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1.何処かで聞いた都市国家
2.秘め事(主にアレクシアさんの……)
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リリーさんの診察が終わると、僕の正面にエリックさんとリリーさん、右手の席にはアレクシアさんが座る。アレクシアさんが用意したものではあるけど、それぞれ紅茶らしきものが入ったカップも並べられている。
いよいよ尋問タイムのようだ。話を始める前に、エリックさんはポケットから透明な丸い球体を取り出して、僕のほうに放ってきた。反射的に受け取ってしまったが、どういうつもりかとエリックさんを見つめる。
「さて、お互い現状判らないことだらけなんでね。質問をさせてもらうが、君はここがどこかわかっているかい?」
正直、アイオライトという名前しかアリアは言ってないので判らない。それが、世界名なのか惑星名なのか、国家名かもしれないけど、現状の知識では何一つわからないので、首を左右に振ることで質問に答える。
「では、簡単に状況を説明しよう。」
そういって、エリックさんが話してくれたのは最低限の情報だ。こちらに重要な情報を教えるわけでもなく、僕の反応から情報を得ようとしているのだろうけど、僕自身何も知らないから彼が知りたいことを伝えられるわけじゃない。エリックさんからの情報では、次のようなことが分かった。
・現在地は 都市国家 アレキサンドリアの上階層 アレクシアさんの自宅にいる
・アレキサンドリアについて
交易都市、魔法都市として知られている海岸段丘上にある共和国家の代表都市
・僕の出現について
3日前、南の洋上に輝く光点が出現。光点はそのまま落下を開始し、緊急展開した魔法障壁を貫通し、アレキサンドリア北区の聖域に落下
その場に居合わせたアレクシアとリリーさんによって、光点の落下地点から発見された
発見された当初は、僕は全裸状態だったらしい。
・発見後について
アレクシアの自宅に連れてこられて今日まで眠った状態
というところらしい。地名はアレキサンドリアという都市名しかだしていないし、光点が暗に僕だと言ってるだけで明言もしていない。相手に情報を与えず、情報をとるために最低限の知ってると思われることだけを話すのはなかなか手練れだよね。質問者の余計な発言から、相手に情報を与えてしまうのは多々あることなのだから。
「……で、以上がこちらのカードだが、そちらのカードはどうなんだ?」
エリックさんはそう言い、こちらに話を促してくる。
「僕の名前はクロエ。光の点とかはわからないけど、他には何も思い出せません。」
僕はそう答えエリックさんを見るが、エリックさんは僕の目を見ていない。見ているのは、さっき投げてきた丸い球体?
「…そうか。記憶喪失ってわけかい? 君達はどう思う?」
エリックさんは、リリーさんとアレクシアさんに声をかけた。
「少なくても、意図的に嘘はついていないでしょうね。この年齢で隠せるほどの訓練を行える国はほとんどないでしょうし、近隣の国のなかではありません。」
これはリリーさんの発言。
「あぁ、それにこいつに渡した水晶球もなんの反応もない。少なくても、魔法の要素はないってことは、リアルタイムで情報を引き出されてることはなさそうだ。こちらに気取られないほどの技術があるのかもしれないが、そうだとすればこちらにスパイを送り込んでくることはしないだろう。」
エリックさんは、そういいアレクシアさんを見る。
「嘘はついてないと思うよ? でも、言えないことはあるのかもしれないけど。暫く経過観察するのもいいわね。ちょうど私も妹分が欲しくて、毎日聖域通いしてたんだし」
アレクシアさんのその言葉に、リリーさんが反応した。
「妹分って、アレクシア、貴女、後継ぎ問題で悩んで聖域通いしてたんじゃないの?てっきり私はそう思って毎日付き合ってたのに……。それにこの子じゃ、妹じゃないでしょう。娘と言ってもおかしくないのですよ?」
えっ?娘っていやいやいや、10代後半とはいえアレクシアさんに娘じゃいろいろとまずいんじゃないの?赤ん坊なら、中世的にはあるのかもしれないけど…
そう思って、アレクシアさんを見る僕をみて、リリーさんはなぜか確証を深めたようだ。
「…アレクシア?貴女この子に、自分のことを話してませんね?」
