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悪魔、人間の本拠地へ
35.ミカに関して
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展示室で天使マイヤの絵画を見た後、俺は団長に頼んでメモ帳を貰った。ちょうど予備があったらしく、快く譲ってもらうことが出来たのはラッキーだ。
俺はこのメモ帳にミカに関しての事をメモする事にした。
今まで聞いたこと、関係のありそうな事少しでもまとめれば見えてくると思ったから。覚えてる事全てを日本語で書き出した。これなら他の勇者にしか読めない。
まず、ミカについて分かってる事。
種族は淫魔で、その中でもサキュバスだ。他人の体液から魔力を補充する種族。体内で生産される魔力が少なく、外部からの補給も乏しい弱い種族だと聞いている。ミカは補充さえ出来ればチート級の悪魔だ。
今はサキュバスとしての体質を変化させているらしい。時間経過で自然回復可能な体になるとか。どうやって種族を捻じ曲げたのかは不明だが、多分人間には理解できない方法なのだろう。特に魔法は完全専門外だ。
ミカの能力がチート級だという認識は悪魔も同じらしい。同族からも化け物呼ばわりされる魔王以上の実力者。ミカが目の前で人間を喰ったあの夜の様子から、ミカは同族からも受け入れられていなかったのだろう。人間である俺がミカを受け入れ愛を伝えるだけでも驚かれていたな。なんなら「正気か?」って心配までされた。
そんなミカは悪魔の国で色々な役割を担っていたようだ。唯一の番人から魔王の代理まで。あと毒味を仕事にしてたこともあるらしい。何の躊躇いもなく林檎の味見と毒味をした時は驚いたものだ。あの時はまだミカのことをよく知らなかったからな。最近は段々と慣れてきて、大抵の事は驚かなくなっていた。
たぶん、俺の知らない事もたくさんしている。薬の調合だったり魔法を新しく編んだり、家事炊事まで全部熟す。逆にできない事が無いのかと言いたくなるほど。
強くて何でも出来るミカ。天魔大戦にも参戦していた。それについてはよく分かっていない。ただ、戦っていたと言う情報だけ。でもミカは知っているはずだ。大戦が始まった理由を。そう言える根拠もある。
ミカは終戦する条件を知ってる。つまり、何のための戦争かを知っている。世界単位の大戦が、ただ戦いたくて始めましたなんてアホみたいなものでは無いはず。何か理由があるはずだ。統率者を失ってまで戦争を続ける理由が。魔王を代理で務めるような人物がそれを知らないと言うのもおかしな話。だから、ただの予想であれどミカが知っている可能性は高い。
俺が知っているミカの能力。それは相当多い。よくある元素魔法や回復、身体能力向上、それに聖力も扱う。あとは最初にくらった睡眠や感覚麻痺、幻覚。年齢操作もしてたし、髪の毛や翼の色も変えていた。人を喰らう時は体から黒霧を出して呑み込んでいたな。捕獲系の依頼や第四種と出会った時は鎖を操っていた。あと、体から意識を切り離して外を見る事もあった。
まだまだキリはないが、こうやって見るとメジャーな魔法にプラスで操る系の魔法が多い。操る対象は物より人という感じだが。
他にも事細かにメモをした。出会う前の名前は捨てていること、『リヒト』という名の知人がいること、味覚はあるが甘味以外を美味しいと感じないこと、毒は効かないがアルコールには弱いこと、陛下のような友人を亡くしていること、痛みに慣れていて傷に気付かないこと……他にもたくさん。
こんなに知ってるはずなのに、まだまだ全然足りない。
そしてここからは考察。実際に本人から聞いた事ではない、ただの憶測だ。
展示室で見たものはかなり考察材料になる。と言うより、それ以外は情報が少ない。本人から聞いていない本人の情報がそれだけだからだ。
先程出した情報を元に考察する。
まず、天使マイヤの絵画に描かれていた人物について。以前団長が持って来ていた資料をもう一度借りた。そこには作品の説明文なんかが書いてあるが、タイトルは人がつけた物で解説も憶測や感想だけ。情報は少ない。
赤髪の悪魔と二重光輪の天使は森に描かれている。それも例外無く。恐らく二人と天使マイヤはここでよく集まっていたのだろう。そして二重光輪の天使はおそらくミカ。二重光輪の天使が実在しないにも関わらず団長がミカを天使だと信じ込んだのは、おそらくこの絵画に描かれているからだろう。
