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武人祭
起きた出来事
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書籍化に伴い、学園の名前を「コノハ」とします。
尚、ここまで出てきた「ルノワール」の変更は、書籍化し次第となりますのでしません。
混乱させてしまうと思いますが、ご承諾のほどお願い致します。
☆★☆★
「呼ばれて飛び出て俺、参上」
「ふざけないでくれるかな、アヤト君!?」
カイトが事件を起こしたからと、俺は学園長の部屋に呼び出されたので、少しでも空気を軽くしようとぶっ込んだ。結果、学園長に間髪をいれずに怒鳴られてしまった。
「カルシウムが足りなくなってそうだから持ってきたぞ」
スッと牛乳を二つほど学園長の前の机に置く。
「ああ、おかげさまで。不足し過ぎてそのうちまた背が縮むんじゃないかって思えてくるよ」
学園長は冗談に冗談で返し、置いた牛乳を手に取って飲み始めた。一応、背は伸ばしたいとは思っているらしい。
「んで? その騒ぎを起こした張本人が、なんでこんな・・・・・・闇魔術食らったみたいに落ち込んでんの?」
カイトを見ると、ソファーの隅で肩身が狭そうに体を縮こまっていた。
レナやジジリもその場にいたらしいが、教室に戻って授業を受けているらしい。ちなみにメアたちも教室だ。
「先に言っておくが、まだ説教と言える説教はしてないよ。事の真相というか、彼がしでかした内容を聞いた辺りからあの状態になってしまってるよ」
「そのしでかした内容って?」
俺の疑問に、学園長が少し怖い顔をする。まさか俺関係?
「その前に聞きたいことがある。君は彼らに、どんな修業をしているの?」
なんだ、そんなことか、と言いそうになってしまったが、もし今回の騒動が、俺の教えている内容のせいなら、と学園長は考えているのだろう。
「俺が教えているのは肉体面や精神面に関して鍛えているだけだ。あとは武器や防具を作ってやってるくらいか・・・・・・で? カイトは何をしたって?」
まだ少し疑ってるようだが、何が起きたかを俺も把握しないと、推測のしようがない。
「暴走だよ。しかも滅多には見れない魔力の練り込まれた、特大級に強い魔術の炎の玉を作り出したんだ。それをレナさんたちに向けた」
「・・・・・・なるほどな」
カイトが落ち込んでるのは味方に・・・・・・いや、レナに攻撃を向けてしまったからか。
「僕としては、君たちが何かしたんじゃないかって考えてる」
「まぁ、妥当だな。だけど心当たりはないぞ。俺が把握してる範囲では、カイトは魔術なんてまだ習ってすらないし、現に昨日まで使ってない。それに暴走となるとな・・・・・・」
落ち込んでるカイトを見ると、あることに気付く。赤い髪の中にある、黒髪の比率が増えていたのだ。
あー、これは心当たりがあるぞぉ・・・・・・。
「そうだね、これは単なる推測になるけれど・・・・・・魔族大陸で何かあったんじゃないのかい?」
「・・・・・・」
図星を突かれてしまい、思わず言葉に詰まってしまった。そんな俺のわかりやすい反応に、学園長は大きく溜め息を吐く。
「やっぱりか。魔族大陸から帰ってきた時には、彼の髪がすでに黒くなっていたし、気になってたからそのうち聞こうと思っていたけど・・・・・・何があったんだい?」
何も答えないまま、俺は沈黙してしまう。
「何があったか」を答えるということは、カイトが一度死んだことを言わなければならない。
今まで普通に暮らしていたためそのことを忘れていたが、いつかは言わなければならなかったことなのかもしれない。
俺は魔族大陸で体験したことを、学園長に全て話した。
「・・・・・・アヤト君」
学園長が重々しい雰囲気を纏って、俺を呼ぶ。
「ちょっとしゃがんでくれるかい?」
この時点で何をされるかは察した。
言われた通りしゃがみ、潔くそれを受け入れるために目を閉じた。
ーーバチンッ!
