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竜に好かれているのは
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アリアンナに見つめられたジルヴァーノは大きく溜息を吐く。
「私の幼馴染のピアを覚えておいでですか?」
アリアンナの肩がピクンとなる。先日のデビュタントの舞踏会で会った令嬢だ。自分はジルヴァーノの婚約者だと言っていた。忘れるわけがない。
「ええ……勿論、覚えております」
「彼女が、学園が休暇に入ったからと言って、ロワに会いに来たのです。領地に戻る前に絶対に会いたいんだと言って聞かなくて……」
『そう言えば、舞踏会の時に言っていらしたわね』
あの時の彼女を思い出す。
「しかし、ピアは昔……と言っても2年程前ですが、一度ロワに会っているんです。その時に怯えて泣いてしまって……ロワはそんな彼女を拒絶したんです」
「それは……」
「今日は、ピアの方は大丈夫だったのですが、ロワが……彼女を見た途端拒絶を示すように咆哮をあげたのです」
やはり、アリアンナの聞いた鳴き声は空耳ではなかったのだ。
「そのままここを飛び立ってしまって……釣られるように何頭かの竜たちも飛んでしまうし」
再び大きく溜息を吐いたジルヴァーノ。
『なかなか気苦労が絶えないのね』
そう思ったアリアンナは、なんだか可笑しくなってしまった。人の前では誰よりも強いオーラを発しているジルヴァーノが、竜たちに振り回されている姿を想像するとなかなか楽しい。
「ふっ……ふふふ。ふふふふ」
堪えきれなくて笑ってしまったアリアンナに、ジルヴァーノの片眉が上がる。
「私を馬鹿にしましたね」
「ふふ、ごめんなさい。決して馬鹿にした訳では……ただ、とても強いであろうあなたが竜たちに振り回されている姿を想像してしまって……ふふふふ。ごめんなさい、止まらない。ふふふ」
そんなアリアンナを見て、ジルヴァーノは小さく息を吐く。
「私はあなたにも振り回されているんですがね」
勿論、アリアンナには聞こえない。
「そろそろ笑うのを止めていただけると嬉しいのですがね」
未だ笑い続けるアリアンナを窘めるジルヴァーノ。
「ふふふ、そうよね。ふふ、ごめんなさい」
涙まで流して笑っているアリアンナを、銀の瞳を細めて見るジルヴァーノ。自然と手を伸ばしたジルヴァーノは、アリアンナの青い瞳に浮かんでいる笑い涙を指先で拭った。
「ジル様!ロワが戻ったというのは本当なの?」
その時、事務所と竜舎を繋ぐ扉が大きく開いた。黒い竜たちが唸るような声を出す。
「ピア!?何故勝手に入って来た!?」
ジルヴァーノが威圧的に言うと、ピアは茶色の瞳を潤ませた。
「ごめんなさい。ロワの事が心配で……戻って来たのね、ロワ」
ピアが銀の竜へ近付こうと走り出す。
すると銀の竜は、攫うようにアリアンナを鼻先に乗せ岩山の頂に飛んだ。地面にいた他の竜たちも釣られるように岩山へ飛び、決して人では簡単に登れない高さの所で下りる。
「ロワ!どうしてアリアンナ様も連れて行くんだ!?」
「え?アリアンナ王女?」
何故王女の名が出てくるのか。ピアが銀の竜を見る。確かに鼻先に一人の女性が乗せられているのが見える。後を追って来た騎士たちは、驚く様子もなく面白そうに笑い出す。
「団長、ロワに姫様取られっぱなしですね」
「姫さまー。大丈夫ですかー?」
騎士たちは暢気にアリアンナに手まで振っている。アリアンナもにこやかに手を振り返した。
「ジル様。あれはどういう事なの?」
ピアが銀の竜とアリアンナを見たまま、ジルヴァーノに問うとジルヴァーノもまた、焦る様子もなく笑いながら答えた。
「はは、どういう訳か、竜たちはアリアンナ様の事をとても気に入っているんだ。初めてここに入った時なんて、ロワ含め皆がアリアンナ様に撫でてもらおうと、彼女を囲んでしまって。止めようとした私と王太子殿下は、ロワたちにつまみ出されてしまった程だ」
「は?どうして?」
「それは誰にもわからない。ただ、アリアンナ様の優しさを竜たちは自然と察知したのではないかと思う」
そう言って銀の瞳を細めながらアリアンナの事を見ているジルヴァーノ。
「なんで?どうして?私はジル様の許嫁よ。ジル様の竜は私の竜であるはずでしょ」
