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044 まさかのキャスト
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「ビオラ様のところはそれでも良いとして、フィリア様のところはどうなんです?」
「そうそう。確かソニア様の子どもと同じ年でしたわよね」
良いとしてって、何目線だ、これは。先輩ママ目線とか?
やだ、ママ友ってこんな感じなの?
マウント合戦とか、すごく嫌なんだけど。
うわーとか言わなかっただけ、褒めてもらいたいくらい。怖すぎるでしょう。
先輩ママなら身分すら関係ないとか、強すぎるわね。私には真似出来ないわね。したくもないけども。
ひとまずそれはあとで言及するにしても、フィリアの子どももルカとも同じ年なのね。出来ればルカと仲良くなってもらいたいけど、どうかな。
急に話を振られたフィリアは、やや困ったようにその眉を顰めた。
「うちは……」
「だって旦那様は第二騎士団の騎士団長様なんでしょう? 準男爵だって一代限りですし、学園ででも縁を作って、早く嫁ぎ先を見つけてあげないとあとで困りますわよ」
「そうそう、貴族の婚約はとても早いんですから。うかうかしてたら、大変ですわよ」
嫁ぎ先ってことは、女の子か。だけど、まだたったの四歳でしょう。今からそれ心配することではないし。いくら貴族といえど、早すぎるわ。
しかも、すごく余計なお世話でしかないし。
まったく、この人たちを見ていると、どこかの田舎のお節介おばさんを思い出すわ。
いるのよね。全然関係ないくせに、結婚はまだかとか。嫁行く先はあるのかとか。
ホント、あれは何なのかしら。
言いたいだけ?
言われた方は不快でしかないっていうのに。
「娘はどちらかというと騎士に憧れがあって、中々勉強はまだ難しいかと……」
やや下を向きながら言うフィリアに、三人の口撃は止まらなかった。
女の子なのだからから始まって、そんなことでは嫁になどと終わる。
どこの姑だよと思うほど、結構な勢いで酷い。
ごめん、お節介オバサン超えてたわ。
でも本当にあれね。
この人たちの家には、自分の子どもを嫁とか婿とかにあげるの嫌だって、聞いていた人なら思うと思うわ。だって私なら絶対に嫌だもの。
自分で言ってて、自覚ないのかしら。何で人から言われて嫌だと思うようなことを、こんな風に平気で言うのか、私には全く意味が理解出来ない。
波風は立てないつもりだったけど、ダメね。ここまで言われて黙っていられるほど、私性格良くないのよね。
私は彼女たちに気付かれないようにため息を落とすと、やや俯き気味なフィリアに声をかけた。
「今は女性騎士もいるし、女性王族の護衛などに就く人も多くなったわよね」
私の言葉に、三人はピタリと会話を止める。
「侍女兼護衛みたいな感じで。姉や私のところにも、そういう騎士はいたわ」
「そうなのですね」
「ええ。もちろん外での護衛騎士は男の方だったけど、さすがに部屋にまでってなると男の人ではね。だからこそ、女性騎士はとても重宝されていたわ」
「へ、へぇ。そうなんですね」
たじろぐ三人を無視し、私はフィリアの方を見た。
とりあえず、彼女とだけ話していた方が心が平和ね。
「ねぇフィリア様、お子さんの名前はなんていうの?」
「うちの娘はバイオレッタと申しますわ、ビオラ様」
「まぁ、可愛らしい……名前ね」
その名前を聞いた私は、極力感情を顔に出さないようにした。
バイオレッタ。私はその名前をよく知っている。
めっちゃ、ヒロインちゃんじゃない。
ちょっと、こんな子どもの頃からルカと接触あったってこと?
お話の中では二人が出会うのは成人してからよね。話が早すぎない?
違う。やっぱり話の展開が全然変わってきちゃっているんだ。それもおそらく、私のせいで。
「うちのルカは今四歳なのだけど、仲良くしてもらえるかしら。あの子、お友だちがまだ少なくて」
「ええ、もちろんですわ」
この席で、初めてフィリアの顔が輝いていた。
でも話の展開が本当に変わったのなら、彼女のこともいろいろ気を付けてあげないと。
だってバイオレッタは、本来の話ではルカと出会った時には、すでに天涯孤独だったのだから。
「そうそう。確かソニア様の子どもと同じ年でしたわよね」
良いとしてって、何目線だ、これは。先輩ママ目線とか?
