16 / 73
16
しおりを挟む
「昔からそうなんです。
アリスはいつだって、3人一緒が良いと言い張って、私とシェイマスについて回ってたんです。
幼い頃、私たちが川に入れば、アリスも一緒に入ってびしょ濡れになったり。
木に登ってみれば、負けじと登ってみせたり……。
まあ木登りは流石に無理で、落ちそうになったのを私が助けたんですけどね」
とマーティは笑って続けた。
「とにかく負けず嫌いで、止めろって言っても聞かない頑固なところがあって……」
懐かしそうに目を細めるマーティに、ネリーは言った。
「昔からずっと仲が良いんですね」
「そうですね。なんだかんだ言いつつも、仲は良いと思います」
「マーティ様が、どれだけシェイマス様とアリス様のことを大切に思っているのかが、よく分かりましたわ」
とネリーは言いながらスコーンをかじる。
その言葉にマーティは、はっとした様子で
「はい!そうなんです!」
思いがけず返事が大音量だったものだから、ネリーは危うくむせそうになってしまった。
喉につかえたスコーンを、慌てて紅茶で流し込む。
それから、ふうと息をつくと、涙目になりながらマーティを見た。
「そ、そうなんですね……」
「はい!
だから、あなたにも、アリスとシェイマスと仲良くして頂けたら嬉しいのですが……。
私の大切な人2人を、いつか、あなたにも同じように大切に思ってもらえたら、こんなに嬉しいことはありませんから」
ええー……。あなたと仲良くするだけでも精一杯なのに、あの2人とも仲良くするなんて、無理だわ……。
ネリーは思わず、心のままに言いそうになったものの、まさかそう言えるはずもなく、ぐっと堪えると
「ええ、もちろんですわ」
と微笑んだ。
これにマーティは、ほっとしたのだろう。
ストンと肩の力を抜くと、
「ああー、良かったー!」
と、髪をくしゃくしゃにして笑ったのである。
子どものように無邪気な笑顔に、ネリーは思わず見とれてしまった。
「嫌がられたら、どうしようかと思ってたんですよ!
ああ、でもこれでホッとしました!」
まだ目を離せないでいるネリーに気がついたのか、マーティは彼女に向かってニッコリと微笑んだ。
思いがけず、胸がドキリとしてしまって、自分のことながら慌ててしまう。
な、なにドキッとしてるのよ!私ってば!
「それに……」
マーティは目をそらさずに続けた。
「いつかは私も、あなたの大切な人になれれば良いのですが」
「え……」
ネリーはそれ以上、何も言うことが出来なかった。
鏡なんて見なくても分かるくらい、顔が赤くなっているのを感じる。
なんだか胸の奥がくすぐったいような感覚に襲われて、テーブルクロスの下で、モジモジと指を動かしていると
「では……今日は突然お邪魔してしまって失礼致しました。
そろそろお暇致します」
と、マーティが立ち上がったものだから、慌ててネリーも腰を上げた。
「とても楽しい時間でした。
よろしければ、またお邪魔しても?」
「ええ、もちろんです」
「ありがとうございます。
……では、スコーンが焼き上がる時間を見計らって、参りますね」
マーティがあまりに真面目くさって言うものだから、ネリーは一瞬言葉を失った。
それから、彼と顔を見合わせると、声を上げて笑ってしまったのだった。
アリスはいつだって、3人一緒が良いと言い張って、私とシェイマスについて回ってたんです。
幼い頃、私たちが川に入れば、アリスも一緒に入ってびしょ濡れになったり。
木に登ってみれば、負けじと登ってみせたり……。
まあ木登りは流石に無理で、落ちそうになったのを私が助けたんですけどね」
とマーティは笑って続けた。
「とにかく負けず嫌いで、止めろって言っても聞かない頑固なところがあって……」
懐かしそうに目を細めるマーティに、ネリーは言った。
「昔からずっと仲が良いんですね」
「そうですね。なんだかんだ言いつつも、仲は良いと思います」
「マーティ様が、どれだけシェイマス様とアリス様のことを大切に思っているのかが、よく分かりましたわ」
とネリーは言いながらスコーンをかじる。
その言葉にマーティは、はっとした様子で
「はい!そうなんです!」
思いがけず返事が大音量だったものだから、ネリーは危うくむせそうになってしまった。
喉につかえたスコーンを、慌てて紅茶で流し込む。
それから、ふうと息をつくと、涙目になりながらマーティを見た。
「そ、そうなんですね……」
「はい!
だから、あなたにも、アリスとシェイマスと仲良くして頂けたら嬉しいのですが……。
私の大切な人2人を、いつか、あなたにも同じように大切に思ってもらえたら、こんなに嬉しいことはありませんから」
ええー……。あなたと仲良くするだけでも精一杯なのに、あの2人とも仲良くするなんて、無理だわ……。
ネリーは思わず、心のままに言いそうになったものの、まさかそう言えるはずもなく、ぐっと堪えると
「ええ、もちろんですわ」
と微笑んだ。
これにマーティは、ほっとしたのだろう。
ストンと肩の力を抜くと、
「ああー、良かったー!」
と、髪をくしゃくしゃにして笑ったのである。
子どものように無邪気な笑顔に、ネリーは思わず見とれてしまった。
「嫌がられたら、どうしようかと思ってたんですよ!
