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その7
しおりを挟む「どうして逃げるのだ!!」
「あっ…!」
テラスから急いで走り出したアデラインだったがヒールを履いた彼女はすぐにエドアルトに捕まった
後ろから回されたエドアルトの腕は逞しく背中に感じる熱にアデラインの顔は真っ赤になった
「話してください…!」
「嫌だ。離したら逃げるだろう」
「ですが!」
「なぜ、逃げるんだ?俺が気に触るようなことをしたか?」
教えてくれ我が妻よ。と耳元で囁かれアデラインは羞恥で死にそうだった
「なあに?もしかしてエドアルトったらアデラインにちゃんと話してないの?」
「ヒルデ叔母様…話とは?」
「ふふ。アデライン。貴方、エドアルトはが私のことを好きだと勘違いしてるわね?」
「あっ…」
優雅にアデラインの元に歩いてきたヒルデからの言葉が図星だった為に赤くなっている顔をさらに赤くして下を俯く
ヒルデはそんなアデラインの様子を見てクスクスと笑っていた
「アデライン、誤解だ。たしかに俺はヒルデ姉のことを大事には思っているが恋愛感情なんてこれっぽっちもない」
エドアルトはアデラインを抱きしめたまま誤解を解くように告げた
「嘘ですわ!だってあの時に「大事な人の力になりたい」と!」
「たしかに大事な人だが…好きな人とは一言も言ってない」
「え?………あっ」
「ふふ。アデラインの早とちりね」
さて、テラスに戻りましょう。昔話をしてあげる。とヒルデの一言で3人は先程までいたテラスに戻っていった
「懐かしいわ。私が18歳でエドアルトはまだ6歳。先王 の日頃の行いに疲れ切ってる私にいつも一輪の花を持って慰めに来てくれていたの」
アデラインの知らないエドアルトの話をヒルデはゆっくりと話始めた
側室の子として生まれたエドアルトを初めてヒルデが拝見したのは12歳の時だった
小さな小さな存在が可愛く、婚約者であった王太子の素行の悪さにこの頃から辟易していたヒルデは王城に上がるたびにエドアルトに会いに行っていた
12歳も年下の義弟に嫉妬する王太子がヒルデが頻繁に義弟の元に行ってるのが耐えられなかったのかある日のこと
側室が王に呼ばれ席を外していたタイミングで王太子はエドアルトのところに無断で来訪し断りを入れる乳母やメイドたちを押し除けエドアルトを外に連れ出した
そしてあろうことか王城の1番端にある花壇の見えにくい垣根の下に乳飲み子であったエドアルトを放置していったのだ
事態に気づいた側室はすぐにエドアルトを捜索させたが何せ連れ出したのが王太子であったために下手に動くこともできず捜索は難航した
周りの大人が焦っているのを王太子は笑いながら見ていた
ひとしきり笑っていたところに鬼の形相をしたヒルデがやってきた
そして無言で王太子の前にたちその頬を力一杯叩き倒したのだ
女性から叩かれるということに驚いた王太子は人目も憚らず泣き喚いた
そしてヒルデがエドアルトの場所を吐け、さもなくばまた叩く。と脅し泣きながらエドアルトを放置した場所に案内した
エドアルトは辺りが暗くなって風も吹いている場所で泣くこともなくスヤスヤと眠っていた
すぐに助け出されたエドアルトだったがついぞ、起きることなくスヤスヤと眠っていた
その時にヒルデは確信した
目の前で泣き喚く王太子ではなくエドアルトこそが王たる器である、と
それからヒルデは時間があればエドアルトの元へ通い、自分が学び得た知識を少しずつエドアルトに教え込んだ
そして月日が流れヒルデ18歳、エドアルト6歳の時に婚約破棄騒動が起きた
王城を後にするヒルデの元に目元を赤く腫らしたエドアルトが走り寄ってきた
ヒルデはしゃがみ込みエドアルトをぎゅっと抱きしめた
「私はここから去ります。隣国で私の愛する方と生きるのです。エドアルト。貴方にもきっとそんな人と出会えるわ。それまで何があっても耐え抜いて。諦めてはダメよ」
そうエドアルトに言い残しヒルデは隣国へと旅立った
そうして穏やかな日々を送っていたヒルデの元に双子の弟から双子の子供が生まれたと知らせが入った
喜びに溢れたヒルデはすぐさまレプシウス公爵家に戻り生まれたばかりの双子の子供を愛でていた
特にアデラインと名付けられた女の子は髪の色から目の色彩までもが自分に似ていたこともある殊更可愛がった
ヒルデが帰省していることと、レプシウス公爵家の後継生誕の祝いを込めて王室からはエドアルトが使者として公爵家に来訪した
当時の国王が自分が行くと言い出したがそれをレプシウス公爵がねじ伏せたのは内緒話だ
久方ぶりに会ったエドアルトは少し身長が伸びていた
「エドアルト。いえレノー大公ですわね。こちらが私の姪になるアデラインですわ」
「わぁ…!!」
ヒルデの腕の中でスヤスヤと眠るアデラインをみたエドアルトは感嘆の声をあげた
そしてエドアルトが発した次の言葉にその場にいた大人全員が度肝を抜かれた
「ヒルデ姉!この子を僕のお嫁さんにする!」
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