元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち

せいめ

文字の大きさ
55 / 161
マリーベル編〜楽しく長生きしたい私

想像と違う悪役令嬢

しおりを挟む
 次の日、レジーナ達と寮を出て、校舎に入ろうとすると、校舎入口に義兄がいる。丁度良かった!義兄の持っている、あのボロボロノートを返して欲しいのよ。今後の為に証拠品として手元に置いておきたい。うーん、何で言おうか?と考えていると、

「マリー、待っていたよ。一緒に行こう。」

 えっ?待ってたの?私、レジーナ達と一緒に来てるのに。

「お兄様、わざわざ待っていて下さるなんて申し訳ないですわ。教室で顔を合わせるのですから。それに、友人達も一緒ですし。」

「フォーレス様、私達の事は気になさらないで下さいませ。マリー、せっかく優しいお兄様がお待ちになってくれたのだから、ねぇ?ミッシェル?」

「そうよ。せっかくだから、お兄様と一緒に来なさい。私達は平気だから。」

 ちっ!あの2人、私がドナドナされるところを見たいって言ってたし、楽しんでるな。目が笑ってるわ。腹黒めー!

「お気遣いありがとう。マリー、行くよ。」

 義兄は当たり前のように私の手を拘束じゃなくて、繋ぐ。今日の1日はドナドナから始まるようだ。

 あぁ、周りの視線が痛いわ。義兄は何でこんな事するのかしら。もしかして、義兄はモテるから女避けに私を使ってる?でも義妹では、女避けとしてはそこまで効果は期待できないよね。そこそこ身長が高くて、サラサラのストロベリーブロンドに、綺麗な顔立ちの侯爵令息様は一体何を考えているのかしら。
 その時、私は恐ろしい視線を感じる。ん?誰かに見られているわね。不意に後ろを振り返ると、少し離れて後を歩く令嬢とバチっと目が合ってしまった。あの視線には憎悪が込められているわね。

 ふふっ。もしかして彼女かしら?私の救世主兼、聖女子メンバーが見せしめとして報復することになる令嬢は。
 私が後ろを見ている事に気付いた義兄も、釣られて後ろを振り向く。すると、義兄の表情が氷点下レベルに冷たい表情になる。
 ひぃー、怖いわ!思わず繋いだ手を離そうと引くと、手をぐいっと引っ張られ、腰を抱かれる。何なのよー!兄弟でも近いわ。

「手出ししてはいけない人に、手を出した事を後悔するんだな。」

 怒りを含んだような、冷たく低い声。義兄のこんな声は出会って日は浅いが、初めて聞いた。だから、怖すぎだから。

「アル、どうして私を怒っているの?」

 おおー!悪役令嬢頑張れーー!無意識に応援している私。そして、目をキラキラさせて傍観するレジーナとミッシェル。確実に楽しんでるわね。

「名前を呼ぶな!言わなくても分かるだろう?今までも、他の令嬢に嫌がらせをしていたようだが、何も知らないと思ったか。今回だけは許さないぞ。これ以上何かするなら、家ごと潰される覚悟で来るんだな。」

「本当になんのことやら。酷いですわ。私と貴方は昔からの付き合いなのに。」

 うん!義兄vs悪役令嬢になってしまったわね。しかも、また他の生徒達に注目されてるじゃないの!!今日のところは停戦でお願いします。

「お兄様、こちらの御令嬢はお兄様のお知り合いでしょうか?」

 とりあえず、誰なのか知りたいわね。愛称で呼ばれるくらいの仲だったのかしら?でも、これから頑張って欲しいわ。

 義兄の表情が少しだけ優しくなるが、目は笑ってない。

「知る価値もない人間だから、マリーは気にしなくていいよ。」

 ひぃー。優しいようで、怖いわ。義兄はやっぱり怒らせては駄目な人なのね。私の顔から血の気が引く。

「マリー、朝から見たくもない人間を見たからか、顔色が悪いな。大丈夫か?医務室に行こうか。」

 義兄は私の頬に手を当てながら、心配そうに話す。近いぞ!怖いぞ!

「お、お兄様。私は大丈夫ですから…。き、教室に行きましょう。」

 悪役令嬢の私を見る目が凄いが、それより義兄の目が怖すぎる。そんな義兄にドナドナされ、教室に向かうのであった。
 しかし、あの人が悪役令嬢なの?何と言うか、特別綺麗じゃなかったし、肌荒れしたぽっちゃり令嬢だったわね。てっきり、すごい美人の悪女かと思い込んでいたから、想像と違うのですが。

 教室に入ると、他の聖女子メンバーの腹黒い笑みと、クラスメイトの令息達の何とも言えない視線が痛い。クラスに着いたんだから、手を離そうよ。

「お、お兄様、もう手を離して頂いても?」

「…ああ。マリー、あまり無理をしないで、気分が悪いようなら、私に教えるように。」

 貴方から解放されたので、大丈夫ですとは言えない。

「私は大丈夫ですわ。お兄様、心配掛けて申し訳ありませんでした。」

 ふぅー。朝から疲れたわ。グッタリね。

 そう言えば、私の机はどうなっているかしら?ふふっ。まるで、狩の仕掛けを見に行く気分ね。どれどれ?
 あれ、机が綺麗になっているわね。聖女子メンバーが何かを言いたそうだわ。

「マリー、朝来たら机に落書きがされていたのだけど、それを見たルーベンス先生が綺麗にしてくださったの。少し恐ろしかったけどね。」

 えー、落書き見たかったのに。ルーベンス先生にお礼を言いに行かないとなぁ。
 で、机の中はどうでしょう?ノートは無事ね。全部残っているわ。パクられてないわね。今日は落書きだけかー。ざんねーん!

