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マリーベル編〜楽しく長生きしたい私
閑話 シールド公爵 2
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マディソンに連れて行かれてしまった、フォーレス侯爵令嬢は、そのまま王族のテーブルに案内されて、王太子殿下夫妻とお茶をしているようであった。殿下も妃殿下も、彼女を可愛がっているのだろう。自然な笑みを浮かべて、会話を楽しんでいるようだ。その様子を沢山の貴族が見て噂をしている。
「殿下が、あの姫に自らお菓子をお皿に取ってあげているわよ。本当に可愛がっておられるのね。」
「妃殿下の表情見まして?あんな表情は他の貴族には見せませんわ。お優しく微笑んでらっしゃるもの。」
「王太子殿下夫妻は、従姉妹の姫君を可愛がっていることは、貴族学園では有名な話らしいわ。学園の入学祝いのパーティーでは、ファーストダンスをマディソン卿と一緒に踊らせたとか。しかも、綺麗で聡明な姫君に、嫉妬で狂って危害を加えようとした男爵令嬢がいて、激怒した2人は、男爵令嬢を学園から退学させて、修道院に入れてしまったって話よ。」
「私も甥から聞きましたわ。何でも、姫君の義理の兄までも、護衛騎士のように常に側について、守っているんだとか。まるで最愛の恋人のように大切にしているしているらしいわ。取り入りたくても、他の令息は全く近づけないって話よ。」
王太子殿下夫妻が彼女を可愛がっている?アンネマリーの時と一緒だな。王太子殿下は、マディソンと彼女の縁談でも進めたいのか?しかも、義兄が彼女を恋人のように大切にしているだって?
何だろう…?この不愉快な気持ちは。何も知らない彼女のことを知ることが出来たのに、心がモヤモヤする。
そんな話を聞いているうちに、あっと言う間にラストダンスの時間になった。ふと彼女を見ると、マディソンが彼女に跪いている。彼女は、跪くマディソンに微笑み、手を取ってラストダンスに向かうのであった。ラストダンスを踊るということは、親しい間柄であると見られてもおかしくない。2人はそんな関係なのか?周りにいる貴族達は、そんな2人をヒソヒソと噂している。今までマディソンが令嬢に跪いてまでダンスを誘う姿なんて、一度だけしか見たことがない。それは…、アンネマリーの学園の最後のパーティーの時。フォーレス侯爵令嬢は、どう考えているのか分からないが、マディソンは彼女との仲を深めたいと思っているのだろう。だから、私が彼女とのダンスをした後に、アイツはあんな態度を取ったのだな。マディソンにしては、珍しく余裕がないということなのか?
しかし、私のこの心の中の黒いものは…。
ああ、私は嫉妬をしているのだな。マディソンや彼女の義兄、仲の良いという辺境伯の騎士に。ずっと忘れていたこの感覚は、まだ私の心に存在していたらしい。
デビュタントから数日経った日、エリックが授業で彼女と顔を合わせたらしく、私が手足の治療のお礼をしたがっているということを伝えてくれたらしい。しかし、いくらお礼をしたいと言っても、彼女は当然のことをしただけだからと、お礼を遠慮したようだ。彼女にとっては、当たり前の行動だったのだろう。
しかし、図々しいエリックも引かなかったようだ。結局彼女が、治癒魔法の練習に王都騎士団に行かせて欲しいと希望したので、それを受けることにしたらしい。だから、その日に騎士団に来て、彼女にお礼を伝えて、仲良くなれと言う。マディソンや義兄に差をつけられているのだから、会える機会を沢山つくらないと、ダメなのだと。
彼女がもし下位の貴族令嬢であったなら、公爵家の力で縁談をまとめられただろうが、王弟の娘で、王太子殿下夫妻や、叔母のスペンサー侯爵家、辺境伯閣下など、権力者に可愛がられている彼女には、それは全く使えない。彼女と自分自身が仲良くならないと、意味がないとエリックに言われる。貴族も恋愛するのが当たり前になってきたから、恋人になってしまえと言う。まだ10代で、恋愛経験もないだろうから、大人の力で強引に行けばいいだろうとか言われるが、私自身も全く恋愛の経験が無いのに、どうすればいいのか。
アンネマリーとは、私があんな態度をとり続けたせいで、恋愛と言えるものではなかったと思う。私の一方的な、拗らせた思いだったとも言える。だから、彼女は私から離れようとしたのだろう。あの時の私は、ただ悲しくて、彼女を失いたくなくて、どうにかして、アンネマリーを取り戻そうとしたが、結局、全てがダメだった。時間が経ったからこそ、冷静に振り返ることが出来るのだが。でも、やはりアンネマリーのことは大切だったし、私の全てだった。
大人になり、割り切ってくれる女性と、一晩を一緒に過ごすだけのことはあったが、恋愛感情なんてものは存在しなかった。そんな私が今更、何をすればいいのだろう。そんなことを考えていると、騎士団に行く当日になっていた。
エリックと一緒に、彼女がいると思われる医務室に向かう。すると、医務室の前の廊下の窓拭きをする彼女を見つける。治癒魔法の練習に来ると言っていたのに、掃除?国王の姪の姫君が?しかも、窓の外を見ながらニコニコして窓拭きをしている。正直、可愛いなと思ってしまった。
エリックに窓拭きをしなくていいことを言われて、謝る彼女も、素直で可愛いと思ってしまう。会うのはまだ2度目なのに、私はこんなに彼女に惹かれているらしい。
彼女は、エリックから私が公爵だと言われても、あまり興味は無さそうだった。嬉しさと、残念な気持ちが同時に沸き起こる。今まで私に言い寄ってきた令嬢と違って、人を身分で判断しない性格であることが分かって嬉しかった。しかし、私に対して何の興味も持ってくれていないという、残念な気持ちもある。なかなか気の利いた言葉を掛けることが出来ずに、その場は終わる。
その後、ランチを執務室で一緒に取ることになる。エリックが色々と、話題を振って会話が何となくある程度。彼女は、私達に気を遣っているのか、無理に話そうとはしなかった。これだけ年が離れているのだから、仕方がないのかもしれない。礼儀を弁えているとも言えると思う。
そんな中、彼女を見ていると、育ちの良さが出ているのか、綺麗な所作で食事を食べていることに気付く。アンネマリーもこんな風に所作が美しかったな。ニコニコして、美味しそうに食べる彼女。本当に可愛いと思ってしまう。
「美味しそうに食べるのだな。」
彼女を見て、自然にそんな言葉が出てくる。すると彼女は、私を真っ直ぐに見つめて
「はい。とても美味しいので。」
と、花が綻ぶような笑顔を見せる。ああ、この笑顔は…。私がずっと忘れられなかった人と、全く同じ笑顔だ。君は彼女と同じように笑うのだな。
「……それは良かった。」
アンネマリーそっくりだから、興味を持ったのは認める。しかし、始まりはそうであったとしても、私は、彼女自身が好きになってしまっているようだ。
無意識に、彼女が欲しい、その笑顔は私だけに向けて欲しいと考えてしまっていた。
もう誰も好きになることはないと思っていたのに、私はあっさりと、彼女に落ちてしまったようだ。
「殿下が、あの姫に自らお菓子をお皿に取ってあげているわよ。本当に可愛がっておられるのね。」
「妃殿下の表情見まして?あんな表情は他の貴族には見せませんわ。お優しく微笑んでらっしゃるもの。」
「王太子殿下夫妻は、従姉妹の姫君を可愛がっていることは、貴族学園では有名な話らしいわ。学園の入学祝いのパーティーでは、ファーストダンスをマディソン卿と一緒に踊らせたとか。しかも、綺麗で聡明な姫君に、嫉妬で狂って危害を加えようとした男爵令嬢がいて、激怒した2人は、男爵令嬢を学園から退学させて、修道院に入れてしまったって話よ。」
「私も甥から聞きましたわ。何でも、姫君の義理の兄までも、護衛騎士のように常に側について、守っているんだとか。まるで最愛の恋人のように大切にしているしているらしいわ。取り入りたくても、他の令息は全く近づけないって話よ。」
王太子殿下夫妻が彼女を可愛がっている?アンネマリーの時と一緒だな。王太子殿下は、マディソンと彼女の縁談でも進めたいのか?しかも、義兄が彼女を恋人のように大切にしているだって?
何だろう…?この不愉快な気持ちは。何も知らない彼女のことを知ることが出来たのに、心がモヤモヤする。
そんな話を聞いているうちに、あっと言う間にラストダンスの時間になった。ふと彼女を見ると、マディソンが彼女に跪いている。彼女は、跪くマディソンに微笑み、手を取ってラストダンスに向かうのであった。ラストダンスを踊るということは、親しい間柄であると見られてもおかしくない。2人はそんな関係なのか?周りにいる貴族達は、そんな2人をヒソヒソと噂している。今までマディソンが令嬢に跪いてまでダンスを誘う姿なんて、一度だけしか見たことがない。それは…、アンネマリーの学園の最後のパーティーの時。フォーレス侯爵令嬢は、どう考えているのか分からないが、マディソンは彼女との仲を深めたいと思っているのだろう。だから、私が彼女とのダンスをした後に、アイツはあんな態度を取ったのだな。マディソンにしては、珍しく余裕がないということなのか?
しかし、私のこの心の中の黒いものは…。
ああ、私は嫉妬をしているのだな。マディソンや彼女の義兄、仲の良いという辺境伯の騎士に。ずっと忘れていたこの感覚は、まだ私の心に存在していたらしい。
デビュタントから数日経った日、エリックが授業で彼女と顔を合わせたらしく、私が手足の治療のお礼をしたがっているということを伝えてくれたらしい。しかし、いくらお礼をしたいと言っても、彼女は当然のことをしただけだからと、お礼を遠慮したようだ。彼女にとっては、当たり前の行動だったのだろう。
しかし、図々しいエリックも引かなかったようだ。結局彼女が、治癒魔法の練習に王都騎士団に行かせて欲しいと希望したので、それを受けることにしたらしい。だから、その日に騎士団に来て、彼女にお礼を伝えて、仲良くなれと言う。マディソンや義兄に差をつけられているのだから、会える機会を沢山つくらないと、ダメなのだと。
彼女がもし下位の貴族令嬢であったなら、公爵家の力で縁談をまとめられただろうが、王弟の娘で、王太子殿下夫妻や、叔母のスペンサー侯爵家、辺境伯閣下など、権力者に可愛がられている彼女には、それは全く使えない。彼女と自分自身が仲良くならないと、意味がないとエリックに言われる。貴族も恋愛するのが当たり前になってきたから、恋人になってしまえと言う。まだ10代で、恋愛経験もないだろうから、大人の力で強引に行けばいいだろうとか言われるが、私自身も全く恋愛の経験が無いのに、どうすればいいのか。
アンネマリーとは、私があんな態度をとり続けたせいで、恋愛と言えるものではなかったと思う。私の一方的な、拗らせた思いだったとも言える。だから、彼女は私から離れようとしたのだろう。あの時の私は、ただ悲しくて、彼女を失いたくなくて、どうにかして、アンネマリーを取り戻そうとしたが、結局、全てがダメだった。時間が経ったからこそ、冷静に振り返ることが出来るのだが。でも、やはりアンネマリーのことは大切だったし、私の全てだった。
大人になり、割り切ってくれる女性と、一晩を一緒に過ごすだけのことはあったが、恋愛感情なんてものは存在しなかった。そんな私が今更、何をすればいいのだろう。そんなことを考えていると、騎士団に行く当日になっていた。
エリックと一緒に、彼女がいると思われる医務室に向かう。すると、医務室の前の廊下の窓拭きをする彼女を見つける。治癒魔法の練習に来ると言っていたのに、掃除?国王の姪の姫君が?しかも、窓の外を見ながらニコニコして窓拭きをしている。正直、可愛いなと思ってしまった。
エリックに窓拭きをしなくていいことを言われて、謝る彼女も、素直で可愛いと思ってしまう。会うのはまだ2度目なのに、私はこんなに彼女に惹かれているらしい。
彼女は、エリックから私が公爵だと言われても、あまり興味は無さそうだった。嬉しさと、残念な気持ちが同時に沸き起こる。今まで私に言い寄ってきた令嬢と違って、人を身分で判断しない性格であることが分かって嬉しかった。しかし、私に対して何の興味も持ってくれていないという、残念な気持ちもある。なかなか気の利いた言葉を掛けることが出来ずに、その場は終わる。
その後、ランチを執務室で一緒に取ることになる。エリックが色々と、話題を振って会話が何となくある程度。彼女は、私達に気を遣っているのか、無理に話そうとはしなかった。これだけ年が離れているのだから、仕方がないのかもしれない。礼儀を弁えているとも言えると思う。
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と、花が綻ぶような笑顔を見せる。ああ、この笑顔は…。私がずっと忘れられなかった人と、全く同じ笑顔だ。君は彼女と同じように笑うのだな。
「……それは良かった。」
アンネマリーそっくりだから、興味を持ったのは認める。しかし、始まりはそうであったとしても、私は、彼女自身が好きになってしまっているようだ。
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