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マリーベル編〜楽しく長生きしたい私
閑話 シールド公爵 3
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エリックは私に、帰りに彼女をフォーレス侯爵家に送って行ってはと提案する。私も彼女と2人になれる貴重な時間だと思い、そうしようかと思ったのだが、彼女は今は伯母のスペンサー侯爵家に住んでいるというのだ。アンネマリーの実家であるスペンサー家に彼女が住むなんて。しかも、今日は従兄弟が迎えに来ると言う。アンネマリーの弟になる従兄弟とは仲良くしているようだ。
エリックはスペンサー家で、アンネマリーを思い出したのだろう。アンネマリーの親友であった、魔術師団長の夫人が病で臥せっていることを話し、治癒魔法で何とかならないのか聞いていた。彼女は、期待される程のことを出来るかはわからないが、是非やらせて欲しいと引き受けていた。優しい彼女は、そうやって色々な人を助けてきたのだろう。
彼女が魔術師団長の夫人に治療に行く日、私とエリックは友人である魔術師団長のハリーの邸に先に行き、初対面であろうと思われる、フォーレス侯爵令嬢について話をしておく。彼女がアンネマリーにそっくりで、治癒魔法が得意ということは、噂では聞いていたらしい。そっくりというより、生写しだから、びっくりするなよとエリックが話す。ハリーは、かなり興味を持っているようだった。しかも、私を見て何かを察したようだ。
「ベッキー(妻)は、スペンサー嬢と公爵には、ヨリを戻して欲しくなかったようだから、従姉妹のフォーレス侯爵令嬢と公爵が仲良くするのも、よく思わないだろうな。ベッキー以外の、スペンサー嬢と仲が良かった友人達もそう思うだろうから、まぁ、バレないように頑張れよ!」
それは知っている。私はアンネマリー側の人間には嫌われていた。私が彼女にしてきたことが、全て悪いのだから仕方がない。
「相変わらず、ハッキリ言うよな。」
それはエリックも一緒だろうが!でも、この2人は裏がなく、本音が話せるから付き合いやすいのだ。
「それと、もう時効だし、未練もないだろうから言っておくが…。ああ、でも公爵はショックかもしれないが、どうする?聞きたいか?」
ハリーの意味深な言葉、気になる。
「そこまで言われたら、聞かないわけにはいかないだろう。」
「公爵が隣国から戻って、しばらくした頃に、お前達の真実の愛だとか言って、小説が出版されただろう?あのベストセラーになっていた小説だ。あの小説を読んだベッキーが激怒したんだよ。こんなのデタラメだって。出版社に抗議に行こうかしらとか、出版社を潰してちょうだいとか言い出して、止めるのが大変だったから、よく覚えているんだが…。2人は全然、愛し合ってなかったのにどうしてこんな話になるのかって言い出して。公爵はスペンサー嬢に酷い態度をとるし、スペンサー嬢も人生諦めたように、我慢しているし。あんな婚約者なんていない方がマシだって、スペンサー嬢の友人達みんなで話していたらしい。スペンサー嬢も、婚約が白紙になって良かったって言っていたようだ。しかも、亡くなる直前に会った時には、彼女は、これから公爵とは関わらずに生きていくんだって言っていたらしい。幼少期から青春時代までの時間を公爵の為に無駄にしたから、この恨みはなかなか消えないだろうとまで話していたらしいぞ。」
聞いたことを後悔した。そこまで、アンネマリーに愛想を尽かされていたとは…。というか、最期の方は私は嫌われていたのか?