 朝礼までまだ時間があるから、ルーベンス先生のところに行ってこよう。確か、文系準備室にいるって言ってたわよね。席を立ち上がり、友人達にその事を話すと、念のために3人はついて来てくれるようだが…

「マリー、どこに行くんだ?」

「お、お兄様、ちょっとルーベンス先生のところに行って来ますわ。」

「私も一緒に行こう。」

「大丈夫ですわ。友人達も来てくれるようですし。」

「まぁ、優しいお兄様で羨ましいですわ。マリー、私達は待っているから、フォーレス様と行ってらっしゃいな。」

 登校時のドナドナを見れなかったからって、強引に押し付けたな。エリーゼめ!

 聖女子メンバーは、楽しんでるわね!あの腹黒軍団め!
 また義兄に手を繋がれてドナドナされる私。いい加減、疲れが表情に出てくる。
 ルーベンス先生のところに行くと、昨日、今日と、とても心配してくれたようだ。何となく、こんな事をする生徒は決まっているので、学園でも調査してくれるようだ。ルーベンス先生は相変わらず優しい。子供の頃から知っている先生の顔を見ていると、なんだか安心して涙が。イジメとかじゃなくて、環境の変化で疲れているみたい。
 先生は私が涙を流している姿に驚いているようであったが、慣れない環境の中で、子供の頃から知っている先生の顔を見ると、安心して涙が出てきてしまった事を話すと優しく微笑んで、頭を撫でてくれる。あーあ、こんな優しくて大好きな先生が、攻略対象者だったら嫌だな。
 
 涙が止まり、教室に戻る途中で、

「マリーは、ルーベンス先生が好きなのか?」

「はい。昔から優しくて大好きでした。ルーベンス先生や他の家庭教師の先生方がいたから、両親と離れて寂しくても、頑張ってこれたのです。」

「……そうか。」

 そう。ルーベンス先生と話をしている後ろに義兄もいたのよね。

 毎日それなりに楽しいけど、疲れが溜まってきたわね。









しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。 過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。 そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。 「パパ……私はあなたの娘です」 名乗り出るアンジェラ。 ◇ アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。 この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。 初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。 母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞  🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞 🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇‍♀️

行動あるのみです!

恋愛
※一部タイトル修正しました。 シェリ・オーンジュ公爵令嬢は、長年の婚約者レーヴが想いを寄せる名高い【聖女】と結ばれる為に身を引く決意をする。 自身の我儘のせいで好きでもない相手と婚約させられていたレーヴの為と思った行動。 これが実は勘違いだと、シェリは知らない。

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました

八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます 修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。 その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。 彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。 ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。 一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。 必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。 なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ── そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。 これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。 ※小説家になろうが先行公開です

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

赤貧令嬢の借金返済契約

夏菜しの
恋愛
 大病を患った父の治療費がかさみ膨れ上がる借金。  いよいよ返す見込みが無くなった頃。父より爵位と領地を返還すれば借金は国が肩代わりしてくれると聞かされる。  クリスタは病床の父に代わり爵位を返還する為に一人で王都へ向かった。  王宮の中で会ったのは見た目は良いけど傍若無人な大貴族シリル。  彼は令嬢の過激なアプローチに困っていると言い、クリスタに婚約者のフリをしてくれるように依頼してきた。  それを条件に父の医療費に加えて、借金を肩代わりしてくれると言われてクリスタはその契約を承諾する。  赤貧令嬢クリスタと大貴族シリルのお話です。

【完結】記憶にありませんが、責任は取りましょう

楽歩
恋愛
階段から落ちて三日後、アイラは目を覚ました。そして、自分の人生から十年分の記憶が消えていることを知らされる。 目の前で知らない男が号泣し、知らない子どもが「お母様!」としがみついてくる。 「状況を確認いたします。あなたは伯爵、こちらは私たちの息子。なお、私たちはまだ正式な夫婦ではない、という理解でよろしいですね?」 さらに残されていたのは鍵付き箱いっぱいの十年分の日記帳。中身は、乙女ゲームに転生したと信じ、攻略対象を順位付けして暴走していた“過去のアイラ”の黒歴史だった。 アイラは一冊の日記を最後の一行まで読み終えると、無言で日記を暖炉へ投げ入れる。 「これは、焼却処分が妥当ですわね」 だいぶ騒がしい人生の再スタートが今、始まる。

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。 順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。 特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。 そんなアメリアに対し、オスカーは… とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

処理中です...