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27:ダニエルの揺れる心③
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ジュリアを家まで送り届けた後、馬車に揺られながら、ダニエルはぼんやりと天井を見上げていた。
目を閉じれば、浮かんでくるのはルイーズの顔……ではなく、ジュリアの笑顔だった。
そっとジャケットの内ポケットから、ジュリアに貰ったハンカチを取り出す。
その刺繍に指を滑らせながら、ダニエルは目を閉じた。
『自分で刺繍をしてみたのです。
まだまだ下手なのですが……想いはこもっております』
おずおずとしたジュリアの声が思い出されて、耳が熱くなった。
彼女は……ジュリアは、こんなにも一途に自分を想ってくれているのだ。
そう考えると、ダニエルは胸が痛んだ。
まさか彼女は、自分が婚約破棄させようとしているなんて考えてもいないだろう。
それどころか、自分との甘い結婚生活に胸を膨らませているに違いない。
そう考えれば考えるほど、ダニエルは体が重くなっていくようだった。
この後も、ルイーズの屋敷に集まって作戦会議をする予定だというのに。
もうすっかり、そんな気分ではなくなっていたのである。
しかし、行かないわけにはいかなかった。
ダニエルは大きく頭を横に振って、おかしな考えを振り払った。
愛しているのは、ルイーズだけだ。
ジュリアではない。
そう自分に言い聞かせた。
結婚したい相手は、ルイーズだけだ。
他の女性など、気になるはずはない。
何度も胸の内で繰り返したおかげで、なんとかルイーズだけを愛していた気持ちを取り戻した……はずだったのに。
30分後。
3人で丸テーブルを囲んでいる中で、ケインが自信満々に
「ここからは、もっともっと積極的にジュリアと親密になっていこうと思うんだ。
グイグイ押して押して、押しまくるぞ!」
と言うのを聞くと、ほんのわずかではあるが、胸が痛んでしまったのである。
しかし幸いにもルイーズは、そんなダニエルの変化には気が付かなかったらしい。
いつもと変わらぬ彼女の様子に、ホッとしたのだったが。
不意に顔を上げると、ケインがやけに真剣な目でこちらを見ているのに気がついた。
不思議に思って彼を見ると、すぐにケインは目を逸らし、再び笑顔を浮かべて面白おかしく話し始めた。
だから、その視線は何でもなかったのだと思ったのだが、そうではなかったらしい。
なにしろその後も彼は、チラチラとこちらに目をやってきていたのである。
ダニエルはハッとした。
もしかしたら、自分の気持ちの変化に、この男は気がついたのだろうか。
一度そう疑ってしまえば、ますます不安になってくる。
しかしまさか面と向かって聞いてみるわけにもいかなくて。
ダニエルは一層激しさを増した心臓の音を聞きながら、引きつった笑みを浮かべ、なんとかこの場をやり過ごすしかなかったのだった。
目を閉じれば、浮かんでくるのはルイーズの顔……ではなく、ジュリアの笑顔だった。
そっとジャケットの内ポケットから、ジュリアに貰ったハンカチを取り出す。
その刺繍に指を滑らせながら、ダニエルは目を閉じた。
『自分で刺繍をしてみたのです。
まだまだ下手なのですが……想いはこもっております』
おずおずとしたジュリアの声が思い出されて、耳が熱くなった。
彼女は……ジュリアは、こんなにも一途に自分を想ってくれているのだ。
そう考えると、ダニエルは胸が痛んだ。
まさか彼女は、自分が婚約破棄させようとしているなんて考えてもいないだろう。
それどころか、自分との甘い結婚生活に胸を膨らませているに違いない。
そう考えれば考えるほど、ダニエルは体が重くなっていくようだった。
この後も、ルイーズの屋敷に集まって作戦会議をする予定だというのに。
もうすっかり、そんな気分ではなくなっていたのである。
しかし、行かないわけにはいかなかった。
ダニエルは大きく頭を横に振って、おかしな考えを振り払った。
愛しているのは、ルイーズだけだ。
ジュリアではない。
そう自分に言い聞かせた。
結婚したい相手は、ルイーズだけだ。
他の女性など、気になるはずはない。
何度も胸の内で繰り返したおかげで、なんとかルイーズだけを愛していた気持ちを取り戻した……はずだったのに。
30分後。
3人で丸テーブルを囲んでいる中で、ケインが自信満々に
「ここからは、もっともっと積極的にジュリアと親密になっていこうと思うんだ。
グイグイ押して押して、押しまくるぞ!」
と言うのを聞くと、ほんのわずかではあるが、胸が痛んでしまったのである。
しかし幸いにもルイーズは、そんなダニエルの変化には気が付かなかったらしい。
いつもと変わらぬ彼女の様子に、ホッとしたのだったが。
不意に顔を上げると、ケインがやけに真剣な目でこちらを見ているのに気がついた。
不思議に思って彼を見ると、すぐにケインは目を逸らし、再び笑顔を浮かべて面白おかしく話し始めた。
だから、その視線は何でもなかったのだと思ったのだが、そうではなかったらしい。
なにしろその後も彼は、チラチラとこちらに目をやってきていたのである。
ダニエルはハッとした。
もしかしたら、自分の気持ちの変化に、この男は気がついたのだろうか。
一度そう疑ってしまえば、ますます不安になってくる。
しかしまさか面と向かって聞いてみるわけにもいかなくて。
ダニエルは一層激しさを増した心臓の音を聞きながら、引きつった笑みを浮かべ、なんとかこの場をやり過ごすしかなかったのだった。
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