

女子生徒たちがざわざわと集まり、視線は一点へ向けられている。
その中心に立つのは──ミレイナ・アーデル。

金色の髪を揺らし、完璧な笑みを浮かべながら扇子を広げていた。

「皆さま、昨日の噂、ご存じでしょう?
あの庶民のリオナさんが、カイル様へ“特別な働きかけ”をしているという話」

「まあ……庶民の分際で」
「カイル様を利用して、貴族の立場を得ようとしてるのね」

ミレイナは満足げに頷いた。

「カイル様が迷惑しているのに、困ったものですわ」

と──その瞬間。

ホールの扉が勢いよく開いた。

ガタンッ。

全員の視線がそちらへ向かう。

「……ミレイナ」

低く鋭い声。
声の主は、学院中の女子が憧れる青年──カイル・ノーグレイだった。

その後ろには、少し不安そうにリオナがついてきている。

ミレイナは、途端に優雅な微笑みを取り繕った。

「まあ、カイル様。こんなところでお会いするなんて。
昨日の件は……」

「ミレイナ。話がある」

カイルは真っ直ぐ彼女を見据えた。
まるで一切の逃げ場を与えないような、鋭い視線。

ミレイナの笑みがわずかにひきつる。

「なんでしょう、カイル様?」

カイルは人々の前に立ち、声を張った。

「昨日から学院中で流れている噂──あれは“嘘”だ」

ホールが一気にざわめく。

「嘘……?」
「え、でもリオナが……」
「じゃあ誰が……?」

ミレイナは小さく扇子を震わせた。

「ま、まさか……私を疑っておられるんですの?」

「疑っているのではない。確信している」

静かながら冷たい声だった。

「リオナを貶める噂を流したのは、ミレイナ……君だ」

女子たちが息を呑む。

ミレイナは必死に取り繕う。

「お待ちくださいませ! 私、そんなことするわけ──」

「昨日の放課後。
君が取り巻きの前で“リオナが誘惑している”と話していたのを、僕は聞いた」

ミレイナの顔色が一気に青ざめる。

「そ、それは……その……!」

「さらに言えば、君が直接リオナへ“学院に似合わない”と言ったことも、
リオナの友人から聞いている」

リオナは驚いてカイルを見る。

(……私、言ってないのに……!
カイルくん、そんなところまで……)

「ミレイナ、君の行いは許されない。
身分差を利用して誰かを傷つけるなど、貴族として最も恥ずべき行いだ」

ミレイナは震えながら叫んだ。

「わ、私は……ただ……!
カイル様を、守ろうと……!」

「守る? 君は僕の友人を傷つけただけだ」

はっきりとした言葉だった。

「カイル様……友人……?」

ミレイナは絶句する。

一方、周囲の女子たちはさらにざわめいた。

「カイル様が“友人”ってはっきり言った……」
「あの庶民の子と……?」

リオナは真っ赤になって俯いた。

(とも、友人……!
そんな……嬉しすぎ……る……)

カイルは一歩前に出た。

「そして──今日、ここで宣言する」

ミレイナは息を呑む。

「何を……?」

カイルはリオナの横に立ち、彼女を守るように前へ出て言い放った。

「僕は、リオナを守る。
彼女に対する不当な噂や嫌がらせは、すべて僕が責任をもって止めさせる」

ホールが揺れるほどのざわめきが起きた。

「守る……?」
「え……これって……」
「カイル様、そこまで……?」

ミレイナは唇を噛みしめ、震える声で叫んだ。

「どうして……どうしてそんな庶民なんか……!」

カイルは静かに言った。

「身分など関係ない。
僕は……リオナの心を大切にしたいと思ったからだ」

リオナの心臓が跳ねあがる。

(か、カイルくん……っ……!?)

ミレイナはその場に崩れ落ちた。

「いや……いやよ……こんなの……!」

カイルはリオナの手をそっと引いた。

「リオナ、行こう」

「……う、うん……」

二人がホールを去るとき。
まわりの視線は恐る恐るリオナを見つめていた。

その視線は、昨日までの“軽蔑”や“憶測”ではない。

──“彼女は、カイルに選ばれた存在だ”

という混乱した敬意だった。

しかし、その一方で。

ミレイナの瞳には、燃えるような憎悪が宿っていた。

(リオナ……絶対に許さない……
あなたなんかに、何も奪わせない……!)

そして、彼女の背後には──
事態をさらに悪化させる「陰の勢力」が既に動き始めていた。
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