そして、この絵画の存在をミカは知っているのだろう。「二重光輪の天使は実在しないが絵画によく描かれている」と言っていたから。資料によると、天使を描くのは天使のみらしい。実在しない天使を想像だけで描く事は冒涜になるそうだ。展示場所も知らないのに絵画の存在を知っている。そう考えるとやはり描かれているのはミカで、天使マイヤが絵を描いてる時に赤髪の悪魔と共にいたことになる。
そしてその赤髪の悪魔はおそらく魔王。判断材料が少ないため憶測に過ぎないが。ミカ(仮定)と共に描かれている事がほとんどで、天魔大戦の絵画にも赤髪の悪魔がいる。同一人物かどうかは分からないが、可能性はある。天魔大戦で倒れている赤髪の悪魔が魔王なのはほぼ確定だろう。天魔大戦の伝承と状況が一致しているから。
……待てよ?もし、天魔大戦の伝承がこの絵画から読み取って予測した物だとしたら?この絵を見た人が『倒れているのは魔王で、首の無い大天使が自分の命と引き換えに打ったのか』と解釈して広めたのだとしたら、伝承の情報は当てにならないんじゃ…。
判断材料が消えた。そもそも伝承が事実と異なるのはミカから聞いていた事だ。
天使は人間を守っていない。
悪魔は人間を傷つけてすらいない。
人々が信じているものはただの憶測だ。それが本当かどうかなんて知らず、ただ『それが事実だ』と聞いて信じきっているだけ。大天使が命を代償に魔王を打った。本当に大天使は自死したのか?倒れているのは本当に魔王か?大天使が勝ったなら、何故他の天使達は逃げようとしている?そもそも、首が無い大天使は本当に大天使なのか?
全てが疑わしくなる。考察は続けられそうに無い。
でも、これだけは分かる。
大天使と思われる首の無い人物は、自死ではなく殺された。
それは間違いないだろう。でなければ天使達が逃げる意味が無い。首無しは翼が六枚と他より多いことから上位の存在ではあるのだろう。それが殺されたから逃げた。他に天使が戦線離脱する理由があるだろうか。
結局、メモに纏めて気付いた事は無い。ミカに関して考えられた事は無く、天魔大戦の違和感に気付いただけ。でも、この情報がいつか役に立つかもしれない。
いや、役に立つ前にミカが戻れば少しは解決するか。
俺はこのメモ帳にミカに関しての事をメモする事にした。
今まで聞いたこと、関係のありそうな事少しでもまとめれば見えてくると思ったから。覚えてる事全てを日本語で書き出した。これなら他の勇者にしか読めない。
まず、ミカについて分かってる事。
種族は淫魔で、その中でもサキュバスだ。他人の体液から魔力を補充する種族。体内で生産される魔力が少なく、外部からの補給も乏しい弱い種族だと聞いている。ミカは補充さえ出来ればチート級の悪魔だ。
今はサキュバスとしての体質を変化させているらしい。時間経過で自然回復可能な体になるとか。どうやって種族を捻じ曲げたのかは不明だが、多分人間には理解できない方法なのだろう。特に魔法は完全専門外だ。
ミカの能力がチート級だという認識は悪魔も同じらしい。同族からも化け物呼ばわりされる魔王以上の実力者。ミカが目の前で人間を喰ったあの夜の様子から、ミカは同族からも受け入れられていなかったのだろう。人間である俺がミカを受け入れ愛を伝えるだけでも驚かれていたな。なんなら「正気か?」って心配までされた。
そんなミカは悪魔の国で色々な役割を担っていたようだ。唯一の番人から魔王の代理まで。あと毒味を仕事にしてたこともあるらしい。何の躊躇いもなく林檎の味見と毒味をした時は驚いたものだ。あの時はまだミカのことをよく知らなかったからな。最近は段々と慣れてきて、大抵の事は驚かなくなっていた。
たぶん、俺の知らない事もたくさんしている。薬の調合だったり魔法を新しく編んだり、家事炊事まで全部熟す。逆にできない事が無いのかと言いたくなるほど。
強くて何でも出来るミカ。天魔大戦にも参戦していた。それについてはよく分かっていない。ただ、戦っていたと言う情報だけ。でもミカは知っているはずだ。大戦が始まった理由を。そう言える根拠もある。