と風船を割ったような破裂音鳴り、右頬に衝撃が走った。薄く目を開けると、学園長が左手を振った直後の構えが見え、そのことからビンタされたのだとわかる。
「し、師匠!? 学園長、なんで・・・・・・?」
学園長の行動にカイトは戸惑い、その学園長自身の表情は怒っているような、そうでないような、そんな微妙な顔をしていた。
「ありがとうアヤト君、わざと受けてくれて」
「礼をする必要ないだろ。これは受けなきゃいけないもんだから」
「ああ、せめてものケジメだ。カイト君、これは必要なことなん
だよ」
学園長はそう言いながら、ビンタした左手を撫でる。痛かったのか・・・・・・。
しかし、学園長は真剣な顔をしたまま、言葉を続ける。
「本来は彼の両親に伝えて彼ら自身がすべきことなのだろうけれど、僕としてもこのことは黙っていた方がいいと思う。何せ、息子が一度死んで生き返った、なんて結果的に生きてても心臓に悪いだろう? だから僕が代わりに怒っておく・・・・・・なんて、身勝手な理由だけどね」
「それはお優しいことで」
皮肉で返すと学園長が軽く笑う。
「さて、どうせ授業も中断しちゃったことだし、君たちには少し僕の昔話に付き合ってもらうかな」
「「えっ」」
まさかの展開に、俺とカイトが同時に声を上げる。
「何、そんなつまらない話じゃないさ。なんせ、僕が体験した二十年前の戦争のことだからねーー」
☆★☆★
学園長ルビア・・・・・・今はそう呼ばれているけれども、これは二十年前、まだ冒険者をしていて、Sランクだった頃の僕のお話ーー
「「・・・・・・」」
ガタガタと揺れる馬車の中。
その中では六人が乗っており、重い空気が流れ、沈黙が続いていた。
僕を始め、人間の男、魔族の女性二人、亜人の男性二人といった組み合わせ。
僕は今のような立派なスーツではなく、ちょっと地味目の冒険者らしい服装だった。
人間の男はアヤト君と同じくらいの年齢っぽい青少年で、見た目も黒髪黒目、服装は暗殺者のような黒で統一してマフラーのようなものを首に巻いていた。
亜人の二人は、獅子のようなたてがみのある大男が一人と、同じく体の大きな赤い肌と角の生えた男が一人。
共に図体が大きく、腕を組んで不機嫌そうに俯いて座っている。
そして魔族は、一人は長い白髪を三つ編みにして前に垂らして目を瞑っている。
もう一人は長い金髪を後ろで縛ってポニーテールにし、この重い空気の中、手元にあるパンらしきものを美味そうにムシャムシャ食べていた。
そしてついに痺れを切らした獅子の男が口を開く。
「おい、魔族の金髪女。いい加減静かに食え。食いカスがこっちまで飛んで鬱陶しいぞ」
その言葉に一旦食べるのをやめる金髪の魔族。
しかし口に食べ物を詰め過ぎた彼女は中々飲み込めず、代わりに白髪の女魔族が苦笑いして答えた。
「悪いな、こいつにはいくら言い聞かせても食べ方を変えようとしなくてな・・・・・・」
「ふぇるひあはま、んはほほいわはくへほ・・・・・・」
「食べカスが飛ぶっつってんだろ!? 飲み込んでから喋りやがれ!」
金髪魔族が口に食べ物を含みながら喋ると中のものが飛び散り、獅子男が怒鳴る。
白髪魔族も呆れ気味に溜め息を吐き、金髪魔族はゴクリと飲み込んだ。
「んなチマチマ食うのは性に合わねえよ!」
「それは同意だな!」
獅子男と金髪魔族がガッハッハッ!と豪快に笑う。なんだ、この脳筋みたいな会話は?
