幼子は最強のテイマーだと気付いていません!

akechi

文字の大きさ
92 / 105
ユリア、旅をする!!

あの子もやって来た!

しおりを挟む
ユリア率いるおチビ軍団の謎の(?)儀式を見て警戒するチェスターだが、夢は可愛い~と悶えていた。

「おい!それを今すぐ止めろ!!」

チェスターがおチビ達を引き離そうとするが、何故か強力な防御壁のようなものに弾き返された。嬉しそうに妖精コウもおチビ達の周りを飛び回っていた。

「⋯!!ほら見ろ!!もう何か始まったぞ!!」

おチビ達を指差しながら、周りに警告するチェスターだがユリアの凄さを知ってる皆は苦笑いするだけだ。だが、邪神セラムと時の精霊王ミリーは驚きを隠せない。

「あの子達は一体何なんですか?」

「⋯⋯ただの幼子ではないみたいですね」

「いやいや!ただのちんちくりん共だ!!」

そんな二人に対してチェスターが鼻で笑った。

「もー!あにちうるしゃい!!」

ユリアが腰に手を当ててプンスカ起こっている。

「あにちーー!!」

カイルは嬉しそうにチェスターの足にしがみつく。

「⋯あにち」

ルウは少し恥ずかしそうに小さく手を振る。

「うわー!!ここどこーー?」

ピアは今すぐにでも走り出しそうだったので、チェスターが小脇に抱えた。彼は粗暴な感じだが意外と面倒見が良いのだ。

「た!たああ!!(よ!足臭オヤジ!!)」

「誰が足臭だ!お前は本当に可愛くない!!」

睨み合うチェスターと浮遊するルイーザだが、周りはもうそんな二人を無視してバーベキューの続きを始めた。

「あの男、赤子と会話してますよ?」

ミリーが口いっぱい肉を頬張りながら、二人のバトルを興味深く見ていた。

「あんな赤子に何をムキになっているんですかね?」

小馬鹿にしたようにチェスター達を見て笑っているセラム。

「こんなちんちくりん共を殺そうとしていた奴に言われたくねぇよ!!」

「たあ!!たああーー!!(そうよ!!かかってこいやーー!!)」

「⋯⋯」

チェスターの言い分やルイーザの迫力に黙ってしまうセラム。そんなセラムを見て驚きを隠せないのが創造神ラズゴーンであった。

(こんな短時間で闇の力が弱まっている⋯まさか)

そんな考え込んでいたラズゴーンのはこちらへよちよちとやって来たユリアにじっと見つめられる。

「どうしたんだい?」

「背中にジョチュアがちゅいてまちゅよ?」

そう、先程から皆は気付いていたが敢えて触れなかった。まだ創造神ラズゴーンには近寄りづらく、あまり気にしないのはおチビ達や妖精コウとシロ、そしてチェスターぐらいだ。

森の番人ドライアドや世界樹であるユグドラシルは何を考えているのかよく分からない。自然と自由の象徴であるユグドラシルは神とはまた違うのだ。

「ああ、この子かい?何故か張り付いて離れないから連れて来たよ」

苦笑いしながらラズゴーンは、背中に張り付いている羽根の生えた紅い子猫を魔法で浮かせてユリアの元へ届けた。

『うぅ⋯大丈夫か!!』

泣きながらユリアを心配するジョジュア。

貴族の馬鹿息子だったジョジュアはユリアに子猫にされ、その後に何故かまたユリアによって精霊化してしまい“炎の子猫ジョジュア”になった。

「ジョチュアー!可愛いねぇ~」

泣いているジョジュアを膝に乗せて頭を撫でるユリア。そんなユリアの横にはカイル、ルウ、ピアが座り美味しそうに肉を頬張っていた。

「可愛いー!これも食べてねー?」

夢は嬉しそうにおチビ達の面倒を見ている。自分だけ食べられないのであからさまに不機嫌になったルイーザは、何と自分の亜空間から哺乳瓶を出して気怠げに飲み始めた。

「おいおい、こいつ亜空間まで使えるのか!?」

驚くチェスター達と苦笑いのラズゴーン。

「それにしても赤子に見えないわね⋯」

「ああ。酒を煽るオヤジみたいだな⋯」

ルイーザを見て嘆くアネモネとオーウェン。

「ユリア、お前も早く食べろ」

「はーーい!!」

シロがユリアを甲斐甲斐しく世話をしている横で、邪神セラムと創造神ラズゴーンが話し合いをしていた。

「この子達を帰して下さい。こんなに大人数の子達を旅に連れて行けません。邪魔です」

「じゃまじゃないもん!!」

「⋯たびにいく」

「たびーー!!たびってなに?」

ラズゴーンが口を開く前に、セラムに猛抗議するカイル、ルウ、ピア。

「この子達も連れて行ってくれ。ほら、ユメも喜んでいるぞ?」

意地悪い顔をしたラズゴーンの方が邪神に見える。セラムが夢をチラッと見るが、彼女は嬉しそうにやさぐれているルイーザを抱っこしていた。

「⋯⋯。私はこの子達に何かあっても責任は持ちませんよ?」

「ああ、そこは大丈夫だろう。何せこのメンバーだ。私も見守っているからね」

そう言われたセラムは深々と溜息を吐き、横で肉を頬張るミリーをジッと見た。

「ミリー、この子達の面倒を見なさい」

「⋯⋯え?え⋯えー」

ミリーは口の周りをタレだらけにしてわちゃわちゃしているユリア達を見て頭を抱えるのであった。





しおりを挟む
感想 570

あなたにおすすめの小説

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます

かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~ 【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】 奨励賞受賞 ●聖女編● いきなり召喚された上に、ババァ発言。 挙句、偽聖女だと。 確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。 だったら好きに生きさせてもらいます。 脱社畜! ハッピースローライフ! ご都合主義万歳! ノリで生きて何が悪い! ●勇者編● え?勇者? うん?勇者? そもそも召喚って何か知ってますか? またやらかしたのかバカ王子ー! ●魔界編● いきおくれって分かってるわー! それよりも、クロを探しに魔界へ! 魔界という場所は……とてつもなかった そしてクロはクロだった。 魔界でも見事になしてみせようスローライフ! 邪魔するなら排除します! -------------- 恋愛はスローペース 物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。

孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下

akechi
ファンタジー
ルル8歳 赤子の時にはもう孤児院にいた。 孤児院の院長はじめ皆がいい人ばかりなので寂しくなかった。それにいつも孤児院にやってくる男性がいる。何故か私を溺愛していて少々うざい。 それに貴方…国王陛下ですよね? *コメディ寄りです。 不定期更新です!

転生幼女は追放先で総愛され生活を満喫中。前世で私を虐げていた姉が異世界から召喚されたので、聖女見習いは不要のようです。

桜城恋詠
ファンタジー
 聖女見習いのロルティ(6)は、五月雨瑠衣としての前世の記憶を思い出す。  異世界から召喚された聖女が、自身を虐げてきた前世の姉だと気づいたからだ。  彼女は神官に聖女は2人もいらないと教会から追放。  迷いの森に捨てられるが――そこで重傷のアンゴラウサギと生き別れた実父に出会う。 「絶対、誰にも渡さない」 「君を深く愛している」 「あなたは私の、最愛の娘よ」  公爵家の娘になった幼子は腹違いの兄と血の繋がった父と母、2匹のもふもふにたくさんの愛を注がれて暮らす。  そんな中、養父や前世の姉から命を奪われそうになって……?  命乞いをしたって、もう遅い。  あなたたちは絶対に、許さないんだから! ☆ ☆ ☆ ★ベリーズカフェ(別タイトル)・小説家になろう(同タイトル)掲載した作品を加筆修正したものになります。 こちらはトゥルーエンドとなり、内容が異なります。 ※9/28 誤字修正

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~

鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!  詳細は近況ボードに載せていきます! 「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」 特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。 しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。 バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて―― こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

転生幼女は幸せを得る。

泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!? 今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

番外編・もふもふで始めるのんびり寄り道生活

ゆるり
ファンタジー
『もふもふで始めるのんびり寄り道生活』の番外編です。 登場人物の説明などは本編をご覧くださいませ。 更新は不定期です。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。