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8.未来へ……
06.行きはよいよい……?
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翌日の朝の鐘が鳴り終わると、僕たちは階下に降りて朝食の時間です。この宿は、裕福な商人などが泊まる宿ですので、朝食は小麦粉から作られた白いパンと、ネギの入ったポタージュスープ、少量の肉を香草と炒めたものにエールか薄めたワインです。
「……朝からエールやワインを飲む気分ではないので、僕はグラスだけ下さい。デーゲンハルトさんたちも、アルコールはほどほどにしてくださいよ? 御者台から落ちても知りませんからね」
席に着くなりエールをいただいているデーゲンハルトさんに、僕はさっそく注意します。この時代は上水道なんてものはアレキサンドリアくらいしかありませんので、アルべニア王国でも飲料水はエールや薄めたワインが主です。
まあ、夕刻以後の酒場で出るようエールやワインと違って、もともとアルコール度数の少ないもののようですが、乗り物に乗る前の大量の飲酒は危険ですからね。
「わかっているでありますよ。御者台も高いところにあるでありますから、落ちたらたまらないであります」
昨夜と違って生真面目な顔でうなづきつつ、クラリスさんを見て微笑みます。
「今回は、回復担当が自分だけではないでありますから、普段よりは安心でありますが、けがはしないほうがよいでありますから」
微笑みかけられたクラリスさんは、少し顔を赤らめています。同じ医療班で学んだ仲間とはいえ、弾性が女性を褒められることはないですから、慣れてないんでしょうね。
「怪我をしたときは安心とはいっても、このメンツだと遠距離物理攻撃担当が居ないんですの。夜営するときや、狩りの時に問題はないんですの?」
アメリアさんの言葉に、コリーヌさんが答えます。
「アルべニア王国は、基本的に貴族の荘園制をとっているんだ。農民が飼っている豚は別として、森や草原にいる羊やウサギ、鳥やイノシシはすべて領主である貴族の所有物なんだよ。
襲われたとき以外での勝手な狩猟は、密漁扱いとなって重い罰を与えられるんだ。もちろん、川や湖での魚や貝なんかの漁も同じだね。
例外は魔物の類だが、肉を食べたいからと言って魔物と戦うほどのリスクを冒すやつはいないしな」
……アレキサンドリアでは、森や草原、川などでの漁は特に問題はありませんでしたからね。それにしても、魚を捕ることもできないとはずいぶんですね。
「重い罰ってどんなものなんです?
やっぱり、高額な罰金とかなんですか?」
訪ねた僕に、コリーにさんが自分の左腕を指さして、右手を上から下に振ります。それって、
「……腕を落とされることもありってことですか?
それは注意しないといけませんね」
イノシシ一頭に腕一本じゃわりに合わなすぎです。とはいえ、これはしっかり覚えておいた方がよいでしょう。
場合によっては、イノシシなどに襲われて倒したとしても、結果的にイノシシを狩ったという事実によって、領主から言いがかりをつけられる可能性があるということです。
貴族は、それぞれの領地では王の代理人ともされていますからね。罪を作り、罰を下すことは思いのままということです。罰として、身ぐるみはがされた上に、生涯犯罪奴隷とされてしまうかもしれません。
「まぁ、よほどの事がないかぎり、冒険者ギルドに登録している我々には言いがかりは着けてこないであります。
ただ、我々が登録しているのはアレキサンドリアやチッタ・アベルタの冒険者ギルドなので、本人であるかの確認などをとる期間は拘束される可能性がありでありますから、狩猟はしないで進む方が良いであります」
デーゲンハルトさんの言葉に、僕たちはうなづいて朝食を再開するのでした。
◇◆◇◆◇◆
「最初に脅されていた割には、平和な旅ですね……」
一般の家よりははるかに大きいですが、貴族の屋敷としてはこじんまりとした、とある伯爵家の前に馬車が泊まりました。馬車をおりると、二メートルくらいの高さの石壁の内側は、見事な庭園が広がっていました。
ここまでは当然のことながら、一部の貴族領では関所が設けられており、僅かとはいえ兵士もいましたが、ロンタノ辺境伯の紹介状があるおかげで問題なく通過できており、予想されていた貴族の妨害というものもありません。
既に僕たちは、王都の手前から北へ向かう主要街道の手前で、北上するルートをとっていました。辺境伯からお墨付きを得た貴族領を通り、そうでない貴族領は大きな街を避けたルートで通過したため、関所から報告を受けたときには、僕たちは既にその貴族領を出て行った後という感じだからっです。
「君の造った馬車が早すぎて、報告が上がってからでは私たちを止めることができなかったからだよ。広い侯爵領の場合は、寄子の下位貴族から報告が上がってきても、我々を止める命令が伝わるまでに通過してしまったからね」
苦笑いを浮かべるコリーヌさんですが、そのあとはまじめな顔になって言葉をつづけました。
「行きは取り逃がしたというか、我々が通過することすら知らなかったからの結果だろうね。チッタ・アベルタから情報が入る前に我々が通過してしまった。
だが、私たちをどうしても止めたい貴族であれば、帰りは確実に待ち伏せされる可能性が高い。アルべニア国内で注意が必要なのは、帰路こそだろうな」
うんうんと、うなづいているデーゲンハルトさんですが、ならばなぜ貴族のお屋敷に寄るんでしょうね? それこそ、情報を広めてくれと言っているようなものですよ?
