幼子は最強のテイマーだと気付いていません!

akechi

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閑話

閑話 ユリアのお友達①

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これは、ユリアがまだ森に住んでいた時のお話です。


ユリアはシロと共にいつもの日課の森を探索していました。


『ユリア、今日はどうするんだ?』


「あにょね~まっしゅぐいくにょ!」


シロの背に乗り真っ直ぐ指を指すユリアを、シロは苦笑いしながらもご希望通りに真っ直ぐに進んでいく。途中でクロじいに会い一緒についてくる。


『孫は元気じゃの~癒されるわい』


シロの背で楽しそうにするユリアを微笑ましく見つめて呟く。ふとシロとクロじいが立ち止まる。


「どーちたにょ?おにゃかいたいにょ?」


シロを優しく撫でるユリアだが、ふと前の方に視線を向ける。そこには血塗れになって倒れている小さな男の子がいた。


「たいへんー!たしゅけにゃいとー!」


ユリアは一生懸命にシロから降りると男の子に近づこうとするが、シロがユリアの服を咥えて止める。


「シローはにゃちてよー!あにょこちんじゃうよ!」


『あいつは危険だ、俺が先に様子を見てくる』


ユリアをクロじいに預けて、シロは男の子に近づいていく。男の子は気配に気付いて目を開ける。そこにはフェンリルが威嚇しながら近づいてくる。


(僕はもう駄目だ…これは勝手に家出してきた僕の責任だ…両親を呼ぶことは出来ない)


「殺せ!」シロを睨み付ける男の子


珍しいブルーの髪にブルーの輝く瞳の男の子。シロは鑑定しなくてもこの男の子の正体に気付いた。勿論クロじいも気付いているだろう。


「ねぇー!だいじょぶー?」


ユリアが大声で男の子に声をかける。男の子は初めて幼子がいることに気付いた。


「あんな幼子をどうするつもりだ!」


男の子は最後の力で立ち上がり、ユリアを助けようとする。


『ユリアは俺達の大事な子だ』


「あの子が?」


クロじいがユリアに何か言っていて、それにユリアが元気に頷くと男の子に近づいていく。思わず後退る男の子に近付いていくユリアが淡く光だして、男の子を包み込む。


そして一瞬で消えた光の中から、元気なユリアと怪我が消えている男の子が立っていた。


「どうして!」驚く男の子


「ありぇー?にゃおってりゅー!」


自分の力と分かっていないユリアは首をかしげる。シロはそんなユリアに近付き甘えている。その光景にも驚く男の子、フェンリルは孤高の魔物で誰かに甘えるなど見たことも聞いたこともなかったからだ。


「きみはまいごにゃのー?」


「いや…家出した」


「……シロ~いえでってにゃに~?」


『母さんや父さんに黙って家を出ていく事だ』


「えーー!だめぇだよー!」ぷんすか怒るユリア


「ごめんなさい…」反省している男の子


『お前魔力を消してるな?解放しろ!その魔力を辿って親が来るだろ!』


『そうじゃな…だがちと大物過ぎるな』苦笑いのクロじい


「分かった…」


男の子から爆風が起こり、ユリアが吹き飛ばされそうになる。だがシロが上手く咥えて事なき終えるが、周りにいたであろう魔物達が次々と逃げていく。


「魔力を解放したから…もうすぐ来ると思う…」


『心配させたんだ、怒られる覚悟はしとけ』


「うん…」


ユリアは先程の爆風の影響でフラフラしながらも男の子に近づく。


「にゃまえはー?」


「にゃ…あぁ名前か。僕はアクアだよ。」


「あきゅあ!ユリアはねぇユリアっていうにょ!」


「…プッ…宜しくね、ユリア」


2人が仲良くお話していた時、空が曇りだして辺りが暗くなる。


『来おったか』空を警戒するクロじい


『ユリア!こっちに来い!』


「あいよー!」


ユリアはよちよちとシロの元へ行く。それと同時に雲が割れてそこからアクアと同じブルーの髪にブルーの輝く瞳の男女が厳しい顔で降りてくる。


「父上、母上、申し訳ありませんでした!」


謝るアクアを厳しく見つめている男女、アクアのご両親がやって来た。


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