小声で呟いたピアの言葉は、誰にも聞こえる事はなかった。
「私の幼馴染のピアを覚えておいでですか?」
アリアンナの肩がピクンとなる。先日のデビュタントの舞踏会で会った令嬢だ。自分はジルヴァーノの婚約者だと言っていた。忘れるわけがない。
「ええ……勿論、覚えております」
「彼女が、学園が休暇に入ったからと言って、ロワに会いに来たのです。領地に戻る前に絶対に会いたいんだと言って聞かなくて……」
『そう言えば、舞踏会の時に言っていらしたわね』
あの時の彼女を思い出す。
「しかし、ピアは昔……と言っても2年程前ですが、一度ロワに会っているんです。その時に怯えて泣いてしまって……ロワはそんな彼女を拒絶したんです」
「それは……」
「今日は、ピアの方は大丈夫だったのですが、ロワが……彼女を見た途端拒絶を示すように咆哮をあげたのです」
やはり、アリアンナの聞いた鳴き声は空耳ではなかったのだ。
「そのままここを飛び立ってしまって……釣られるように何頭かの竜たちも飛んでしまうし」
再び大きく溜息を吐いたジルヴァーノ。
『なかなか気苦労が絶えないのね』
そう思ったアリアンナは、なんだか可笑しくなってしまった。人の前では誰よりも強いオーラを発しているジルヴァーノが、竜たちに振り回されている姿を想像するとなかなか楽しい。
「ふっ……ふふふ。ふふふふ」
堪えきれなくて笑ってしまったアリアンナに、ジルヴァーノの片眉が上がる。
「私を馬鹿にしましたね」
「ふふ、ごめんなさい。決して馬鹿にした訳では……ただ、とても強いであろうあなたが竜たちに振り回されている姿を想像してしまって……ふふふふ。ごめんなさい、止まらない。ふふふ」
そんなアリアンナを見て、ジルヴァーノは小さく息を吐く。
「私はあなたにも振り回されているんですがね」
勿論、アリアンナには聞こえない。
「そろそろ笑うのを止めていただけると嬉しいのですがね」
未だ笑い続けるアリアンナを窘めるジルヴァーノ。
「ふふふ、そうよね。ふふ、ごめんなさい」
涙まで流して笑っているアリアンナを、銀の瞳を細めて見るジルヴァーノ。自然と手を伸ばしたジルヴァーノは、アリアンナの青い瞳に浮かんでいる笑い涙を指先で拭った。
「ジル様!ロワが戻ったというのは本当なの?」
その時、事務所と竜舎を繋ぐ扉が大きく開いた。黒い竜たちが唸るような声を出す。
「ピア!?何故勝手に入って来た!?」
ジルヴァーノが威圧的に言うと、ピアは茶色の瞳を潤ませた。
「ごめんなさい。ロワの事が心配で……戻って来たのね、ロワ」
ピアが銀の竜へ近付こうと走り出す。
すると銀の竜は、攫うようにアリアンナを鼻先に乗せ岩山の頂に飛んだ。地面にいた他の竜たちも釣られるように岩山へ飛び、決して人では簡単に登れない高さの所で下りる。
「ロワ!どうしてアリアンナ様も連れて行くんだ!?」
「え?アリアンナ王女?」
何故王女の名が出てくるのか。ピアが銀の竜を見る。確かに鼻先に一人の女性が乗せられているのが見える。後を追って来た騎士たちは、驚く様子もなく面白そうに笑い出す。
「団長、ロワに姫様取られっぱなしですね」
「姫さまー。大丈夫ですかー?」
騎士たちは暢気にアリアンナに手まで振っている。アリアンナもにこやかに手を振り返した。
「ジル様。あれはどういう事なの?」
ピアが銀の竜とアリアンナを見たまま、ジルヴァーノに問うとジルヴァーノもまた、焦る様子もなく笑いながら答えた。
「はは、どういう訳か、竜たちはアリアンナ様の事をとても気に入っているんだ。初めてここに入った時なんて、ロワ含め皆がアリアンナ様に撫でてもらおうと、彼女を囲んでしまって。止めようとした私と王太子殿下は、ロワたちにつまみ出されてしまった程だ」
「は?どうして?」
「それは誰にもわからない。ただ、アリアンナ様の優しさを竜たちは自然と察知したのではないかと思う」
そう言って銀の瞳を細めながらアリアンナの事を見ているジルヴァーノ。
「なんで?どうして?私はジル様の許嫁よ。ジル様の竜は私の竜であるはずでしょ」
小声で呟いたピアの言葉は、誰にも聞こえる事はなかった。
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