その様子に白髪魔族が頭を痛そうに抱え、それを僕と青年はただただ見つめていただけだった。
そして再び食い始める金髪魔族と、その食料を分けて貰って食べ始める獅子男。
すると白髪魔族が僕たちの方へと向く。
「こいつらは放っておいて、とりあえず自己紹介と現状の確認をしようか。私はペルディア、現魔王の座に着いている者だ」
「ま、魔王!?」
隣に座っている青年が驚く。僕も声は出さなかったが、少なからず驚いていた。
まさか魔族の王が目の前にいるなんて・・・・・・だがしかし、現状を考えればそれも致し方ないと言えるだろう。
「そしてこの食いしん坊はナルシャだ。魔法は使えないが、肉体がかなり強固だ。そこの獅子族や鬼族の男にも引けを取らないだろう」
ペルディアの言葉に獅子男の目がキラリと光る。
「ほう、それは聞き捨てならんな? 俺は獅子族の長、レオンハートだ。レオンと呼んでくれていい。そんでこっちは鬼族のリゲイド。普段は喋らねえ寡黙な奴だが、根はいい奴だ。俺たちは二人共、そんじょそこらの亜人よりは体力に自信があるぜ?」
「・・・・・・」
今まで黙っていたリゲイドが薄く目を開き、僕たちを見据える。
憎んでいるわけでも品定めしているわけでもないその睨むような鋭い眼光は嫌ではなかった。
今度は僕らが話す番だ。
「僕はルビア。Sランク冒険者をしていて、みんなからは賢者とか呼ばれてるよ」
「・・・・・・ずいぶん幼い容姿だが、実は数百歳とかか?」
疑うように目を細めて僕を見るレオン。失礼な。
「僕を君たちみたいな長寿種と一緒にしないでくれ。ただの十三の可憐な少女だよ」
「ガハハハハッ、自分で言いやがったな! そんで、そっちの坊主は?」
レオンが視線を青年に向けると、彼はオドオドとしながら答える。
「あ、えっと・・・・・・コノハと言います。それで僕、あまり戦ったことはないんですけれど、ここにいていいんですかね・・・・・・?」
「「・・・・・・は?」」
コノハと名乗った青年の様子を窺うような言葉に、僕とペルディア、レオンの声が重なる。
ーーーー
お気に入り数6000人突破ありがとうございます!
これからも書籍の方と共によろしくお願いしますm(_ _)m
尚、ここまで出てきた「ルノワール」の変更は、書籍化し次第となりますのでしません。
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「呼ばれて飛び出て俺、参上」
「ふざけないでくれるかな、アヤト君!?」
カイトが事件を起こしたからと、俺は学園長の部屋に呼び出されたので、少しでも空気を軽くしようとぶっ込んだ。結果、学園長に間髪をいれずに怒鳴られてしまった。
「カルシウムが足りなくなってそうだから持ってきたぞ」
スッと牛乳を二つほど学園長の前の机に置く。
「ああ、おかげさまで。不足し過ぎてそのうちまた背が縮むんじゃないかって思えてくるよ」
学園長は冗談に冗談で返し、置いた牛乳を手に取って飲み始めた。一応、背は伸ばしたいとは思っているらしい。
「んで? その騒ぎを起こした張本人が、なんでこんな・・・・・・闇魔術食らったみたいに落ち込んでんの?」
カイトを見ると、ソファーの隅で肩身が狭そうに体を縮こまっていた。
レナやジジリもその場にいたらしいが、教室に戻って授業を受けているらしい。ちなみにメアたちも教室だ。
「先に言っておくが、まだ説教と言える説教はしてないよ。事の真相というか、彼がしでかした内容を聞いた辺りからあの状態になってしまってるよ」
「そのしでかした内容って?」
俺の疑問に、学園長が少し怖い顔をする。まさか俺関係?
