悪役令嬢、冤罪で一度命を落とすも今度はモフモフと一緒に幸せをつかむ

Blue

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転生者

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「はい?」
ラファエロ殿下の質問の意図が理解できずにいると
「同じ歳だし、気が合ったりするのかと思ったのだが」
そう言われた。

「第二王子殿下とはまだお会いしたことはありません」
ラファエロ殿下が驚いた顔をしていた。
「そうか、まだ会っていなかったか……ああ、あの茶会に参加していないからか」
なにやらブツブツと一人でお話されている。そして、何かを納得したように頷いた。
「よし、これからも私と仲良くしよう、リーザ」



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 俺は所謂転生者というやつだ。時間が逆行する少し前、エリーザ・オリヴィエーロという令嬢が死んだと聞いた時に、急に頭の中に前世の記憶が押し寄せてきた。

そして俺はこの世界の事を良く知っていた。前世で妹が散々やっていたゲームの世界だったのだ。両親共に共働きで不在がちだった我が家。俺は必然的に妹の面倒を見なければいけないので妹と過ごす時間が多かった。途中からは俺が面倒を見てもらっていたが。妹は友達に勧められて始めたゲームにがっつりハマり、俺によく助言を求めてきた。

ゲームの題名までは記憶していないが、登場人物はよく覚えていた。だから自分がその攻略対象者の一人になっていることを知って死ぬほど嫌な気持ちになった。

俺はそのゲームの主人公、ヒロインと言われるキャラクターが嫌いだった。悪役令嬢からの嫌がらせにも耐え、健気に頑張る主人公?笑わせるな。本当に耐える気があるなら隠し通すだろう。随所随所で、いじめられている自分をアピールしてる奴を健気とは言わない。

しかも、2周目以降に攻略が可能になる俺、第一王子のときなんかは、他の三人の攻略対象者全てと、一定以上好感度を上げなくては攻略できない事になっている。つまりは本命と対峙する前に、他の男たちとイチャコラするという事だ。

普通に考えてそんな女を好きになるか?って話だ。聖女という名の阿婆擦れだぞ。

 実物のヒロインを見た時には驚愕した。嬉々として阿婆擦れを楽しんでいたからだ。弟である第二王子と婚約すると聞いていたのに、陰でコソコソと宰相の息子と逢引きしているのを目撃。アホか。

しかもゲームでは、悪役令嬢として存在していたエリーザの最後は国外追放で終わるはずなのに、俺の側近だったチェーザレも死ぬなどというシナリオはなかったはずなのに。何かがおかしかった。あんな惨い死に方をするなんてあり得ない。

そもそも本当に虐めなんてあったのかも疑問だった。その頃は前世の記憶なんてなかったから気にもしていなかったが、エリーザは嫉妬に狂う程、弟を愛しているとは思えなかったし、そもそもの印象が全く悪役ではなかった。今考えれば、エリーザの方がヒロインのような雰囲気だった。

ゲームの世界と酷似していても、やはり別物なのだと思った時、ならばあのヒロインは正義ではないと、何故か確信を持った。だからこそ調べる事を侯爵と約束したのに、俺は殺されてしまった……はずだった。

 次に目を覚ました時、世界の時間は戻っていた。それも中途半端な時間に。何か意味があっただろうかと必死に思い出して気付いたのは、弟が初めて主催者として行われる茶会にエリーザが参加するという補足で見た話だった。そこでお互いが気に入り婚約者になったはず。そこからやり直すという事は、まさか2周目スタートなのか?

ならば今度は俺を含めて、エリーザもチェーザレも殺させない。元々ゲーム通りではない。現実として起こっているのだから、いくらでも変える事は出来る。そう意気込んでいた矢先、早速予想外の事が起きた。エリーザが倒れてしまい、茶会に参加しなかったという。

それが偶然なのか、必然なのか確かめたくてエリーザに会いに行く事にした。前は遠目から見ただけだったから実際に会うのは初めてだ。目の前で見た彼女は……ヤバかった。12歳であの美貌。窓から差し込む光でキラキラ輝く金の髪。肌は真珠のように乳白色で柔らかくて弾力がありそうだった。鮮やかな紫色の瞳は、これまた光に当たるとキラキラと光を発していた。この世のものとは思えない。こんな美しい人をよく弟は手放す気になったな。俺だったら絶対に手放さない!

だって俺は……彼女に一目惚れしてしまったのだから。

今度は俺が彼女を守り抜く。そう固く決意する。その為にも確認するべきことがある。
彼女は前の事を覚えているのだろうか。俺は弟の事を聞いてみた。前を覚えていたら何かしら反応があると思ったから。しかし彼女はキョトンとした可愛らしい顔でまだ会っていないと言った。どうやら彼女に記憶はないようだ。心底ほっとした。あんな目に遭った事を覚えているなんて辛いに違いないから。

チェーザレにも、彼女が来る前に探りを入れた。どうやら彼は記憶があるようだ。いつかお互いに腹を割って話し合おうと思う。今はまずリーザを自分のものにする為の算段を付けねば。弟には絶対やらない。俺が幸せにしてみせる!
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