僕の視線に気づいたのか、デーゲンハルトさんは表情を変えて、取り繕った顔をしました。
「あ~、ゴホン。本日の宿泊は、こちらの貴族家となるんであります。ロンタノ辺境伯と。こちらのご息女からも是非にとお願いされたのであります」
?
ロンタノ辺境伯だけじゃなく、貴族令嬢から是非にって、おかしくないですか? 僕以外にもその点に気づいたのか、アルバートも冷たい声でデーゲンハルトさんを問い詰めます。
「おい、デーゲン。お前、チッタ・アベルタで、俺たちがミッテンベルグへ行くことを、アルべニア貴族に話したわけじゃないだろうな?
でなきゃ、一介の冒険者が貴族令嬢と面識あるのはおかしいんじゃないか?」
アルバートにも問い詰められ、僕やアメリアさんからもジト目を向けられたデーゲンハルトさんですが、コリーヌさんも同様に困ったような顔を向けています。
そして、進退極まったような表情のデーゲンハルトさんに救いの女神は…… 意外なところから現れたのです。それは、デーゲンハルトさんと同じく、イリスさんの教えを受けたクラリスさんでした。
「みなさん、すみません。今回はイリス班長からも了解が得られていたので、既に説明済みだと思っていました。こちらはノヴィエロ伯爵家でして、皆さんの安全は絶対に保証すると、令嬢もおっしゃっていたのですよ」
そして、門の内側に手を振りました。
僕たちの視線は、クラリスさんの手を振った相手へと向かいます。そして、そこには……
「よぉ、デーゲンハルト。無理言ってすまなかったね。あたしが帰り着くまでの時間稼ぎも頼んじまって、大丈夫……そうでもなさそうだな。
クラリスや、みんなも今日は楽しんでいってくれよ」
そういって現れたのは、チッタ・アベルタ医療班所属であり、アルべニア貴族のご令嬢でもあった褐色肌の美人さん、サンドラ・ノヴィエロ嬢だったのでした……
「……朝からエールやワインを飲む気分ではないので、僕はグラスだけ下さい。デーゲンハルトさんたちも、アルコールはほどほどにしてくださいよ? 御者台から落ちても知りませんからね」
席に着くなりエールをいただいているデーゲンハルトさんに、僕はさっそく注意します。この時代は上水道なんてものはアレキサンドリアくらいしかありませんので、アルべニア王国でも飲料水はエールや薄めたワインが主です。
まあ、夕刻以後の酒場で出るようエールやワインと違って、もともとアルコール度数の少ないもののようですが、乗り物に乗る前の大量の飲酒は危険ですからね。
「わかっているでありますよ。御者台も高いところにあるでありますから、落ちたらたまらないであります」
昨夜と違って生真面目な顔でうなづきつつ、クラリスさんを見て微笑みます。
「今回は、回復担当が自分だけではないでありますから、普段よりは安心でありますが、けがはしないほうがよいでありますから」
微笑みかけられたクラリスさんは、少し顔を赤らめています。同じ医療班で学んだ仲間とはいえ、弾性が女性を褒められることはないですから、慣れてないんでしょうね。
「怪我をしたときは安心とはいっても、このメンツだと遠距離物理攻撃担当が居ないんですの。夜営するときや、狩りの時に問題はないんですの?」
アメリアさんの言葉に、コリーヌさんが答えます。
「アルべニア王国は、基本的に貴族の荘園制をとっているんだ。農民が飼っている豚は別として、森や草原にいる羊やウサギ、鳥やイノシシはすべて領主である貴族の所有物なんだよ。
襲われたとき以外での勝手な狩猟は、密漁扱いとなって重い罰を与えられるんだ。もちろん、川や湖での魚や貝なんかの漁も同じだね。
例外は魔物の類だが、肉を食べたいからと言って魔物と戦うほどのリスクを冒すやつはいないしな」
……アレキサンドリアでは、森や草原、川などでの漁は特に問題はありませんでしたからね。それにしても、魚を捕ることもできないとはずいぶんですね。
「重い罰ってどんなものなんです?