えっ? そういえば名前しか聞いてない気もする。アレクシアさんは素知らぬ顔でそっぽを向いている。
「…いいですか、クロエさん。私とエリックの名誉の為にもいいますが、彼女アレクシア・ウィンターは、私の先輩で、エリックの後輩に当たります。見た目はこんなですが、その気になれば貴女どころか、街一つを消し炭にすること位容易い、最恐の魔女ですからね?」
心の中で、リアル美魔女きた~と喚いたのは内緒である。
結局、いろいろな尋問も、僕が何も知らないということを証明することにしかならなかったようだ。当面はアレクシアさんの庇護下で生活することを了承させられたけど、アレクシアさんの判断でどうとでもできる立ち位置だと確認させられた。
アレクシアさんとしては念願の妹をゲットし、僕は僕でわけのわからない異世界生活の当面の生活場所を確保することができたのである。
思うところはいろいろあるけど、とりあえずお互いWin-Winな関係が持てたのは幸いだよね。エリックさんとリリーさんが帰るのを見送った後、僕はアレクシアさんにお礼を言わねばと思う。
「アレクシアさん、いろいろご迷惑をかけるかと思いますが、よろしくお願いします。」
僕がそういうと、アレクシアさんはにこやかに笑います。
「そう?そう言ったことをきっと後悔するだろうけど、逃がさないわよ?うちの神域であたしが拾ったんだから、もともと貴女に拒否権なんてないしね。」
えっ、今何か物騒なことを言ったよね、この人。僕がよほど怖そうな顔をしたのか、アレクシアさんは言葉を追加した。
「大丈夫よ。逃げない限り、私からは何もしないから。さて、これで公に貴女を住み込みさせられるからね。衣類は準備済みだから、他に必要なものを買いに行きましょうか」
「……衣類の準備ができているってどういうことなんです?」
嫌な予感がして、僕はアレクシアさんに尋ねます。そういえばこの服もサイズがぴったりだったし……。彼女はこちらを見て、艶やかな笑みを浮かべました。
「決まってるじゃない?折角一緒にいるのに、貴女全然目を覚まさないんだもの。クロエのあんなとこやこんなとこまで、全部採寸済みよ。下着もドレスもぴったりだったでしょ?」
こっこの人は~。絶対確信犯だ。自分のしたいこと、やりたいことなら努力を惜しまないタイプにちがいない。僕はあえて眠っているとき採寸されている自分の姿と、嬉々として採寸しているアレクシアさんの姿を思い浮かべないようにした。全く、とんでもない人のところに住み込むことになっちゃったのかもしれない。ドレスじゃなきゃ、Orzだよ。
*****
二人で買い物に行くことにして、玄関ホールを抜け外にでると、そこは白い石造りの建物を円形に配置した3層に分かれた建物の区画で、中央には巨大な塔がはるか上に伸びていた。イメージ的には、ローマ当たりの闘技場の外周部が居住区で、中央に塔がそびえている感じ。
「ここは、ファロス島。島と言っても島じゃないんだけどね。中央に建っているのは灯台だよ。うちは南端だから、通路を半周しないと上階層の街に行けないんだよね。」
そう言って指さす方向に、まっすぐ伸びる通路がみえ、その先に石造りの街がみえている。中央によって下を見てみると、下に2層あり、ここは3層目の様です。下の階層はそれなりに人は多い。3層目は人が少なく、ベンチや広場などのエリアが多くとられている。
そんな僕をみて微笑みながら、アレクシアさんは僕を反対側の通路へと促します。通路から街の方向をみて、僕はさらにあっけにとられてしまった。通路からみる街の両端は巨大な滝となっている。通路の下は川となって流れていく。
ファロスがなんで島と言われるかがよく判った。地上から、100mは屹立しているこの巨大な石柱は、灯台が立っているせいで、余計島のイメージが強い。街までの距離は約100m。滝からの水飛沫が霧のように吹きあがっている。
川と滝に囲まれた街、アレキサンドリア上階層は城壁に囲まれた城塞都市の様相を示している。人が多くなるにしたがって、だんだん視線が集まってくるのを感じる。なんだろう、アレクシアさんを見ている羨望というか、憧れの視線?それに反して僕を見る目が物理的に刺さるかのようだ。
アレクシアさんの見た目から、男性の憧れの視線はわかるけど、女性の視線もまた熱い気がする。そして、一緒にいる僕に対する視線が、物理的効力を発揮するくらい痛いんだけど。正直、女子怖~ってなってますよ?
いよいよ尋問タイムのようだ。話を始める前に、エリックさんはポケットから透明な丸い球体を取り出して、僕のほうに放ってきた。反射的に受け取ってしまったが、どういうつもりかとエリックさんを見つめる。
「さて、お互い現状判らないことだらけなんでね。質問をさせてもらうが、君はここがどこかわかっているかい?」
正直、アイオライトという名前しかアリアは言ってないので判らない。それが、世界名なのか惑星名なのか、国家名かもしれないけど、現状の知識では何一つわからないので、首を左右に振ることで質問に答える。
「では、簡単に状況を説明しよう。」
そういって、エリックさんが話してくれたのは最低限の情報だ。こちらに重要な情報を教えるわけでもなく、僕の反応から情報を得ようとしているのだろうけど、僕自身何も知らないから彼が知りたいことを伝えられるわけじゃない。エリックさんからの情報では、次のようなことが分かった。
・現在地は 都市国家 アレキサンドリアの上階層 アレクシアさんの自宅にいる
・アレキサンドリアについて
交易都市、魔法都市として知られている海岸段丘上にある共和国家の代表都市
・僕の出現について
3日前、南の洋上に輝く光点が出現。光点はそのまま落下を開始し、緊急展開した魔法障壁を貫通し、アレキサンドリア北区の聖域に落下
その場に居合わせたアレクシアとリリーさんによって、光点の落下地点から発見された
発見された当初は、僕は全裸状態だったらしい。
・発見後について
アレクシアの自宅に連れてこられて今日まで眠った状態
というところらしい。地名はアレキサンドリアという都市名しかだしていないし、光点が暗に僕だと言ってるだけで明言もしていない。相手に情報を与えず、情報をとるために最低限の知ってると思われることだけを話すのはなかなか手練れだよね。質問者の余計な発言から、相手に情報を与えてしまうのは多々あることなのだから。
「……で、以上がこちらのカードだが、そちらのカードはどうなんだ?」
エリックさんはそう言い、こちらに話を促してくる。
「僕の名前はクロエ。光の点とかはわからないけど、他には何も思い出せません。」
僕はそう答えエリックさんを見るが、エリックさんは僕の目を見ていない。見ているのは、さっき投げてきた丸い球体?
「…そうか。記憶喪失ってわけかい? 君達はどう思う?」
エリックさんは、リリーさんとアレクシアさんに声をかけた。
「少なくても、意図的に嘘はついていないでしょうね。この年齢で隠せるほどの訓練を行える国はほとんどないでしょうし、近隣の国のなかではありません。」
これはリリーさんの発言。
「あぁ、それにこいつに渡した水晶球もなんの反応もない。少なくても、魔法の要素はないってことは、リアルタイムで情報を引き出されてることはなさそうだ。こちらに気取られないほどの技術があるのかもしれないが、そうだとすればこちらにスパイを送り込んでくることはしないだろう。」
エリックさんは、そういいアレクシアさんを見る。
「嘘はついてないと思うよ? でも、言えないことはあるのかもしれないけど。暫く経過観察するのもいいわね。ちょうど私も妹分が欲しくて、毎日聖域通いしてたんだし」
アレクシアさんのその言葉に、リリーさんが反応した。
「妹分って、アレクシア、貴女、後継ぎ問題で悩んで聖域通いしてたんじゃないの?てっきり私はそう思って毎日付き合ってたのに……。それにこの子じゃ、妹じゃないでしょう。娘と言ってもおかしくないのですよ?」
えっ?娘っていやいやいや、10代後半とはいえアレクシアさんに娘じゃいろいろとまずいんじゃないの?赤ん坊なら、中世的にはあるのかもしれないけど…
そう思って、アレクシアさんを見る僕をみて、リリーさんはなぜか確証を深めたようだ。
「…アレクシア?貴女この子に、自分のことを話してませんね?」
えっ? そういえば名前しか聞いてない気もする。アレクシアさんは素知らぬ顔でそっぽを向いている。
「…いいですか、クロエさん。私とエリックの名誉の為にもいいますが、彼女アレクシア・ウィンターは、私の先輩で、エリックの後輩に当たります。見た目はこんなですが、その気になれば貴女どころか、街一つを消し炭にすること位容易い、最恐の魔女ですからね?」