「ベッキーが言うには、スペンサー嬢は、病で生死を彷徨ったことで、自分の人生に疑問を感じたらしい。それで、公爵と愛のない結婚はしたくないって思って、婚約を白紙にしたらしいぞ。」
愛のない結婚だなんて。今更だが、私の気持ちは全くアンネマリーには伝わってなかったんだな。私があんな態度をとったせいで…。
「病で生死を彷徨ったって。何だ?」
「それすら、知らなかったのか?その時はまだ仮と言っても、婚約者だったはずだろう?あー、そういうところが公爵はダメだったんだな。しばらく学園を休んでいたことがあって、その時に、高熱病で意識を失っていたらしいぞ。」
「…そうだったのか。本当に、私は捨てられて当然の婚約者だったのだな。」
そういえば、しばらく休んでいたことがあったことは覚えている。大切な人が病で苦しんでることも知らなかった。スペンサー家も、仲が良くない婚約者の私に、わざわざ知らせようともしなかったのだろう。私は、その時にはすでに信頼を失っていたのだな。
「でも、公爵はずっと苦しんできたのは、騎士仲間はみんな知っているんだ。もう、幸せを掴もうとしてもいいじゃないか。さっきの話を聞いて、ただショックを受けるんじゃなくて、次に欲しい人が出来たら、同じことは繰り返さないことだな。」
そんな暗い話をしていると、応接室のドアがノックされる。家令に案内されて入ってきたのは、エリックの部下の騎士にエスコートされて来た、フォーレス侯爵令嬢だった。アンネマリーの真実の話を聞いた直後なので、口数が少なくなってしまうのだが、制服姿の彼女の姿は、本当にアンネマリーの生写しで、じっと見つめてしまう。そして、興味津々で彼女と話をするハリー。
早速、夫人の治療をすることになり、ハリーが彼女を夫人の部屋まで案内すると言うと、エリックの部下の騎士が、部屋の外まで付き添って、終わるまで待っていてもいいかと、ハリーやエリックに聞いている。ハリーは、護衛だろうからいいだろうと許可したので、騎士はそのままフォーレス侯爵令嬢と一緒に、応接室を出て行ったのだった。
エリックと2人、応接室に残った私は、何となく2人の関係が気になり、エリックに聞いてみる。すると、彼女が王都騎士団に来た時に、指導役として付けていた騎士だというのだ。ハワード卿といって、伯爵家の嫡男らしく、真面目でいい奴だからと、あの騎士を担当にしたらしい。女にだらしない奴には、頼めないだろうと言う。まぁ、その通りなのだが。しかし、それだけではないようだ。その騎士は、最近まで、視力低下に悩んでいて、騎士ではなく、文官よりの業務を任せていたのだという。そしてこの前、彼女に目を治してもらったらしいのだ。…そんな事をしてもらったら、彼女に惹かれてしまうだろう。私のように。
「おい!もうあの時とは違って、大人なんだから、つまらない嫉妬はするなよ!」
「分かってる!!」
2人で話し込んでいると、ハリーが誰かを呼んでいる声が聞こえて来る。何かあったか?使用人にハリーのいる部屋を聞いて向かうと、廊下にハワード卿が立っているのが見えて駆けつける。さすがに、夫人の部屋に勝手には入れない。どうしようかと思っていると、ドアがバンっと開く。すると、顔を蒼白にしたフォーレス侯爵令嬢が、フラつきながら出て来た。吐血したのか、真っ赤に染まったハンカチで口を押さえ、今にも倒れそうだ。ここまで魔力を使ってまで治療したのか?いくら頼まれたと言っても、一歩間違えば、命に関わるのに。
「フォーレス侯爵令嬢、大丈夫ですか?」
ハワード卿は、すぐに彼女の側に行き、体を支えている。彼女は、体がつらいのだろう。涙を流してハワード卿を見つめて、
「はぁ、はぁ。大丈夫…です。家まで送ってもらえますか?休めば治るので。」
彼女はハワード卿に助けを求めているようだった。私に助けを求めて欲しい。そんな目で他の男を見つめないでくれ!
ハワード卿は失礼しますと言って、フラつく彼女を抱っこしていた。意識が朦朧としている彼女は、ハワード卿にもたれかかっている。我慢出来なかった私は
「私が送って行く!」
無意識にそんな言葉が出てしまっていた。しかし、ハワード卿は
「公爵閣下、フォーレス侯爵令嬢から、帰りのことも私が頼まれていますので。」
そこまで仲がいいのか?でも、弱っている彼女の側にいたい。
「いや、私に送らせて欲しい。」
そんなやり取りをしていると、苦しそうな彼女が力の無い弱々しい手を伸ばして、赤い石を私に渡してくる。
「…あの、公爵様。はぁ、はぁ。…これを。魔石に治癒魔法を、…込めた物です。はぁ、はぁ。レベッカに渡してくだ…さい。」
今、レベッカって、夫人を呼び捨てにした?夫人をそう呼べる人物は……。驚きで固まってしまう。
「ハワード卿、急いで送ってやれ!フォーレス侯爵令嬢、今日はありがとう。お大事にしてくれ!」
エリックが声を掛け、彼女はハワード卿に運ばれて行ったのだった。
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彼女が魔術師団長の夫人に治療に行く日、私とエリックは友人である魔術師団長のハリーの邸に先に行き、初対面であろうと思われる、フォーレス侯爵令嬢について話をしておく。彼女がアンネマリーにそっくりで、治癒魔法が得意ということは、噂では聞いていたらしい。そっくりというより、生写しだから、びっくりするなよとエリックが話す。ハリーは、かなり興味を持っているようだった。しかも、私を見て何かを察したようだ。
「ベッキー(妻)は、スペンサー嬢と公爵には、ヨリを戻して欲しくなかったようだから、従姉妹のフォーレス侯爵令嬢と公爵が仲良くするのも、よく思わないだろうな。ベッキー以外の、スペンサー嬢と仲が良かった友人達もそう思うだろうから、まぁ、バレないように頑張れよ!」
それは知っている。私はアンネマリー側の人間には嫌われていた。私が彼女にしてきたことが、全て悪いのだから仕方がない。
「相変わらず、ハッキリ言うよな。」
それはエリックも一緒だろうが!でも、この2人は裏がなく、本音が話せるから付き合いやすいのだ。
「それと、もう時効だし、未練もないだろうから言っておくが…。ああ、でも公爵はショックかもしれないが、どうする?聞きたいか?」
ハリーの意味深な言葉、気になる。
「そこまで言われたら、聞かないわけにはいかないだろう。」
「公爵が隣国から戻って、しばらくした頃に、お前達の真実の愛だとか言って、小説が出版されただろう?あのベストセラーになっていた小説だ。あの小説を読んだベッキーが激怒したんだよ。こんなのデタラメだって。出版社に抗議に行こうかしらとか、出版社を潰してちょうだいとか言い出して、止めるのが大変だったから、よく覚えているんだが…。2人は全然、愛し合ってなかったのにどうしてこんな話になるのかって言い出して。公爵はスペンサー嬢に酷い態度をとるし、スペンサー嬢も人生諦めたように、我慢しているし。あんな婚約者なんていない方がマシだって、スペンサー嬢の友人達みんなで話していたらしい。スペンサー嬢も、婚約が白紙になって良かったって言っていたようだ。しかも、亡くなる直前に会った時には、彼女は、これから公爵とは関わらずに生きていくんだって言っていたらしい。幼少期から青春時代までの時間を公爵の為に無駄にしたから、この恨みはなかなか消えないだろうとまで話していたらしいぞ。」
聞いたことを後悔した。そこまで、アンネマリーに愛想を尽かされていたとは…。というか、最期の方は私は嫌われていたのか?
