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042 まさかの接触
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ダミアンとの接触を避けるため、馬車は屋敷の裏手に回してもらった。
御者にお礼を言うと、いただいたお菓子を持って屋敷に入る。
エントランスに出迎えてくれる人は誰もいない。
目立つことがないように、ミーアたちにはいつも通り清掃を頼んでおいたのだ。
部屋に持っていって、夜にでもみんなで食べればいいわね。
何もかもうまく行っていることに、浮足立っていた。
「どこに行っていたんだい、アンリエッタ」
「ダミアン様」
その声は急だった。
エントランス階段の上から、ダミアンが私に声をかけてきたのだ。
今日は出かけているとマリアンヌから聞いていたのに。
どうやら、もう帰宅していたらしい。
まさかこんなとこで鉢合わせするなんて思わなかったわ。
公爵家の馬車は見られていないはずだけど、詮索されても困るから警戒しなきゃ。
「今日は実家に一度戻ったあと、父の紹介で少し出かけていました」
「ふーん。相手は貴族かな?」
そう言いながらダミアンはゆっくり階段を下りてくる。
その表情は明らかに私の行動を疑っているようだった。
まさか浮気を疑っているとは思わないけど、この人は自分にやましいことがあるから余計に私の行動が気になるのかもしれないわね。
「ええ、そうですね。商会の新しい取引先ということで紹介されました」
「そいつの身分は?」
「私はお飾りとして出席しただけなので、あれですが。確か子爵様だったかと」
ニカが、だけどね。
まさか公爵家に単独で行ったなんて絶対に言えないし。
「ふうん。君でもそんなマトモな格好をするとマシに見えるもんだな」
近づいてきたダミアンは、私の肩に触れた。
そして上から下まで、撫でまわすように私を見ている。
触られた肩から全身に、ゾワリという気持ち悪さが駆け抜けていく。
なんだろう。
さっきブレイズに触れられた時には嫌悪感なんてなかったのに。
仮にもこの人は私の夫なのよ。
絶対にそういうことは起こらないって思っていたけど、普通だったら起こらない方がおかしかったのよね。
過去と状況が変わったんだし、どうしてそういうこともあるかもって警戒しなかったのかしら。
「そうでしょうか」
「ああ。そのドレスは、すごく似合っているよ」
「……ありがとうございます」
「きっと向こうの男も君のことを褒めただろうね」
「まさか。父の手前、お世辞くらいですわ」
「まぁ、それはいいか。僕の妻が元平民であろうと、美しいことはいいことさ。だが、このネックレスが気に入らないな」
ダミアンはそう言いながら、胸元にかかるネックレスに指をかけた。
赤い石、どうやらそれが気に食わないらしい。
確か恋人に自分の瞳の色と同じ石の宝石が付いた装飾品を送るというのを聞いたことがある。
その話が合っているとすれば、私はダミアンの瞳の色の宝石を付けるべきなのだろう。
緑がたった茶色の石のものを。
「これは友人からの頂き物ですので」
「でも夫への従順を示すのならば、分かるだろう?」
「……」
お金だって私に与えたこともないくせに、よく言うわ。
こんなもの一つ買うお金すら私にはないのよ。
それにこれは、マリアンヌが私のために用意してくれたものなのに。
だんだんとダミアンに触れられる恐怖よりも、怒りがこみ上げてくる。
この人は何の目的で私に触れているのかしら。
ここには離れとはいえ、マリアンヌがいるのよ。
あなたが最愛だと言って縛り付けている、彼女が。
それなのにこんなことをするだなんて……。
御者にお礼を言うと、いただいたお菓子を持って屋敷に入る。
エントランスに出迎えてくれる人は誰もいない。
目立つことがないように、ミーアたちにはいつも通り清掃を頼んでおいたのだ。
部屋に持っていって、夜にでもみんなで食べればいいわね。
何もかもうまく行っていることに、浮足立っていた。
「どこに行っていたんだい、アンリエッタ」
「ダミアン様」
その声は急だった。
エントランス階段の上から、ダミアンが私に声をかけてきたのだ。
今日は出かけているとマリアンヌから聞いていたのに。
どうやら、もう帰宅していたらしい。
まさかこんなとこで鉢合わせするなんて思わなかったわ。
公爵家の馬車は見られていないはずだけど、詮索されても困るから警戒しなきゃ。
「今日は実家に一度戻ったあと、父の紹介で少し出かけていました」
「ふーん。相手は貴族かな?」
そう言いながらダミアンはゆっくり階段を下りてくる。
その表情は明らかに私の行動を疑っているようだった。
まさか浮気を疑っているとは思わないけど、この人は自分にやましいことがあるから余計に私の行動が気になるのかもしれないわね。
「ええ、そうですね。商会の新しい取引先ということで紹介されました」
「そいつの身分は?」
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ニカが、だけどね。
まさか公爵家に単独で行ったなんて絶対に言えないし。
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近づいてきたダミアンは、私の肩に触れた。
そして上から下まで、撫でまわすように私を見ている。
触られた肩から全身に、ゾワリという気持ち悪さが駆け抜けていく。
なんだろう。
さっきブレイズに触れられた時には嫌悪感なんてなかったのに。
仮にもこの人は私の夫なのよ。
絶対にそういうことは起こらないって思っていたけど、普通だったら起こらない方がおかしかったのよね。
過去と状況が変わったんだし、どうしてそういうこともあるかもって警戒しなかったのかしら。
「そうでしょうか」
「ああ。そのドレスは、すごく似合っているよ」
「……ありがとうございます」
「きっと向こうの男も君のことを褒めただろうね」
「まさか。父の手前、お世辞くらいですわ」
「まぁ、それはいいか。僕の妻が元平民であろうと、美しいことはいいことさ。だが、このネックレスが気に入らないな」
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赤い石、どうやらそれが気に食わないらしい。
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「……」
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だんだんとダミアンに触れられる恐怖よりも、怒りがこみ上げてくる。
この人は何の目的で私に触れているのかしら。
ここには離れとはいえ、マリアンヌがいるのよ。
あなたが最愛だと言って縛り付けている、彼女が。
それなのにこんなことをするだなんて……。
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