孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下

akechi

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6章 それぞれの旅立ちとこれから

軍の熊さんvs王族の熊さん②

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ジリジリと距離を縮めてくる先王ヨルドを見て必死に逃げようとするが、ヨシュアが足にしがみついていて動けないゲッター。

「ハムスターよ!離れなさい!」

「じじいくましゃんーー!たしゅけてー!」

ヨシュアの叫びとあり得ないほどの力に唖然とするしかないゲッター。

「あの子、凄いわね⋯」

母親であるエチカすら驚いていた。

誰も頼りにならないのを悟ったゲッターは、しがみつくヨシュアに悪魔の囁きをする。

「ハムスター1号よ!軍の施設に行って訓練に参加したくはないか?」

軍の施設と訓練というワードに目の色が変わったヨシュア。

「くんりぇん⋯へいししゃん⋯」

「軍服を着て本格的に訓練が出来るぞ?」

軍服と聞いて目が輝き、ゲッターから離れる。そしてゲッターに向けて敬礼すると、何故か祖父であるじじい熊さんに近づいて行くヨシュア。そんなヨシュアの動きに首を傾げるリクとエドワード。

「ん?何じゃ、何じゃ?」

じじい熊さんの目の前にやって来たヨシュア。そして⋯

「ていやーーー!!!」

次の瞬間だった。ヨシュアが思いっきりヨルドに向けてパンチを繰り出したのだ。そうハムスター1号による謀反だ。

だが所詮は幼い子供のパンチだと、周りは微笑ましく見ていた。

「ぐわっ⋯⋯!?」

ヨルドが倒れて地面で悶絶するまでは⋯⋯。
ヨシュアのパンチはヨルドの股間にヒットしてしまったのだ。

「ヨルド様!!」

ランバートが顔面蒼白になりながらも、先王ヨルドに駆け寄る。息子に怒りが向けられたらと生きた心地がしない。

「やったでしゅ!」

そんな父親の思いを分かっていないヨシュアは喜びのジャンプをしていた。

「あらら~」

エチカは痛そうに悶絶する父親を見て苦笑いしか出ない。

「これは⋯どうなるんだ?」

「無効でしょ?」

賭けをしていたジェラルドとアンリは目の前の予想外の出来事に呆れているだけで、助けに行こうともしない。

「うわ⋯痛そう⋯」

ルルはヨルドに駆け寄って背中を摩るしかできない。

悶絶しているヨルドを見てパニックになるゲッター。自分がヨシュアにあのような事を言わなければ、このような惨劇は起こらなかった。

「ああ⋯私は何という事をしたんだ!!」

ゲッターは喜ぶヨシュアに元へ行く。

「ハムスター1号!先王ヨルド様への暗殺未遂で拘束する!!そしてそれを指示した私はここで自害致します!!」

そう言って涙を流しながらヨシュアを拘束しようとしたゲッターをぶん殴り、ヨシュアを取り返したエチカ。

「このくそ真面目が!!こんな事でうちの可愛いちんちくりんを拘束したら許さないわよ!!」

「ちんちくりん~!!」

分かってないヨシュアは何となく言葉を気に入って連呼している。

「ちんちくりんって⋯」呆れるランバート。

何とか落ち着いてきたヨルドは、孫であるヨシュアを抱き上げて褒め称える。

「さすが我が孫じゃ!とんでもなく強い攻撃じゃったぞ!!」

「ちゅよいでしゅか!?」

「ああ!とんでもなかったわい!!」

二人で何故か喜び合っているこの状況を、唖然と見ているしかないゲッターであった。

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