天空の魔女 リプルとペブル

やすいやくし

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103.イザベスとの戦い

天空の魔女 リプルとペブル

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103.イザベスとの戦い

 イザベスが高笑いをした。
「素直でよい。でも、そんなことでこの娘を解放したりするわけなかろう」
 そう言ったかと思うと、イザベスの体から、黒ブドウたちと同じような触手が何本も伸びはじめた。
 黒いヒモのような触手は、マーサの腕や足、あちこに絡みつく。

「あれは!?」
 ペブルの悲鳴のような叫びに
「遅かったか? イザベスはもう闇に支配されてしまったのか」
 ジールが歯がみする。

「イザベス、しっかりして。私よ、マーサよ」
 マーサが、もがきながらイザベスに訴える。
 
 イザベスは、冷たい目をしてそんなマーサを見下ろしている。
「イザベスがあいつらに乗っ取られているってこと?」
 ペブルがジールに聞く。

「おそらくそうだな。問題は何割乗っ取られているかってことだ」
「半分以上乗っ取られていたら、分離魔法も効かなくなる」
 ロッドが吐き捨てるように言う。

「でも、助ける。だって、友達だから」
 リプルは、急に四つん這いになったかと思うと、すごい跳躍を見せて、イザベスを飛び越え背後にまわった。
 まるで岩と岩の間を飛ぶオオカミのように。
 すると、リプルが頭にかぶっていたフードが、空中ではらりと滑り落ち、髪の間から狼の耳が姿を現した。

「リプル……」
 ジールが驚いた顔をしてリプルを見た。
 
 イザベスがキッとリプルを振り向く。
 その隙をペブルたちは逃さなかった。
 ジールが地面においた剣を拾い上げざま、イザベスに迫る。

 イザベスは、とっさに剣をよけようとして、マーサを手放した。
 ペブルは、マーサをイザベスの元から引き離し、からみついた黒いヒモを外そうとした。
 そして、
「あ、これこれ」
 マーサのポケットからリギン草スプレーを取りだして、黒いヒモにシュツとかけていく。
 
 たちまちヒモはするするとマーサの腕や足から離れていった。
「ペブル、ありがとう。でも匂うわね」
 マーサはおびえた顔で聞く。

「うん。匂いかいじゃだめだよ」
 と、言いながらマーサの服に顔を近づけたペブルとマーサは、
「うっ、く、くさい」
 軽く涙ぐみながら鼻を押さえた。

 一方、ジールとロッドは、イザベスを壁際に追い詰めていた。
 しかし、イザベスの体からは、黒いヒモが何本もでてきて、二人の行く手を阻む。

 リプルは、考えていた。どうしたらいいだろう。
「イザベスが自分を取り戻してくれる方法が、あるはず! 何か、イザベスの心に強くきざまれている記憶をほりおこせばきっと……」
 
 リプルのことばを耳にしたとたん、マーサが右手をサッと挙げた。そして魔女服の袖をまくりあげる。
 マーサの右腕、肘の上あたりに大きな傷があった。
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