やだ、ママ友ってこんな感じなの?
マウント合戦とか、すごく嫌なんだけど。
うわーとか言わなかっただけ、褒めてもらいたいくらい。怖すぎるでしょう。
先輩ママなら身分すら関係ないとか、強すぎるわね。私には真似出来ないわね。したくもないけども。
ひとまずそれはあとで言及するにしても、フィリアの子どももルカとも同じ年なのね。出来ればルカと仲良くなってもらいたいけど、どうかな。
急に話を振られたフィリアは、やや困ったようにその眉を顰めた。
「うちは……」
「だって旦那様は第二騎士団の騎士団長様なんでしょう? 準男爵だって一代限りですし、学園ででも縁を作って、早く嫁ぎ先を見つけてあげないとあとで困りますわよ」
「そうそう、貴族の婚約はとても早いんですから。うかうかしてたら、大変ですわよ」
嫁ぎ先ってことは、女の子か。だけど、まだたったの四歳でしょう。今からそれ心配することではないし。いくら貴族といえど、早すぎるわ。
しかも、すごく余計なお世話でしかないし。
まったく、この人たちを見ていると、どこかの田舎のお節介おばさんを思い出すわ。
いるのよね。全然関係ないくせに、結婚はまだかとか。嫁行く先はあるのかとか。
ホント、あれは何なのかしら。
言いたいだけ?
言われた方は不快でしかないっていうのに。
「娘はどちらかというと騎士に憧れがあって、中々勉強はまだ難しいかと……」
やや下を向きながら言うフィリアに、三人の口撃は止まらなかった。
女の子なのだからから始まって、そんなことでは嫁になどと終わる。
どこの姑だよと思うほど、結構な勢いで酷い。
ごめん、お節介オバサン超えてたわ。
でも本当にあれね。
この人たちの家には、自分の子どもを嫁とか婿とかにあげるの嫌だって、聞いていた人なら思うと思うわ。だって私なら絶対に嫌だもの。
自分で言ってて、自覚ないのかしら。何で人から言われて嫌だと思うようなことを、こんな風に平気で言うのか、私には全く意味が理解出来ない。
波風は立てないつもりだったけど、ダメね。ここまで言われて黙っていられるほど、私性格良くないのよね。
私は彼女たちに気付かれないようにため息を落とすと、やや俯き気味なフィリアに声をかけた。
「今は女性騎士もいるし、女性王族の護衛などに就く人も多くなったわよね」
私の言葉に、三人はピタリと会話を止める。
「侍女兼護衛みたいな感じで。姉や私のところにも、そういう騎士はいたわ」
「そうなのですね」
「ええ。もちろん外での護衛騎士は男の方だったけど、さすがに部屋にまでってなると男の人ではね。だからこそ、女性騎士はとても重宝されていたわ」
「へ、へぇ。そうなんですね」
たじろぐ三人を無視し、私はフィリアの方を見た。
とりあえず、彼女とだけ話していた方が心が平和ね。
「ねぇフィリア様、お子さんの名前はなんていうの?」
「うちの娘はバイオレッタと申しますわ、ビオラ様」
「まぁ、可愛らしい……名前ね」
その名前を聞いた私は、極力感情を顔に出さないようにした。
バイオレッタ。私はその名前をよく知っている。
めっちゃ、ヒロインちゃんじゃない。
ちょっと、こんな子どもの頃からルカと接触あったってこと?
お話の中では二人が出会うのは成人してからよね。話が早すぎない?
違う。やっぱり話の展開が全然変わってきちゃっているんだ。それもおそらく、私のせいで。
「うちのルカは今四歳なのだけど、仲良くしてもらえるかしら。あの子、お友だちがまだ少なくて」
「ええ、もちろんですわ」
この席で、初めてフィリアの顔が輝いていた。
でも話の展開が本当に変わったのなら、彼女のこともいろいろ気を付けてあげないと。
だってバイオレッタは、本来の話ではルカと出会った時には、すでに天涯孤独だったのだから。
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