「その前に聞きたいことがある。君は彼らに、どんな修業をしているの?」
なんだ、そんなことか、と言いそうになってしまったが、もし今回の騒動が、俺の教えている内容のせいなら、と学園長は考えているのだろう。
「俺が教えているのは肉体面や精神面に関して鍛えているだけだ。あとは武器や防具を作ってやってるくらいか・・・・・・で? カイトは何をしたって?」
まだ少し疑ってるようだが、何が起きたかを俺も把握しないと、推測のしようがない。
「暴走だよ。しかも滅多には見れない魔力の練り込まれた、特大級に強い魔術の炎の玉を作り出したんだ。それをレナさんたちに向けた」
「・・・・・・なるほどな」
カイトが落ち込んでるのは味方に・・・・・・いや、レナに攻撃を向けてしまったからか。
「僕としては、君たちが何かしたんじゃないかって考えてる」
「まぁ、妥当だな。だけど心当たりはないぞ。俺が把握してる範囲では、カイトは魔術なんてまだ習ってすらないし、現に昨日まで使ってない。それに暴走となるとな・・・・・・」
落ち込んでるカイトを見ると、あることに気付く。赤い髪の中にある、黒髪の比率が増えていたのだ。
あー、これは心当たりがあるぞぉ・・・・・・。
「そうだね、これは単なる推測になるけれど・・・・・・魔族大陸で何かあったんじゃないのかい?」
「・・・・・・」
図星を突かれてしまい、思わず言葉に詰まってしまった。そんな俺のわかりやすい反応に、学園長は大きく溜め息を吐く。
「やっぱりか。魔族大陸から帰ってきた時には、彼の髪がすでに黒くなっていたし、気になってたからそのうち聞こうと思っていたけど・・・・・・何があったんだい?」
何も答えないまま、俺は沈黙してしまう。
「何があったか」を答えるということは、カイトが一度死んだことを言わなければならない。
今まで普通に暮らしていたためそのことを忘れていたが、いつかは言わなければならなかったことなのかもしれない。
俺は魔族大陸で体験したことを、学園長に全て話した。
「・・・・・・アヤト君」
学園長が重々しい雰囲気を纏って、俺を呼ぶ。
「ちょっとしゃがんでくれるかい?」
この時点で何をされるかは察した。
言われた通りしゃがみ、潔くそれを受け入れるために目を閉じた。
ーーバチンッ!
と風船を割ったような破裂音鳴り、右頬に衝撃が走った。薄く目を開けると、学園長が左手を振った直後の構えが見え、そのことからビンタされたのだとわかる。
「し、師匠!? 学園長、なんで・・・・・・?」
学園長の行動にカイトは戸惑い、その学園長自身の表情は怒っているような、そうでないような、そんな微妙な顔をしていた。
「ありがとうアヤト君、わざと受けてくれて」
「礼をする必要ないだろ。これは受けなきゃいけないもんだから」
「ああ、せめてものケジメだ。カイト君、これは必要なことなん
だよ」
学園長はそう言いながら、ビンタした左手を撫でる。痛かったのか・・・・・・。
しかし、学園長は真剣な顔をしたまま、言葉を続ける。
「本来は彼の両親に伝えて彼ら自身がすべきことなのだろうけれど、僕としてもこのことは黙っていた方がいいと思う。何せ、息子が一度死んで生き返った、なんて結果的に生きてても心臓に悪いだろう? だから僕が代わりに怒っておく・・・・・・なんて、身勝手な理由だけどね」
「それはお優しいことで」
皮肉で返すと学園長が軽く笑う。
「さて、どうせ授業も中断しちゃったことだし、君たちには少し僕の昔話に付き合ってもらうかな」
「「えっ」」
まさかの展開に、俺とカイトが同時に声を上げる。
「何、そんなつまらない話じゃないさ。なんせ、僕が体験した二十年前の戦争のことだからねーー」
☆★☆★
学園長ルビア・・・・・・今はそう呼ばれているけれども、これは二十年前、まだ冒険者をしていて、Sランクだった頃の僕のお話ーー
「「・・・・・・」」
ガタガタと揺れる馬車の中。
その中では六人が乗っており、重い空気が流れ、沈黙が続いていた。
僕を始め、人間の男、魔族の女性二人、亜人の男性二人といった組み合わせ。
僕は今のような立派なスーツではなく、ちょっと地味目の冒険者らしい服装だった。
人間の男はアヤト君と同じくらいの年齢っぽい青少年で、見た目も黒髪黒目、服装は暗殺者のような黒で統一してマフラーのようなものを首に巻いていた。
亜人の二人は、獅子のようなたてがみのある大男が一人と、同じく体の大きな赤い肌と角の生えた男が一人。
共に図体が大きく、腕を組んで不機嫌そうに俯いて座っている。
そして魔族は、一人は長い白髪を三つ編みにして前に垂らして目を瞑っている。
もう一人は長い金髪を後ろで縛ってポニーテールにし、この重い空気の中、手元にあるパンらしきものを美味そうにムシャムシャ食べていた。
そしてついに痺れを切らした獅子の男が口を開く。
「おい、魔族の金髪女。いい加減静かに食え。食いカスがこっちまで飛んで鬱陶しいぞ」
その言葉に一旦食べるのをやめる金髪の魔族。
しかし口に食べ物を詰め過ぎた彼女は中々飲み込めず、代わりに白髪の女魔族が苦笑いして答えた。
「悪いな、こいつにはいくら言い聞かせても食べ方を変えようとしなくてな・・・・・・」
「ふぇるひあはま、んはほほいわはくへほ・・・・・・」
「食べカスが飛ぶっつってんだろ!? 飲み込んでから喋りやがれ!」
金髪魔族が口に食べ物を含みながら喋ると中のものが飛び散り、獅子男が怒鳴る。
白髪魔族も呆れ気味に溜め息を吐き、金髪魔族はゴクリと飲み込んだ。
「んなチマチマ食うのは性に合わねえよ!」
「それは同意だな!」
獅子男と金髪魔族がガッハッハッ!と豪快に笑う。なんだ、この脳筋みたいな会話は?
その様子に白髪魔族が頭を痛そうに抱え、それを僕と青年はただただ見つめていただけだった。
そして再び食い始める金髪魔族と、その食料を分けて貰って食べ始める獅子男。
すると白髪魔族が僕たちの方へと向く。
「こいつらは放っておいて、とりあえず自己紹介と現状の確認をしようか。私はペルディア、現魔王の座に着いている者だ」
「ま、魔王!?」
隣に座っている青年が驚く。僕も声は出さなかったが、少なからず驚いていた。
まさか魔族の王が目の前にいるなんて・・・・・・だがしかし、現状を考えればそれも致し方ないと言えるだろう。
「そしてこの食いしん坊はナルシャだ。魔法は使えないが、肉体がかなり強固だ。そこの獅子族や鬼族の男にも引けを取らないだろう」
ペルディアの言葉に獅子男の目がキラリと光る。
「ほう、それは聞き捨てならんな? 俺は獅子族の長、レオンハートだ。レオンと呼んでくれていい。そんでこっちは鬼族のリゲイド。普段は喋らねえ寡黙な奴だが、根はいい奴だ。俺たちは二人共、そんじょそこらの亜人よりは体力に自信があるぜ?」
「・・・・・・」
今まで黙っていたリゲイドが薄く目を開き、僕たちを見据える。
憎んでいるわけでも品定めしているわけでもないその睨むような鋭い眼光は嫌ではなかった。
今度は僕らが話す番だ。
「僕はルビア。Sランク冒険者をしていて、みんなからは賢者とか呼ばれてるよ」
「・・・・・・ずいぶん幼い容姿だが、実は数百歳とかか?」
疑うように目を細めて僕を見るレオン。失礼な。
「僕を君たちみたいな長寿種と一緒にしないでくれ。ただの十三の可憐な少女だよ」
「ガハハハハッ、自分で言いやがったな! そんで、そっちの坊主は?」
レオンが視線を青年に向けると、彼はオドオドとしながら答える。
「あ、えっと・・・・・・コノハと言います。それで僕、あまり戦ったことはないんですけれど、ここにいていいんですかね・・・・・・?」
「「・・・・・・は?」」
コノハと名乗った青年の様子を窺うような言葉に、僕とペルディア、レオンの声が重なる。
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