「ベッキーが言うには、スペンサー嬢は、病で生死を彷徨ったことで、自分の人生に疑問を感じたらしい。それで、公爵と愛のない結婚はしたくないって思って、婚約を白紙にしたらしいぞ。」
愛のない結婚だなんて。今更だが、私の気持ちは全くアンネマリーには伝わってなかったんだな。私があんな態度をとったせいで…。
「病で生死を彷徨ったって。何だ?」
「それすら、知らなかったのか?その時はまだ仮と言っても、婚約者だったはずだろう?あー、そういうところが公爵はダメだったんだな。しばらく学園を休んでいたことがあって、その時に、高熱病で意識を失っていたらしいぞ。」
「…そうだったのか。本当に、私は捨てられて当然の婚約者だったのだな。」
そういえば、しばらく休んでいたことがあったことは覚えている。大切な人が病で苦しんでることも知らなかった。スペンサー家も、仲が良くない婚約者の私に、わざわざ知らせようともしなかったのだろう。私は、その時にはすでに信頼を失っていたのだな。
「でも、公爵はずっと苦しんできたのは、騎士仲間はみんな知っているんだ。もう、幸せを掴もうとしてもいいじゃないか。さっきの話を聞いて、ただショックを受けるんじゃなくて、次に欲しい人が出来たら、同じことは繰り返さないことだな。」
そんな暗い話をしていると、応接室のドアがノックされる。家令に案内されて入ってきたのは、エリックの部下の騎士にエスコートされて来た、フォーレス侯爵令嬢だった。アンネマリーの真実の話を聞いた直後なので、口数が少なくなってしまうのだが、制服姿の彼女の姿は、本当にアンネマリーの生写しで、じっと見つめてしまう。そして、興味津々で彼女と話をするハリー。
早速、夫人の治療をすることになり、ハリーが彼女を夫人の部屋まで案内すると言うと、エリックの部下の騎士が、部屋の外まで付き添って、終わるまで待っていてもいいかと、ハリーやエリックに聞いている。ハリーは、護衛だろうからいいだろうと許可したので、騎士はそのままフォーレス侯爵令嬢と一緒に、応接室を出て行ったのだった。
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「フォーレス侯爵令嬢、大丈夫ですか?」
ハワード卿は、すぐに彼女の側に行き、体を支えている。彼女は、体がつらいのだろう。涙を流してハワード卿を見つめて、
「はぁ、はぁ。大丈夫…です。家まで送ってもらえますか?休めば治るので。」
彼女はハワード卿に助けを求めているようだった。私に助けを求めて欲しい。そんな目で他の男を見つめないでくれ!
ハワード卿は失礼しますと言って、フラつく彼女を抱っこしていた。意識が朦朧としている彼女は、ハワード卿にもたれかかっている。我慢出来なかった私は
「私が送って行く!」
無意識にそんな言葉が出てしまっていた。しかし、ハワード卿は
「公爵閣下、フォーレス侯爵令嬢から、帰りのことも私が頼まれていますので。」
そこまで仲がいいのか?でも、弱っている彼女の側にいたい。
「いや、私に送らせて欲しい。」
そんなやり取りをしていると、苦しそうな彼女が力の無い弱々しい手を伸ばして、赤い石を私に渡してくる。
「…あの、公爵様。はぁ、はぁ。…これを。魔石に治癒魔法を、…込めた物です。はぁ、はぁ。レベッカに渡してくだ…さい。」
今、レベッカって、夫人を呼び捨てにした?夫人をそう呼べる人物は……。驚きで固まってしまう。
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