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清く、正しく、尊い絆(3)
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代わりに成瀬さんが選んだのが、水色。
水色は私にとっては思い出の色だ。もしかして、成瀬さんもそう思ってくれている? なんて都合のいいことを思いながら、カバンからハンカチを取り出す。
「あれ? ハンカチ? そんなのグッズにあった?」
しっかりとアイロンのかかった水色のハンカチを見て、由紀さんが不思議そうに首を傾げる。私は、ふふっと笑った。
「これはグッズじゃないですよ」
ライブグッズではないけれど、成瀬さんの初ライブには必須アイテム。そう思って、あのハンカチを持ってきた。私はステージ上からも見えやすいように、水色のハンカチを手首に巻き付ける。
そうこうしているうちに、開演時間が近づいてきた。会場の照明がゆっくりと落ちていき、辺りは暗闇に包まれる。そしてステージにだけスポットライトが当たると、ファンたちは一斉に歓声を上げた。由紀さんなんて、もう立ち上がって飛び跳ねているくらいだ。私もペンライトを点灯させて、うちわを掲げる。
ついに始まった、Orionの初ライブ。メンバーがステージ上に姿を表すと、一際大きな歓声。その歓声に応えるようにメンバーたちが手を振る。成瀬さんも満面の笑みで客席に向けて手を振っている。
成瀬さんの姿を目で追っていると、ふと彼の視線がこちらへ向いた。成瀬さんは私を見て、驚いたように目を見開く。ライブに参戦することは伝えてあったが、まさか最前列に私がいるとは思っていなかったのだろう。
私が歓声とともにうちわを振ると、成瀬さんは少し照れくさそうに手を振りかえしてくれた。その笑顔はアイドルグループの成瀬陽一で、ベランダの彼とはやっぱり少し違うけれどとても魅力的だ。
キラキラなアイドル曲に合わせて笑顔で歌い踊る彼は、紛れもなくアイドルだった。彼のポテンシャルならもっと踊れるのにと少し残念にも思ったけれど、それでも彼のしなやかで柔らかい動きがとても綺麗で目が離せなかった。彼が動く度にさらりとなびく黒髪も素敵だった。推しだけを見つめて無心でペンライトを振る。
最前列ってホントに最高すぎる!
こんなに近くで、こんなにしっかりと推しの視線を感じることができるなんて、初めてのことだ。何度も成瀬さんがこちらを見たような気がする。たぶんそれは勘違いなんかじゃない。だって、目が合うたびに彼が少し笑ってくれたから。
推しと目が合うことがヲタクにとってどれほどの幸福かわかってる? きっとわかっていないんだろうな。
水色は私にとっては思い出の色だ。もしかして、成瀬さんもそう思ってくれている? なんて都合のいいことを思いながら、カバンからハンカチを取り出す。
「あれ? ハンカチ? そんなのグッズにあった?」
しっかりとアイロンのかかった水色のハンカチを見て、由紀さんが不思議そうに首を傾げる。私は、ふふっと笑った。
「これはグッズじゃないですよ」
ライブグッズではないけれど、成瀬さんの初ライブには必須アイテム。そう思って、あのハンカチを持ってきた。私はステージ上からも見えやすいように、水色のハンカチを手首に巻き付ける。
そうこうしているうちに、開演時間が近づいてきた。会場の照明がゆっくりと落ちていき、辺りは暗闇に包まれる。そしてステージにだけスポットライトが当たると、ファンたちは一斉に歓声を上げた。由紀さんなんて、もう立ち上がって飛び跳ねているくらいだ。私もペンライトを点灯させて、うちわを掲げる。
ついに始まった、Orionの初ライブ。メンバーがステージ上に姿を表すと、一際大きな歓声。その歓声に応えるようにメンバーたちが手を振る。成瀬さんも満面の笑みで客席に向けて手を振っている。
成瀬さんの姿を目で追っていると、ふと彼の視線がこちらへ向いた。成瀬さんは私を見て、驚いたように目を見開く。ライブに参戦することは伝えてあったが、まさか最前列に私がいるとは思っていなかったのだろう。
私が歓声とともにうちわを振ると、成瀬さんは少し照れくさそうに手を振りかえしてくれた。その笑顔はアイドルグループの成瀬陽一で、ベランダの彼とはやっぱり少し違うけれどとても魅力的だ。
キラキラなアイドル曲に合わせて笑顔で歌い踊る彼は、紛れもなくアイドルだった。彼のポテンシャルならもっと踊れるのにと少し残念にも思ったけれど、それでも彼のしなやかで柔らかい動きがとても綺麗で目が離せなかった。彼が動く度にさらりとなびく黒髪も素敵だった。推しだけを見つめて無心でペンライトを振る。
最前列ってホントに最高すぎる!
こんなに近くで、こんなにしっかりと推しの視線を感じることができるなんて、初めてのことだ。何度も成瀬さんがこちらを見たような気がする。たぶんそれは勘違いなんかじゃない。だって、目が合うたびに彼が少し笑ってくれたから。
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