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026 言いたいことはハッキリと
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「なぜそこまでルカに構う? 気を引きたいのか?」
静かだが、公爵のその言葉には怒りが含まれているように感じた。
「そうですね」
だから私もきっぱりと言葉を返す。
「今更そんなことをしても……」
「勘違いなさっているようなのでハッキリ言いますが、私が気を引きたいのは、ルカのですよ」
「は?」
公爵は自分の気を私が引きたいのだとでも思ったのだろう。
やや間の抜けた声を上げる。
しかしそんな彼の反応に対し、後ろの二人はなぜか深くため息を吐いていた。
まったく今更なのはどっちよ。
まだ私の気が自分にあると、本気で思っていたのかしら。
「しかし君は」
「そうですね。私は確かにアッシュ様をお慕いしていました。父が再びあなたへの褒賞をと言った時、私はこれはチャンスだと思いました」
そう。
父である王にとって、公爵家は目の上のたんこぶのような存在。
一度目の褒賞は、公爵に押し付けたルカの母だった。
褒賞という手前、断ることも出来ず、かといって愛のない結婚を父によって強いられた二人。
しかしルカの母親は計算高く狡猾な人で、ルカを産んだことでお役御免だとばかりにすべて捨てて逃げたのだ。
そして二度目の褒賞。
それを言い出した時、ビオラはチャンスだと思った。
自分が愛した人と結婚出来て、かつ彼を父から解放させてあげられると。
だけど結果はこれだ。
ビオラは誰にも相手にされず、孤独のまま消えてしまった。
私はあくまでも彼女の代わりというか、消えてしまったあとに残っていた者でしかない。
それなのに、愛情なんてあるわけがないじゃない。
「私と結婚すれば、父からあなたを解放出来ると思ったのは確かです。お慕いしていたからこそ……。打算と言えば、そうなのでしょう。ですが、それだけです」
「それだけ……。では、なぜ今度はルカに固執する」
「ルカの境遇は私に似ているから。私が欲しいものは、本当の家族です。それがない同士なら、家族になれるかなって思ったのですが、いけませんでしたか?」
「……」
それにあの純粋な笑顔を見ていると思う。
ルカを闇落ちなんてさせたくない。
彼が幸せな主人公になれたら、過去の私もビオラも報われるんじゃないかなって。
それこそ自己満足でしかなくて、まぁ、打算よね。
でもいいんだ。
ルカが笑ってくれたら、私はそれだけで幸せな気分になれるから。
「ですので、今後私には気を遣ってくださらなくとも結構です。それに逆に聞きますが、ルカに教育や何かとおっしゃるのは、それこそ建前ですよね?」
「そんなつもりはない」
「今まで関心もなく、関わってもこなかったのにですか?」
「それは……」
公爵にとって、この質問が不快なことなど知っている。
別にこの人だって、好きでルカを遠ざけていたのではない。
前妻を思い出すからでしょう、きっと。
愛などない結婚って聞いていたけど、結局はそういうことはしたわけだし。
私へなんかよりは、彼女には情はあったんでしょうね。
なんだろう。
私がイラっとしても仕方ないのに、イラっとするわ。この感情はビオラのものかしら。そうね、きっとそうだわ。だって私はこの人になんて、少しの興味もないもの。
「ともかく今はルカと家族になれるよう努力するだけです。ですのでアッシュ様は今まで通りでかまいませんから、お気になさらず」
私はにこやかにそう言いながら微笑むと、それ以上は口を開かず黙々と食事を終えた。
静かだが、公爵のその言葉には怒りが含まれているように感じた。
「そうですね」
だから私もきっぱりと言葉を返す。
「今更そんなことをしても……」
「勘違いなさっているようなのでハッキリ言いますが、私が気を引きたいのは、ルカのですよ」
「は?」
公爵は自分の気を私が引きたいのだとでも思ったのだろう。
やや間の抜けた声を上げる。
しかしそんな彼の反応に対し、後ろの二人はなぜか深くため息を吐いていた。
まったく今更なのはどっちよ。
まだ私の気が自分にあると、本気で思っていたのかしら。
「しかし君は」
「そうですね。私は確かにアッシュ様をお慕いしていました。父が再びあなたへの褒賞をと言った時、私はこれはチャンスだと思いました」
そう。
父である王にとって、公爵家は目の上のたんこぶのような存在。
一度目の褒賞は、公爵に押し付けたルカの母だった。
褒賞という手前、断ることも出来ず、かといって愛のない結婚を父によって強いられた二人。
しかしルカの母親は計算高く狡猾な人で、ルカを産んだことでお役御免だとばかりにすべて捨てて逃げたのだ。
そして二度目の褒賞。
それを言い出した時、ビオラはチャンスだと思った。
自分が愛した人と結婚出来て、かつ彼を父から解放させてあげられると。
だけど結果はこれだ。
ビオラは誰にも相手にされず、孤独のまま消えてしまった。
私はあくまでも彼女の代わりというか、消えてしまったあとに残っていた者でしかない。
それなのに、愛情なんてあるわけがないじゃない。
「私と結婚すれば、父からあなたを解放出来ると思ったのは確かです。お慕いしていたからこそ……。打算と言えば、そうなのでしょう。ですが、それだけです」
「それだけ……。では、なぜ今度はルカに固執する」
「ルカの境遇は私に似ているから。私が欲しいものは、本当の家族です。それがない同士なら、家族になれるかなって思ったのですが、いけませんでしたか?」
「……」
それにあの純粋な笑顔を見ていると思う。
ルカを闇落ちなんてさせたくない。
彼が幸せな主人公になれたら、過去の私もビオラも報われるんじゃないかなって。
それこそ自己満足でしかなくて、まぁ、打算よね。
でもいいんだ。
ルカが笑ってくれたら、私はそれだけで幸せな気分になれるから。
「ですので、今後私には気を遣ってくださらなくとも結構です。それに逆に聞きますが、ルカに教育や何かとおっしゃるのは、それこそ建前ですよね?」
「そんなつもりはない」
「今まで関心もなく、関わってもこなかったのにですか?」
「それは……」
公爵にとって、この質問が不快なことなど知っている。
別にこの人だって、好きでルカを遠ざけていたのではない。
前妻を思い出すからでしょう、きっと。
愛などない結婚って聞いていたけど、結局はそういうことはしたわけだし。
私へなんかよりは、彼女には情はあったんでしょうね。
なんだろう。
私がイラっとしても仕方ないのに、イラっとするわ。この感情はビオラのものかしら。そうね、きっとそうだわ。だって私はこの人になんて、少しの興味もないもの。
「ともかく今はルカと家族になれるよう努力するだけです。ですのでアッシュ様は今まで通りでかまいませんから、お気になさらず」
私はにこやかにそう言いながら微笑むと、それ以上は口を開かず黙々と食事を終えた。
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