ああ、でもこれでホッとしました!」
まだ目を離せないでいるネリーに気がついたのか、マーティは彼女に向かってニッコリと微笑んだ。
思いがけず、胸がドキリとしてしまって、自分のことながら慌ててしまう。
な、なにドキッとしてるのよ!私ってば!
「それに……」
マーティは目をそらさずに続けた。
「いつかは私も、あなたの大切な人になれれば良いのですが」
「え……」
ネリーはそれ以上、何も言うことが出来なかった。
鏡なんて見なくても分かるくらい、顔が赤くなっているのを感じる。
なんだか胸の奥がくすぐったいような感覚に襲われて、テーブルクロスの下で、モジモジと指を動かしていると
「では……今日は突然お邪魔してしまって失礼致しました。
そろそろお暇致します」
と、マーティが立ち上がったものだから、慌ててネリーも腰を上げた。
「とても楽しい時間でした。
よろしければ、またお邪魔しても?」
「ええ、もちろんです」
「ありがとうございます。
……では、スコーンが焼き上がる時間を見計らって、参りますね」
マーティがあまりに真面目くさって言うものだから、ネリーは一瞬言葉を失った。
それから、彼と顔を見合わせると、声を上げて笑ってしまったのだった。
6
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された公爵令嬢と、処方箋を無視する天才薬師 ――正しい医療は、二人で始めます
ふわふわ
恋愛
「その医療は、本当に正しいと言えますか?」
医療体制への疑問を口にしたことで、
公爵令嬢ミーシャ・ゲートは、
医会の頂点に立つ婚約者ウッド・マウント公爵から
一方的に婚約を破棄される。
――素人の戯言。
――体制批判は不敬。
そう断じられ、
“医療を否定した危険な令嬢”として社交界からも排斥されたミーシャは、
それでも引かなかった。
ならば私は、正しい医療を制度として作る。
一方その頃、国営薬局に現れた謎の新人薬師・ギ・メイ。
彼女は転生者であり、前世の知識を持つ薬師だった。
画一的な万能薬が当然とされる現場で、
彼女は処方箋に書かれたわずかな情報から、
最適な調剤を次々と生み出していく。
「決められた万能薬を使わず、
問題が起きたら、どうするつもりだ?」
そう問われても、彼女は即答する。
「私、失敗しませんから」
(……一度言ってみたかったのよね。このドラマの台詞)
結果は明らかだった。
患者は回復し、評判は広がる。
だが――
制度は、個人の“正
制度を変えようとする令嬢。
現場で結果を出し続ける薬師。
医師、薬局、医会、王宮。
それぞれの立場と正義が衝突する中、
医療改革はやがて「裁き」の局面へと進んでいく。
これは、
転生者の知識で無双するだけでは終わらない医療改革ファンタジー。
正しさとは何か。
責任は誰が負うべきか。
最後に裁かれるのは――
人か、制度か。
【完結】領主の妻になりました
青波鳩子
恋愛
「私が君を愛することは無い」
司祭しかいない小さな教会で、夫になったばかりのクライブにフォスティーヌはそう告げられた。
===============================================
オルティス王の側室を母に持つ第三王子クライブと、バーネット侯爵家フォスティーヌは婚約していた。
挙式を半年後に控えたある日、王宮にて事件が勃発した。
クライブの異母兄である王太子ジェイラスが、国王陛下とクライブの実母である側室を暗殺。
新たに王の座に就いたジェイラスは、異母弟である第二王子マーヴィンを公金横領の疑いで捕縛、第三王子クライブにオールブライト辺境領を治める沙汰を下した。
マーヴィンの婚約者だったブリジットは共犯の疑いがあったが確たる証拠が見つからない。
ブリジットが王都にいてはマーヴィンの子飼いと接触、画策の恐れから、ジェイラスはクライブにオールブライト領でブリジットの隔離監視を命じる。
捜査中に大怪我を負い、生涯歩けなくなったブリジットをクライブは密かに想っていた。
長兄からの「ブリジットの隔離監視」を都合よく解釈したクライブは、オールブライト辺境伯の館のうち豪華な別邸でブリジットを囲った。
新王である長兄の命令に逆らえずフォスティーヌと結婚したクライブは、本邸にフォスティーヌを置き、自分はブリジットと別邸で暮らした。
フォスティーヌに「別邸には近づくことを許可しない」と告げて。
フォスティーヌは「お飾りの領主の妻」としてオールブライトで生きていく。
ブリジットの大きな嘘をクライブが知り、そこからクライブとフォスティーヌの関係性が変わり始める。
========================================
*荒唐無稽の世界観の中、ふんわりと書いていますのでふんわりとお読みください
*約10万字で最終話を含めて全29話です
*他のサイトでも公開します
*10月16日より、1日2話ずつ、7時と19時にアップします
*誤字、脱字、衍字、誤用、素早く脳内変換してお読みいただけるとありがたいです
「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。
海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。
アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。
しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。