心の中で、リアル美魔女きた~と喚いたのは内緒である。
結局、いろいろな尋問も、僕が何も知らないということを証明することにしかならなかったようだ。当面はアレクシアさんの庇護下で生活することを了承させられたけど、アレクシアさんの判断でどうとでもできる立ち位置だと確認させられた。
アレクシアさんとしては念願の妹をゲットし、僕は僕でわけのわからない異世界生活の当面の生活場所を確保することができたのである。
思うところはいろいろあるけど、とりあえずお互いWin-Winな関係が持てたのは幸いだよね。エリックさんとリリーさんが帰るのを見送った後、僕はアレクシアさんにお礼を言わねばと思う。
「アレクシアさん、いろいろご迷惑をかけるかと思いますが、よろしくお願いします。」
僕がそういうと、アレクシアさんはにこやかに笑います。
「そう?そう言ったことをきっと後悔するだろうけど、逃がさないわよ?うちの神域であたしが拾ったんだから、もともと貴女に拒否権なんてないしね。」
えっ、今何か物騒なことを言ったよね、この人。僕がよほど怖そうな顔をしたのか、アレクシアさんは言葉を追加した。
「大丈夫よ。逃げない限り、私からは何もしないから。さて、これで公に貴女を住み込みさせられるからね。衣類は準備済みだから、他に必要なものを買いに行きましょうか」
「……衣類の準備ができているってどういうことなんです?」
嫌な予感がして、僕はアレクシアさんに尋ねます。そういえばこの服もサイズがぴったりだったし……。彼女はこちらを見て、艶やかな笑みを浮かべました。
「決まってるじゃない?折角一緒にいるのに、貴女全然目を覚まさないんだもの。クロエのあんなとこやこんなとこまで、全部採寸済みよ。下着もドレスもぴったりだったでしょ?」
こっこの人は~。絶対確信犯だ。自分のしたいこと、やりたいことなら努力を惜しまないタイプにちがいない。僕はあえて眠っているとき採寸されている自分の姿と、嬉々として採寸しているアレクシアさんの姿を思い浮かべないようにした。全く、とんでもない人のところに住み込むことになっちゃったのかもしれない。ドレスじゃなきゃ、Orzだよ。
*****
二人で買い物に行くことにして、玄関ホールを抜け外にでると、そこは白い石造りの建物を円形に配置した3層に分かれた建物の区画で、中央には巨大な塔がはるか上に伸びていた。イメージ的には、ローマ当たりの闘技場の外周部が居住区で、中央に塔がそびえている感じ。
「ここは、ファロス島。島と言っても島じゃないんだけどね。中央に建っているのは灯台だよ。うちは南端だから、通路を半周しないと上階層の街に行けないんだよね。」
そう言って指さす方向に、まっすぐ伸びる通路がみえ、その先に石造りの街がみえている。中央によって下を見てみると、下に2層あり、ここは3層目の様です。下の階層はそれなりに人は多い。3層目は人が少なく、ベンチや広場などのエリアが多くとられている。
そんな僕をみて微笑みながら、アレクシアさんは僕を反対側の通路へと促します。通路から街の方向をみて、僕はさらにあっけにとられてしまった。通路からみる街の両端は巨大な滝となっている。通路の下は川となって流れていく。
ファロスがなんで島と言われるかがよく判った。地上から、100mは屹立しているこの巨大な石柱は、灯台が立っているせいで、余計島のイメージが強い。街までの距離は約100m。滝からの水飛沫が霧のように吹きあがっている。
川と滝に囲まれた街、アレキサンドリア上階層は城壁に囲まれた城塞都市の様相を示している。人が多くなるにしたがって、だんだん視線が集まってくるのを感じる。なんだろう、アレクシアさんを見ている羨望というか、憧れの視線?それに反して僕を見る目が物理的に刺さるかのようだ。
アレクシアさんの見た目から、男性の憧れの視線はわかるけど、女性の視線もまた熱い気がする。そして、一緒にいる僕に対する視線が、物理的効力を発揮するくらい痛いんだけど。正直、女子怖~ってなってますよ?
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