白い結婚のはずが、騎士様の独占欲が強すぎます! すれ違いから始まる溺愛逆転劇

鍛高譚

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第30話 リオナへの再攻撃/影から迫る危機

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第30話 リオナへの再攻撃/影から迫る危機

翌日。
リオナは、昨夜ほとんど眠れなかった。

森のアレン。
その目に宿っていた狂気。
そしてミレイナの敵意。

思い出すたび、胸の奥が冷たくなる。

それでも、休むわけにはいかなかった。
逃げ続ければ、カイルに迷惑をかけてしまう。
そう思って、なんとか足を動かした。

学院の門が見える。

(大丈夫……今日はカイルくんが一緒に教室まで行ってくれるって……
だから、怖くない……)

自分に言い聞かせながら学院へ入ると、
周囲の視線が再び集まった。

しかし昨日までの露骨な嘲りは少し影を潜め、
代わりにざわめきと動揺が混ざっている。

「見た? リオナさん、昨日カイル様と帰ってたのよ」
「森から一緒に……まさか、本当に……?」
「ミレイナ様、相当怒ってたって聞いたわ」
「アレンも昨日の放課後から姿を見てないんでしょ? なんか怖くない…?」

噂はより複雑に、重苦しくなっていた。


---

ミレイナの仕掛けた新たな罠

教室に入ったリオナは、思わず立ち止まった。

机の上に──
封筒が置いてある。

白紙の封筒。
宛名はない。
だが、置かれているのはリオナの席。

(……また誰かの嫌がらせ……?)

震える手で封筒を開く。

中には、一枚の紙。

そこには乱雑な字で、こう書かれていた。

「校舎裏へ来て。
話がある。
誰にも知られるな」

リオナは息を呑んだ。

(これ……誰が……?
もしかして……またアレンくん……?)

嫌な汗が背中を伝う。

そこへ──
ミレイナの取り巻きが教室の前方で声を上げた。

「リオナさん? 何か拾ったの?」

全員の視線が向いてくる。

リオナはとっさに紙を隠し、笑顔を作った。

「な、なんでもないよ」

しかし、その返答を聞いた取り巻きたちが、
にんまりと意味深な笑みを浮かべた。

(……やっぱり、この手紙……)

ミレイナが書かせたものだ。

リオナは胸を押さえた。

(行っちゃだめだ……絶対に罠だ……)

そう思った瞬間、背後から声がした。

「リオナ」

「ひゃっ……!」

思わず振り返る。

「お、驚きすぎだろ……僕だよ」

カイルが心配そうに見ていた。

「カイルくん……!」

涙がにじみそうになるのをこらえる。

カイルは近づき、そっと問う。

「さっきの封筒、何?」

リオナは、隠し続けるのが苦しくて、小さく呟いた。

「……校舎裏に来てって……書いて、あったの……」

カイルの表情が険しくなる。

「見せて」

リオナはそっと紙を差し出した。

カイルは読み、深く息をついた。

「やっぱり……ミレイナか、アレンか……そのどちらかだ」

「ど、どうしよう……?」

「行かなくていい。
いや、行かせるわけがない。
リオナはここにいて」

その声は低く、明確な拒絶だった。

リオナの胸は少しあたたかくなった。

しかし──
この時点で、すでに別の動きが始まっていた。


---

校舎裏の罠

その頃、校舎裏。

取り巻きの一人が焦りながらミレイナへ報告していた。

「ミ、ミレイナ様……リオナさん、まだ来ませんわ!」

ミレイナは扇子を閉じ、舌打ちした。

「どうして来ないのよ……
あの子なら絶対に焦って来ると思ったのに」

取り巻きが怯えたように続ける。

「ま、まさか……カイル様が一緒に……?」

「黙りなさい。
そんなの……困るわ……!」

ミレイナは唇を噛みしめた。

彼女の思惑はこうだった。

リオナを校舎裏へ呼び出し、
泣き崩れる姿を証拠として撮り、
「カイルを惑わせた問題児」として学院へ提出する。

しかし、リオナが来ない。

ミレイナの心がざわつく。

(このままじゃ……カイル様の心は、あの子に奪われたまま……
そんなの……許せない……!)

ミレイナは急ごうとしたが、
そこへ別の取り巻きが叫んだ。

「ミレイナ様っ! だ、誰かが来ます!」

ミレイナは振り返り──

息を呑んだ。

校舎裏へ姿を現したのは、
ミレイナが最も見たくない人物だった。

「ミレイナ。
君がここで何をしているのか、説明してもらおうか」

カイルだった。

ミレイナの顔が真っ青になる。

「カイ……ル様……?」

(終わった……!
見つかった……!)

カイルはゆっくりと歩いてくる。

「君がリオナを呼び出そうとした理由は分かっている。
もう一度言う──
彼女に手を出すな」

ミレイナは震える声で言った。

「ち、違いますわ!
これは、その……ただの……」

カイルの声は氷のように冷たかった。

「君が何を言おうと、リオナへの嫌がらせはもう見逃さない」

ミレイナは、崩れ落ちそうになりながらも叫んだ。

「な、なぜ……どうして……!
どうしてリオナさんなんですの……!
私は……私はずっと……!」

その声は悲鳴に近かった。

カイルの目がわずかに揺れる。

しかし──
それでも答えは変わらない。

「リオナは、君が思っているような弱い子じゃない。
そして、君が思っているよりずっと大切な人だ」

ミレイナは絶望の表情で立ち尽くした。

その時、校舎の影から、
小さな金属音が聞こえた。

カイルは即座に振り返る。

「……誰だ」

しかし姿は見えない。

ただ、冷たい気配だけが残っていた。

その気配に、カイルは確信する。

(アレン……また近くにいる)

リオナを狙う影は、まだ消えていなかった。


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