ミカは終戦する条件を知ってる。つまり、何のための戦争かを知っている。世界単位の大戦が、ただ戦いたくて始めましたなんてアホみたいなものでは無いはず。何か理由があるはずだ。統率者を失ってまで戦争を続ける理由が。魔王を代理で務めるような人物がそれを知らないと言うのもおかしな話。だから、ただの予想であれどミカが知っている可能性は高い。
俺が知っているミカの能力。それは相当多い。よくある元素魔法や回復、身体能力向上、それに聖力も扱う。あとは最初にくらった睡眠や感覚麻痺、幻覚。年齢操作もしてたし、髪の毛や翼の色も変えていた。人を喰らう時は体から黒霧を出して呑み込んでいたな。捕獲系の依頼や第四種と出会った時は鎖を操っていた。あと、体から意識を切り離して外を見る事もあった。
まだまだキリはないが、こうやって見るとメジャーな魔法にプラスで操る系の魔法が多い。操る対象は物より人という感じだが。
他にも事細かにメモをした。出会う前の名前は捨てていること、『リヒト』という名の知人がいること、味覚はあるが甘味以外を美味しいと感じないこと、毒は効かないがアルコールには弱いこと、陛下のような友人を亡くしていること、痛みに慣れていて傷に気付かないこと……他にもたくさん。
こんなに知ってるはずなのに、まだまだ全然足りない。
そしてここからは考察。実際に本人から聞いた事ではない、ただの憶測だ。
展示室で見たものはかなり考察材料になる。と言うより、それ以外は情報が少ない。本人から聞いていない本人の情報がそれだけだからだ。
先程出した情報を元に考察する。
まず、天使マイヤの絵画に描かれていた人物について。以前団長が持って来ていた資料をもう一度借りた。そこには作品の説明文なんかが書いてあるが、タイトルは人がつけた物で解説も憶測や感想だけ。情報は少ない。
赤髪の悪魔と二重光輪の天使は森に描かれている。それも例外無く。恐らく二人と天使マイヤはここでよく集まっていたのだろう。そして二重光輪の天使はおそらくミカ。二重光輪の天使が実在しないにも関わらず団長がミカを天使だと信じ込んだのは、おそらくこの絵画に描かれているからだろう。
そして、この絵画の存在をミカは知っているのだろう。「二重光輪の天使は実在しないが絵画によく描かれている」と言っていたから。資料によると、天使を描くのは天使のみらしい。実在しない天使を想像だけで描く事は冒涜になるそうだ。展示場所も知らないのに絵画の存在を知っている。そう考えるとやはり描かれているのはミカで、天使マイヤが絵を描いてる時に赤髪の悪魔と共にいたことになる。
そしてその赤髪の悪魔はおそらく魔王。判断材料が少ないため憶測に過ぎないが。ミカ(仮定)と共に描かれている事がほとんどで、天魔大戦の絵画にも赤髪の悪魔がいる。同一人物かどうかは分からないが、可能性はある。天魔大戦で倒れている赤髪の悪魔が魔王なのはほぼ確定だろう。天魔大戦の伝承と状況が一致しているから。
……待てよ?もし、天魔大戦の伝承がこの絵画から読み取って予測した物だとしたら?この絵を見た人が『倒れているのは魔王で、首の無い大天使が自分の命と引き換えに打ったのか』と解釈して広めたのだとしたら、伝承の情報は当てにならないんじゃ…。
判断材料が消えた。そもそも伝承が事実と異なるのはミカから聞いていた事だ。
天使は人間を守っていない。
悪魔は人間を傷つけてすらいない。
人々が信じているものはただの憶測だ。それが本当かどうかなんて知らず、ただ『それが事実だ』と聞いて信じきっているだけ。大天使が命を代償に魔王を打った。本当に大天使は自死したのか?倒れているのは本当に魔王か?大天使が勝ったなら、何故他の天使達は逃げようとしている?そもそも、首が無い大天使は本当に大天使なのか?
全てが疑わしくなる。考察は続けられそうに無い。
でも、これだけは分かる。
大天使と思われる首の無い人物は、自死ではなく殺された。
それは間違いないだろう。でなければ天使達が逃げる意味が無い。首無しは翼が六枚と他より多いことから上位の存在ではあるのだろう。それが殺されたから逃げた。他に天使が戦線離脱する理由があるだろうか。
結局、メモに纏めて気付いた事は無い。ミカに関して考えられた事は無く、天魔大戦の違和感に気付いただけ。でも、この情報がいつか役に立つかもしれない。
いや、役に立つ前にミカが戻れば少しは解決するか。
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