「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」
聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。
※本編は全7話で完結します。
※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。
愛されなかった公爵令嬢のやり直し
ましゅぺちーの
恋愛
オルレリアン王国の公爵令嬢セシリアは、誰からも愛されていなかった。
母は幼い頃に亡くなり、父である公爵には無視され、王宮の使用人達には憐れみの眼差しを向けられる。
婚約者であった王太子と結婚するが夫となった王太子には冷遇されていた。
そんなある日、セシリアは王太子が寵愛する愛妾を害したと疑われてしまう。
どうせ処刑されるならと、セシリアは王宮のバルコニーから身を投げる。
死ぬ寸前のセシリアは思う。
「一度でいいから誰かに愛されたかった。」と。
目が覚めた時、セシリアは12歳の頃に時間が巻き戻っていた。
セシリアは決意する。
「自分の幸せは自分でつかみ取る!」
幸せになるために奔走するセシリア。
だがそれと同時に父である公爵の、婚約者である王太子の、王太子の愛妾であった男爵令嬢の、驚くべき真実が次々と明らかになっていく。
小説家になろう様にも投稿しています。
タイトル変更しました!大幅改稿のため、一部非公開にしております。
狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します
ちより
恋愛
侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。
愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。
頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。
公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。
【完結】婚約破棄はいいのですが、平凡(?)な私を巻き込まないでください!
白キツネ
恋愛
実力主義であるクリスティア王国で、学園の卒業パーティーに中、突然第一王子である、アレン・クリスティアから婚約破棄を言い渡される。
婚約者ではないのに、です。
それに、いじめた記憶も一切ありません。
私にはちゃんと婚約者がいるんです。巻き込まないでください。
第一王子に何故か振られた女が、本来の婚約者と幸せになるお話。
カクヨムにも掲載しております。
婚約破棄された伯爵令嬢ですが、辺境で有能すぎて若き領主に求婚されました
おりあ
恋愛
アーデルベルト伯爵家の令嬢セリナは、王太子レオニスの婚約者として静かに、慎ましく、その務めを果たそうとしていた。
だが、感情を上手に伝えられない性格は誤解を生み、社交界で人気の令嬢リーナに心を奪われた王太子は、ある日一方的に婚約を破棄する。
失意のなかでも感情をあらわにすることなく、セリナは婚約を受け入れ、王都を離れ故郷へ戻る。そこで彼女は、自身の分析力や実務能力を買われ、辺境の行政視察に加わる機会を得る。
赴任先の北方の地で、若き領主アレイスターと出会ったセリナ。言葉で丁寧に思いを伝え、誠実に接する彼に少しずつ心を開いていく。
そして静かに、しかし確かに才能を発揮するセリナの姿は、やがて辺境を支える柱となっていく。
一方、王太子レオニスとリーナの婚約生活には次第に綻びが生じ、セリナの名は再び王都でも囁かれるようになる。
静かで無表情だと思われた令嬢は、実は誰よりも他者に寄り添う力を持っていた。
これは、「声なき優しさ」が、真に理解され、尊ばれていく物語。
王女殿下のモラトリアム
あとさん♪
恋愛
「君は彼の気持ちを弄んで、どういうつもりなんだ?!この悪女が!」
突然、怒鳴られたの。
見知らぬ男子生徒から。
それが余りにも突然で反応できなかったの。
この方、まさかと思うけど、わたくしに言ってるの?
わたくし、アンネローゼ・フォン・ローリンゲン。花も恥じらう16歳。この国の王女よ。
先日、学園内で突然無礼者に絡まれたの。
お義姉様が仰るに、学園には色んな人が来るから、何が起こるか分からないんですって!
婚約者も居ない、この先どうなるのか未定の王女などつまらないと思っていたけれど、それ以来、俄然楽しみが増したわ♪
お義姉様が仰るにはピンクブロンドのライバルが現れるそうなのだけど。
え? 違うの?
ライバルって縦ロールなの?
世間というものは、なかなか複雑で一筋縄ではいかない物なのですね。
わたくしの婚約者も学園で捕まえる事が出来るかしら?
この話は、自分は平凡な人間だと思っている王女が、自分のしたい事や好きな人を見つける迄のお話。
※設定はゆるんゆるん
※ざまぁは無いけど、水戸○門的なモノはある。
※明るいラブコメが書きたくて。
※シャティエル王国シリーズ3作目!
※過去拙作『相互理解は難しい(略)』の12年後、
『王宮勤めにも色々ありまして』の10年後の話になります。
上記未読でも話は分かるとは思いますが、お読みいただくともっと面白いかも。
※ちょいちょい修正が入ると思います。誤字撲滅!
※小説家になろうにも投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる