元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち

せいめ

文字の大きさ
73 / 161
マリーベル編〜楽しく長生きしたい私

居候生活の始まり

しおりを挟む
 両親と馬車に揺られてやって来たのは、スペンサー侯爵家。お父様の姉にあたる伯母様の家。ずっと領地に引き籠っていた私は、出産後の赤ちゃんだった時に、会ったきりのお方らしい。ほぼ初対面である。

 すごい邸ね。うちのタウンハウスもなかなかだけど、スペンサー侯爵家はもっと大きいわね。でも、お約束のね…何となく見たことがあるような気がするんだけど。
 もしかして、乙女ゲームの攻略対象者の家だったりした?従姉妹のお姉様の事故死も、もしかして…、乙女ゲームの悪役令嬢にされて、消されたとか!でも、従姉妹は私よりかなり年上になるわけだから、もう乙女ゲームは終了して、今はその後の世界だとか?
 ああ、何を信じて、何をすればいいのか分からないわ。とりあえず、学園を早期で卒業する事と、剣術と魔術はもっと頑張らないとね。そんな考えを巡らせながら、両親の背後をついて行き、玄関ホールに入る。すると、伯母夫婦らしき人物が待っていてくれた。

「姉上、義兄上、娘のマリーベルを連れて来たよ。マリー、ご挨拶して。」

 お父様に促されカーテシーをする私。

「フォーレス侯爵家、長女のマリーベルと申します。今日から、どうぞよろしくお願い致します。」

「……。」

「………。」

 伯父様と伯母様が目を見開いて固まっている。ああ、もう慣れて来たわね。恐らく、亡くなった従姉妹に似ているから、驚いてるのね。でも、亡くなった従姉妹の両親から見ても、そんなに似てるのかしら?伯母様は、私と同じ髪と瞳の色みたい。私は伯母様に似ているかもしれないわね。

「…あっ。ごめんなさいね。マリーベルが余りにも娘のアンに似ていたから驚いてしまったの。これから、よろしくね。自分の家だと思って、過ごしてくれたら嬉しいわ。ねぇ、あなた?」

「……そうだね。こちらこそ、よろしく。さあ、中に入って!」

 優しそうな夫妻で良かったわ。そのまま、応接室に通され、お茶を飲みながら、これからのお話をする。

「しばらくは、学園はお休みするのね?」

「その方がいいかと思いまして。しばらくアルには接触させないようにしたいのですわ。マリーもそれでいいわよね?」

「はい。ただお母様にお願いがあるのですが…。」

「何かしら?」

「(副業の為の)刺繍糸と布、それと早期の卒業の為に必要な参考書を買って頂きたいのです。学園に、行かない時間を無駄にしたくないので。」

 自立に向けて時間を有効に使わないとね。すると、伯母様が

「まあ!マリーベルは素晴らしいわ。それは、おば様とおじ様がプレゼントするわね。」

「そうだね。勉強したいなら、私が何でも協力するよ。あっ、そうだ!王宮の図書館は沢山の本が揃っているから、勉強するならオススメみたいだよ。おじ様が王宮に行く時に、一緒に行こうか?」

「本当ですか?ぜひお願いしますわ。」

「じゃあ、お父様は王宮の図書館の、入館許可証を貰っておくよ。」

 おじ様もおば様も、協力的で良かったわ。この2人の他に、私の従兄妹になる方がいるらしいが、今は騎士団の遠征に行っていて、しばらく戻らないようだ。26歳になる従兄弟は近衛騎士団に所属していて、侯爵位を継ぐまでは騎士団で活動する予定だとか。上手くやれば、剣の鍛練に付き合ってくれるかな?でも、気を付けよう。義兄もそうだったけど、どんな人か分からないし、乙女ゲームに関係ある人だったら怖いし。

 両親は、おじ様とおば様と仲良く話をする私を見て、安心したのか帰って行った。

 すると、おば様が使用人達を紹介してくれる。まず執事長とメイド長を紹介してくれるが、この2人も、勤続年数が長そうだから、私と従姉妹が似ているのをビックリしているわね。2人とも何か言いたそうな顔をしているもの。
 それと、私の専属のメイドを紹介してくれる。フィーネという、ハタチ前後の、目がクリクリのかわいいお姉さんだ。歳が近いからか、気さくに話しかけてくれるので嬉しかった。

 ところでアリーは、学園の寮の管理人として留守番してもらっている。というか友人達との、手紙のやり取りの窓口になってもらうことにした。学園の情報や出来事とか知らせたい事は、手紙に書いてアリーに渡すようにレジーナに伝えてきたのだ。学園で何があるのか、知らないのも不安だからね。ヒロインが編入して来たとか、義兄がどうだとか、噂話とかね。反対に私がレジーナ達に知らせたい事も、アリーがレジーナに届けに行く事になっている。スペンサー侯爵家は、使用人は沢山いるので、連れて来なくて大丈夫と言ってくれたから出来たことだった。

 おば様は、早速、商会を呼んでくれて、刺繍糸や布地を沢山買ってくれた。こんなにいいの?って思うくらい。おば様は、こういう買い物をするのは楽しいからいいのよと言ってくれる。優しい方なのね。沢山刺繍して、プレゼントしよう。

 おじ様は、お父様から王宮の図書館の入館許可証が届くと、早速、図書館に連れて行ってくれた。
 こんなすごい図書館ってあるのね。おじ様が優しくエスコートして、連れて行ってくれたが、かなりの視線を感じた。あまり気にしないけど、学園休んでいるから目立つのかもね。
 おじ様は、更に早期の卒業に必要な課題を学園に問い合わせてくれていた。それぞれの教科のレポートを提出し、卒業試験に合格すれば大丈夫らしい。なら、まずはレポートを作成していこう。そういえば、ミッシェルも学園に慣れて来たら、本格的に早期の卒業を目指して動こうかと言っていたわね。ちょっと、ミッシェルに手紙を書いてみようかな?

 ある日、アリーが手紙を届けに来てくれた。アリーの顔を見たら、安心して笑みが溢れる。それを見たおば様は、アリーにゆっくりお茶をしていきなさいと、応接室に案内してくれた。
 応接室に、案内され2人きりで話をする。まずレジーナからの手紙を受け取る。手紙には、学園での噂話が書いてある。私は退学になった男爵令嬢に危害を加えられそうになったので、しばらくは学園には来ないだろうと言う噂。退学になった男爵令嬢は、王太子殿下の従姉妹の私に嫌がらせをして、王家の怒りを買い、修道院に送られたと言う噂。だから、しばらく休んでいても、平気かもしれないわと書いてあった。
 また、その王太子殿下夫妻が、今回の男爵令嬢の嫌がらせを激怒したことが、刺激になったのか、私の友人である聖女子メンバー達への、嫌がらせが止まっているらしい。修道院送りはいい見せしめになったようね、と書いてある。ふーん。誰が喋って噂になったのだろう?…もしかして、王家でワザと流したとか?分からないわね。
 それと義兄は、学園で静かにしているようだ。みんなは私が休んでいるから、元気がないと思っているらしい。
 レジーナには、すぐに近況報告の手紙を書いてアリーに持って行ってもらおう。あっ、ミッシェルとエリーゼにもね。

 またアリーの話によると、私が学校を休み始めた日の放課後に、義兄が訪ねて来たらしいが、私がいないことを知ると、何も言わずに帰ったらしい。お母様達は何も話してないのかしら?

 こんな感じで、私の居候生活が始まったのだった。
 

 




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。 過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。 そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。 「パパ……私はあなたの娘です」 名乗り出るアンジェラ。 ◇ アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。 この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。 初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。 母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞  🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞 🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇‍♀️

行動あるのみです!

恋愛
※一部タイトル修正しました。 シェリ・オーンジュ公爵令嬢は、長年の婚約者レーヴが想いを寄せる名高い【聖女】と結ばれる為に身を引く決意をする。 自身の我儘のせいで好きでもない相手と婚約させられていたレーヴの為と思った行動。 これが実は勘違いだと、シェリは知らない。

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました

八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます 修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。 その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。 彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。 ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。 一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。 必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。 なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ── そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。 これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。 ※小説家になろうが先行公開です

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

赤貧令嬢の借金返済契約

夏菜しの
恋愛
 大病を患った父の治療費がかさみ膨れ上がる借金。  いよいよ返す見込みが無くなった頃。父より爵位と領地を返還すれば借金は国が肩代わりしてくれると聞かされる。  クリスタは病床の父に代わり爵位を返還する為に一人で王都へ向かった。  王宮の中で会ったのは見た目は良いけど傍若無人な大貴族シリル。  彼は令嬢の過激なアプローチに困っていると言い、クリスタに婚約者のフリをしてくれるように依頼してきた。  それを条件に父の医療費に加えて、借金を肩代わりしてくれると言われてクリスタはその契約を承諾する。  赤貧令嬢クリスタと大貴族シリルのお話です。

【完結】記憶にありませんが、責任は取りましょう

楽歩
恋愛
階段から落ちて三日後、アイラは目を覚ました。そして、自分の人生から十年分の記憶が消えていることを知らされる。 目の前で知らない男が号泣し、知らない子どもが「お母様!」としがみついてくる。 「状況を確認いたします。あなたは伯爵、こちらは私たちの息子。なお、私たちはまだ正式な夫婦ではない、という理解でよろしいですね?」 さらに残されていたのは鍵付き箱いっぱいの十年分の日記帳。中身は、乙女ゲームに転生したと信じ、攻略対象を順位付けして暴走していた“過去のアイラ”の黒歴史だった。 アイラは一冊の日記を最後の一行まで読み終えると、無言で日記を暖炉へ投げ入れる。 「これは、焼却処分が妥当ですわね」 だいぶ騒がしい人生の再スタートが今、始まる。

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。 順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。 特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。 そんなアメリアに対し、オスカーは… とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

処理中です...