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27.熱*②
しおりを挟む数秒遅れて意味を理解する。
ぱちぱちと何度か瞬きをして首を傾げた。
「いや、噂たくさん聞いているけど……。女性とそういうことしてきたんじゃないの?」
なんでこんな時に互いの経験の話をしているのか。
あまりに驚きすぎて普通に言及してしまった。
「触れたことはない。何よりしたいと思えなかった」
つまり、する時の愛撫は手だけとかそういったことだろうか。
そういうこともあるかと、手酷く扱ったとかではないのだろうしブラムウェルなら女性も文句はなかったのか。
「はぁ……」
それにしてもこんな時に話す話ではないなと溜め息をつくと、ブラムウェルは長い睫毛を瞬かせ、ノアの瞳をじっと見下ろしくしゃりと顔を歪めた。
「こうして触れるのも触れたいと思うのもノアだけだから。あの日の感触を忘れたくなかった。これからは全てノアだけ。もちろんノアも俺だけだ」
あの日って、孤児院での別れの日に血を舐めとられ中指にキスされたことだろうか。
過去を責めていると勘違いしたのか切々と訴えられ、唯一であるとまた主張されノアはふっと息を吐き出した。
――なんか、ブラムはブラムだな……
ぼんやりと思い出しつつある子供のころからブレていない。
死んだと思ったのに手にした口づけの感触のためにずっと唇を守ってきたのだと思うと、愛おしくて仕方がなくなった。
ブラムウェルの執着の度合いをわかったと思うたびに、それを越してくる。
「ブラムってば可愛いね」
自分より強い男が、それもこんな美形が一生懸命訴えてくる姿は妙な罪悪感とともに愛おしさを覚える。
笑うと再び口づけられ、キスに夢中になってしまい思考が停止する。
「ノア。好き」
「んんっ」
「愛してる」
呼吸をするたびにささやかれ、長い舌に口内を隅々までぬるぬるなぞられると、頭の中までかき混ぜられているみたいになった。
もうブラムウェルのこと、ブラムウェルと一つになることしか考えられなくなる。
「ノア」
「んんっ」
耳元で熱く名を呼ばれくりくりと乳首の尖りを撫でられ、ぴんと弾かれる。
手慣れた手つきは可愛くないが、じっとノアを見る熱い双眸はやっぱり愛らしく感じる。
身を任せ力を抜くとお尻に回っていた指にぐっと力が込められ、ブラムウェルの骨ばった指がずずずっと中に入ってくる。
濡れないはずなのにぬぷっと水音がして、何か魔法を使ったのだとわかった。
ノアが声を出すたびに当たっているものの硬度が増していく。
少しも隠す気はないようで、押し当てながらブラムウェルは長い指を動かした。
慌ててノアはブラムウェルの手を掴もうとするが、乳首で遊んでいた手が今度は下半身へと伸ばされた。
話していた時に一度ふにゃりと力をなくしたものが、キスで兆し大きな手で掴まれぴくっと反応してしまう。
「ちょっと、ブラム待って」
「待たない。ノアもほら気持ちよくなってる」
触られたら生理的にノアのモノもゆるりと持ち上がっていく。ましてや一度関係を持ったことのある相手で気持ちよかったことを身体は覚えている。
ブラムウェルもノアがどうすれば気持ちよくなるのか覚えており、的確に指を動かしてくる。信じられないくらい身体に熱を持つのが早かった。
「あっ」
「俺の手で気持ちよくなって。俺なしでいられないように」
甘いささやきとともに、とろりと先端から快楽にしずくが漏れ出る。
ぞわりとした感覚に身体を震わせると、後ろの指とともに動かす手が早くなった。
くちゅくちゅと響く淫猥な音が響く。
ノアの感情を一つも見逃さないとじっと見つめてくる双眸は熱情を孕み、ブラムウェル自身も気持ちよくなっているのかゆるゆると腰を揺らす。
すべてに煽られてノアの意識はふわっと白くなった。
「あっ、もう……」
こんなに快楽を得るのが早かっただろうか。あっという間に高められることに自分自身がついていけない。
吐き出す前に視線が絡みそのまま唇を奪われ、とくとくと出している間も吸い付くように舌を絡められ息が持たない。
「んっ。はぁ、はぁ……。ブラム」
やっとのことで離してもらえたが、視線は絡み合ったままだ。
ブラムウェルに縋りつきながら喘いでいると、ぬぽっと中を満たしていた指が抜かれる。
ノアは喪失感に眉尻を下げると、すぐにブラムウェルのものをあてがわれた。
「ノア、いい?」
「……うん、……んぁ……っ」
返事をすると、身体を押し進めずぶずぶとブラムウェルのものが入ってくる。身体の力が完全に抜けていたので、それらはあっという間に奥まで到達する。
首筋にざらりとした舌と熱い吐息が這い、身体を震わせるとそれが合図のように動きが激しくなった。
「ノア」
「んっ、はぁぁ……、ブラム」
「ノアの中にいる……」
ここ、と薄い腹の上から押され、ぶるりと身体が震えた。
「ふ……ッ、んん…っ、はぁ、あっ、……あぁ……っ」
「ノア」
腰を浮かしながら、何度も何度も名を呼ばれる。
繋がって満たされた顔をしながらもどこか必死なブラムウェルの背中を、ノアはぽんぽんと叩いた。
手がブラムウェルの汗でしっとりと濡れ、ブラムウェルの肩口をぺろりと舐めた。
しょっぱいはずなのに甘く感じてさらに舐める。
「ブラム、すきだ、から。ゆっくりしよ」
「うん。ノア。好き。ずっとこれからも一緒」
「そうだね。ずっと一緒」
自分たちだけの時間。
互いに求め合い、それらに全てが支配されるような時間が流れていった。
何度も何度も求められ、ようやく解放されたベッドの中で髪を梳かれながらノアはうとうとしていた。
ずいぶんと濃い一日でこのまま眠ってしまいたかったけれど、これだけはと口を開いた。
「明日、一緒についてきてくれる?」
ランドルフと記憶と母に関することについて話すことが決まっており、その話をしていた時はブラムウェルはどうすると明確にはしていなかった。
ブラムウェルは優しく梳いていた手をノアの頬へと移動させると、真剣な表情で固い意志を感じる声で告げる。
「もちろん。嫌と言われてもついていく」
「ふふっ。ありがとう」
そう言うと思ったけれど、自分のことはもうブラムウェルは無関係ではないのできちんと言葉にしておきたかった。
瞼がくっつきそうになっているノアを見て、ブラムウェルは目を細めするりと頬を撫でた。
当然のように返ってくる言葉とその表情に安心して、それを合図にノアは眠りについた。
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