婚約解消したら後悔しました

せいめ

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息子の恋

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 12歳になる息子が一目惚れをしたかもしれないと打ち明けてくれた。

 私は確か10歳くらいでアリーに恋をした。12歳になるアルフレッドが、令嬢にそのような感情を持つのも自然なことだと思う。

「そうか。アルフもそんな感情が芽生える歳になったのだな。
 アルフが目を留めたのはどちらの令嬢なのだ?」

 今日の茶会は高位貴族だけの参加だったはず。恐らく、伯爵家以上の家門だ。身分だけで見れば何の問題もないはずだが、相手の家門を詳しく調べてみないと何も進められない。

「それが…、少し年下の御令嬢で、今日初めて会ったのです。直接話す機会がなくて、名前が分かりませんでした。
 ……とても美しい御令嬢でした。」

 恥ずかしそうに話すアルフレッドは、どこから見ても恋をする者の顔をしていた。
 かわいい一人息子には、本当に愛する人と結ばれて欲しいとは思う。だから…

「アルフ。家門が分からなければ、婚約を申し込むことは出来ないだろう?次の機会にきちんと名前を調べてくるんだ。
 それとだ…。もし婚約を申し込むとしても、そのことにきちんと責任を持つようにしなさい。その令嬢を一生愛する覚悟があるのか、途中で心変わりしない自信はあるのか。婚約とは相手の人生を巻き込むのだ。じっくりとよく考えるようにな。」

 アルフレッドには、私のような後悔をしてもらいたくないのだ。

「分かりました。
 父上…、私の話に耳を傾けてくれて、ありがとうございます。」

 親が決めた政略結婚が多い中で、父である私が、息子の一目惚れの話を真剣に聞いてあげたことが嬉しかったようだ。アルフレッドは満足したように、自分の部屋に戻っていった。



 アルフレッドから一目惚れの話をされ、1ヶ月くらい経った頃だった。

 今日は王太子殿下の誕生を祝うパーティーに家族で来ている。
 アルフレッドより一つ上の王太子殿下のパーティーには、同じ年頃の令息や令嬢が沢山来ていた。まだ婚約者を決めていない王太子殿下を、令嬢達はギラついた目で見つめている。

「どの御令嬢も、王太子殿下に憧れているのね。」

「そのようだな。令嬢達からは殺気が漂っていて怖いよ。」

 妻のオリビアとそんな話をしていると…

「…父上、あそこにいる御令嬢です。」

 アルフレッドが耳打ちしてくる。

「…どこだ?」

「テーブルでスイーツを食べている令嬢です。」

 他の令嬢達が王太子殿下を取り囲んでいる時に、スイーツを頂いている令嬢か。面白いな…。マイペースな令嬢なのか?

 アルフレッドの視線の先にいたのは…、美しいブロンドの髪に水色の瞳を持つ、愛らしい美少女だった。

 心の奥底がズキンと痛んだような気がする。忘れていた痛みを思い出したかのような感じだ。

 あの令嬢は……。


 
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