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11:ダニエルの罪悪感②
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永遠に続くのではないかと思うほどの、長い打ち合わせから解放されたダニエルは、ジュリア親子と別れた後、馬車を一目散に走らせた。
そして早足に駆け込んだのは、ルイーズの屋敷である。
「いらっしゃい、ダニエル。
会いたかったわ!」
出迎えてくれたルイーズの笑顔を見た途端、疲れなんて吹き飛んでしまった。
「僕も会いたかったよ、ルイーズ」
と言いながら、腕にすがりついてくる彼女の頭に、頬を寄せる。
ルイーズは悪戯っぽく、ダニエルの頬をつついてきた。
「お母様とお父様は出掛けていて留守なの。
使用人には上手く言ってあるから、今日は気兼ねせず2人でいられるわ」
「そ、そうなの?」
ダニエルは思わずドキリとした。
結婚前の貴族の男女が、室内で2人きりになることなど許されない。
だから本当は、そんなことダメだと言うべきなのかもしれないが、ダニエルの脳裏にそんな言葉が浮かんでくるはずもなかった。
「なんだかお疲れみたいね。
ジュリアのことだから、長々とドレスの仕立てに時間をかけたんでしょう?」
「そうなんだよ……もう、うんざりさ」
「それは大変だったわね」
クスクス笑うルイーズが髪を揺らすと、甘い香りが広がる。
ダニエルはそれをこっそりと吸い込みながら、目を閉じた。
不意に、ジュリアの父親の顔が脳裏によぎった。
娘の結婚に、喜びと寂しさを感じている、あの表情が。
その途端、ズキッと胸の奥が痛んだ気がして、ダニエルは慌てて頭を振った。
「どうしたの、ダニエル?」
「いや、どうもしないさ」
ダニエルは急いで笑顔を浮かべ、椅子に腰を下ろした。
「ルイーズのウエディングドレス姿を、ちょっと想像してみただけだよ。
きっと、とても綺麗だろうな」
「まあ、ダニエルったら気が早いんだから!」
ルイーズが嬉しそうに笑いながら、軽やかに彼の隣に座るのを見て、上手く誤魔化せたことに胸を撫でおろした。
ジュリアとの婚約破棄に罪悪感をおぼえたなんて言えば、またルイーズにどやされるのは目に見えている。
ただでさえ計画が上手く進んでいない今、これ以上ルイーズを怒らせたくはなかった。
そんな重苦しい時間を過ごすくらいなら、こうして2人きりの甘い時間を1秒でも長く堪能したい。
ダニエルがルイーズの肩をしっかりと抱くと、彼女も目を閉じて、頭を肩に乗せてくる。
彼女の心地よい重みを受け止めながら、ダニエルはゆっくりと手を滑らせて、彼女の体に手を這わせ……たいところであったが、それをする勇気が出ずに、固まっていた。
ルイーズの腰に手を回せば、冷たい目で睨まれるだろうかと思うと、手を動かすことが出来なかったのである。
でも、使用人を追い払ってまでも2人きりになろうとしてくれたんだし。
少しくらい……。
と、やっとのことで震える指を動かしかけたのだったが、
「なあに?」
ちょうどルイーズがこちらを見上げたものだから、ギクリとして手を止めてしまった。
「い、いや。なんでもないよ……」
咄嗟に乾いた笑い声を上げると、彼女は何にも気づかなかったようで、再び肩に寄り掛かってくる。
ダニエルは、意気地のない自分を呪いながら、ルイーズの肩にかけた手に力を込め、ため息をつくのだった。
そして早足に駆け込んだのは、ルイーズの屋敷である。
「いらっしゃい、ダニエル。
会いたかったわ!」
出迎えてくれたルイーズの笑顔を見た途端、疲れなんて吹き飛んでしまった。
「僕も会いたかったよ、ルイーズ」
と言いながら、腕にすがりついてくる彼女の頭に、頬を寄せる。
ルイーズは悪戯っぽく、ダニエルの頬をつついてきた。
「お母様とお父様は出掛けていて留守なの。
使用人には上手く言ってあるから、今日は気兼ねせず2人でいられるわ」
「そ、そうなの?」
ダニエルは思わずドキリとした。
結婚前の貴族の男女が、室内で2人きりになることなど許されない。
だから本当は、そんなことダメだと言うべきなのかもしれないが、ダニエルの脳裏にそんな言葉が浮かんでくるはずもなかった。
「なんだかお疲れみたいね。
ジュリアのことだから、長々とドレスの仕立てに時間をかけたんでしょう?」
「そうなんだよ……もう、うんざりさ」
「それは大変だったわね」
クスクス笑うルイーズが髪を揺らすと、甘い香りが広がる。
ダニエルはそれをこっそりと吸い込みながら、目を閉じた。
不意に、ジュリアの父親の顔が脳裏によぎった。
娘の結婚に、喜びと寂しさを感じている、あの表情が。
その途端、ズキッと胸の奥が痛んだ気がして、ダニエルは慌てて頭を振った。
「どうしたの、ダニエル?」
「いや、どうもしないさ」
ダニエルは急いで笑顔を浮かべ、椅子に腰を下ろした。
「ルイーズのウエディングドレス姿を、ちょっと想像してみただけだよ。
きっと、とても綺麗だろうな」
「まあ、ダニエルったら気が早いんだから!」
ルイーズが嬉しそうに笑いながら、軽やかに彼の隣に座るのを見て、上手く誤魔化せたことに胸を撫でおろした。
ジュリアとの婚約破棄に罪悪感をおぼえたなんて言えば、またルイーズにどやされるのは目に見えている。
ただでさえ計画が上手く進んでいない今、これ以上ルイーズを怒らせたくはなかった。
そんな重苦しい時間を過ごすくらいなら、こうして2人きりの甘い時間を1秒でも長く堪能したい。
ダニエルがルイーズの肩をしっかりと抱くと、彼女も目を閉じて、頭を肩に乗せてくる。
彼女の心地よい重みを受け止めながら、ダニエルはゆっくりと手を滑らせて、彼女の体に手を這わせ……たいところであったが、それをする勇気が出ずに、固まっていた。
ルイーズの腰に手を回せば、冷たい目で睨まれるだろうかと思うと、手を動かすことが出来なかったのである。
でも、使用人を追い払ってまでも2人きりになろうとしてくれたんだし。
少しくらい……。
と、やっとのことで震える指を動かしかけたのだったが、
「なあに?」
ちょうどルイーズがこちらを見上げたものだから、ギクリとして手を止めてしまった。
「い、いや。なんでもないよ……」
咄嗟に乾いた笑い声を上げると、彼女は何にも気づかなかったようで、再び肩に寄り掛かってくる。
ダニエルは、意気地のない自分を呪いながら、ルイーズの肩にかけた手に力を込め、ため息をつくのだった。
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※「小説家になろう」、「カクヨム」でも掲載
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