やっぱり、高額な罰金とかなんですか?」
訪ねた僕に、コリーにさんが自分の左腕を指さして、右手を上から下に振ります。それって、
「……腕を落とされることもありってことですか?
それは注意しないといけませんね」
イノシシ一頭に腕一本じゃわりに合わなすぎです。とはいえ、これはしっかり覚えておいた方がよいでしょう。
場合によっては、イノシシなどに襲われて倒したとしても、結果的にイノシシを狩ったという事実によって、領主から言いがかりをつけられる可能性があるということです。
貴族は、それぞれの領地では王の代理人ともされていますからね。罪を作り、罰を下すことは思いのままということです。罰として、身ぐるみはがされた上に、生涯犯罪奴隷とされてしまうかもしれません。
「まぁ、よほどの事がないかぎり、冒険者ギルドに登録している我々には言いがかりは着けてこないであります。
ただ、我々が登録しているのはアレキサンドリアやチッタ・アベルタの冒険者ギルドなので、本人であるかの確認などをとる期間は拘束される可能性がありでありますから、狩猟はしないで進む方が良いであります」
デーゲンハルトさんの言葉に、僕たちはうなづいて朝食を再開するのでした。
◇◆◇◆◇◆
「最初に脅されていた割には、平和な旅ですね……」
一般の家よりははるかに大きいですが、貴族の屋敷としてはこじんまりとした、とある伯爵家の前に馬車が泊まりました。馬車をおりると、二メートルくらいの高さの石壁の内側は、見事な庭園が広がっていました。
ここまでは当然のことながら、一部の貴族領では関所が設けられており、僅かとはいえ兵士もいましたが、ロンタノ辺境伯の紹介状があるおかげで問題なく通過できており、予想されていた貴族の妨害というものもありません。
既に僕たちは、王都の手前から北へ向かう主要街道の手前で、北上するルートをとっていました。辺境伯からお墨付きを得た貴族領を通り、そうでない貴族領は大きな街を避けたルートで通過したため、関所から報告を受けたときには、僕たちは既にその貴族領を出て行った後という感じだからっです。
「君の造った馬車が早すぎて、報告が上がってからでは私たちを止めることができなかったからだよ。広い侯爵領の場合は、寄子の下位貴族から報告が上がってきても、我々を止める命令が伝わるまでに通過してしまったからね」
苦笑いを浮かべるコリーヌさんですが、そのあとはまじめな顔になって言葉をつづけました。
「行きは取り逃がしたというか、我々が通過することすら知らなかったからの結果だろうね。チッタ・アベルタから情報が入る前に我々が通過してしまった。
だが、私たちをどうしても止めたい貴族であれば、帰りは確実に待ち伏せされる可能性が高い。アルべニア国内で注意が必要なのは、帰路こそだろうな」
うんうんと、うなづいているデーゲンハルトさんですが、ならばなぜ貴族のお屋敷に寄るんでしょうね? それこそ、情報を広めてくれと言っているようなものですよ?
僕の視線に気づいたのか、デーゲンハルトさんは表情を変えて、取り繕った顔をしました。
「あ~、ゴホン。本日の宿泊は、こちらの貴族家となるんであります。ロンタノ辺境伯と。こちらのご息女からも是非にとお願いされたのであります」
?
ロンタノ辺境伯だけじゃなく、貴族令嬢から是非にって、おかしくないですか? 僕以外にもその点に気づいたのか、アルバートも冷たい声でデーゲンハルトさんを問い詰めます。
「おい、デーゲン。お前、チッタ・アベルタで、俺たちがミッテンベルグへ行くことを、アルべニア貴族に話したわけじゃないだろうな?
でなきゃ、一介の冒険者が貴族令嬢と面識あるのはおかしいんじゃないか?」
アルバートにも問い詰められ、僕やアメリアさんからもジト目を向けられたデーゲンハルトさんですが、コリーヌさんも同様に困ったような顔を向けています。
そして、進退極まったような表情のデーゲンハルトさんに救いの女神は…… 意外なところから現れたのです。それは、デーゲンハルトさんと同じく、イリスさんの教えを受けたクラリスさんでした。
「みなさん、すみません。今回はイリス班長からも了解が得られていたので、既に説明済みだと思っていました。こちらはノヴィエロ伯爵家でして、皆さんの安全は絶対に保証すると、令嬢もおっしゃっていたのですよ」
そして、門の内側に手を振りました。
僕たちの視線は、クラリスさんの手を振った相手へと向かいます。そして、そこには……
「よぉ、デーゲンハルト。無理言ってすまなかったね。あたしが帰り着くまでの時間稼ぎも頼んじまって、大丈夫……そうでもなさそうだな。
クラリスや、みんなも今日は楽しんでいってくれよ」
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