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108.意図せず塔を……
天空の魔女 リプルとペブル
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108.意図せず塔を……
ロッドのことば通り、100段の階段を上がると、そこは殺風景な広間があった。
ただし、壁には何か機械のようなものが埋め込まれている。
「いいか、みんな。コトがなった今こそ油断するなよ」
出口に向い、ロッドが、みんなのゆるみかけた気持ちを引き締めようとげきを飛ばす。
ロッドは後ろ手に腕を組み、右に左に行ったり来たりしながら、語りはじめた。
「だいたい、こういう作戦がうまくいった時に限ってだな。最後に砦が爆破されて、中にいたヒーローたちは、危機に見舞われてというのが、よくあるパターンだ。くれぐれもその辺にある、あやしいボタンなんか押すんじゃないぞ、って! ペブル!! 何やってんだ!」
ロッドの目線の先には、
「押すな」
と書かれた赤いボタンを押しているペブルの姿があった。
ロッドの言葉にビクッとしたペブルはゆっくり振りかえると、
「『押すな』って書いてあったから、つい……」
ペブルの言葉が終わらないうちに、塔のあちこちからガラガラと何かが崩れるような物音が響いてきた。
「みんな急げ!」
ジールの声にみんながいっせいに走り出す。
みんなが階段を駆け上がり、フラップ式の扉を押し上げ、洞窟のようなところにはい出たとたんに塔は、ごうごうと音を立てて崩れ落ちてしまった。
一人遅れたペブルが、床の縁に両手をかけたまま宙づりになっている。
「た、助けて」
ロッドが、あわててペブルの手を取り、ひきあげた。
ペブルの足下から崩れおちた塔の残骸が、はるか下の方へばらばらになりながら落ちていく。
その代わりにもくもくと立ちあがってきた土煙に巻かれて、みんなは、ゴホゴホとむせた。
「だから! 言っただろう」
ロッドがこめかみの血管を浮き立たせるくらいの勢いでペブルにかみつこうとした時、ジールが
「まあまあ、地球に厄災をもたらす塔を破壊できたし、それにヤツらが僕らの土地を襲うことだって防げたんだし」
と、彼をなだめた。
さっとその背に隠れたペブルはうんうんとうなずいている。
「ジール様が優しいからって、調子に乗るなよ」
ロッドは、まだ怒りが収まらないらしい。
ブツブツ言いながら、あたりの壁をガツンガツン殴っている。
「ここからどうやって地上に出ればいいのかな?」
リプルがつぶやいた時、ボコッ。
ロッドが殴っていた壁のあたりで何かが崩れた音がした。
「えっ?」
ロッドの肩の辺りからサッとまぶしい光がさした。
「ロッド、後光が差してる。ありがたや~」
ペブルはロッドの背中に向かって両手を合わせる。
「外だ! 外だ」
ロッドの声にペブルがロッドを押しのけて、壁に空いた穴から外を見る。
「ほんとだ、まぶしい。ロッド、ありがたや~」
ペブルはまたロッドに向かって手を合わせた。
「んなことやってないで、おまえの出番だぞ」
「へっ?」
「何のためにそのでかいハンマー背負ってるんだよ」
「あっ、そっか」
ペブルは、背中からハンマーを取ると、両手で持ち上げて、思い切り壁にぶつけた。
すると、ガラガラと音がして壁が崩れた。
「まぶしいっ」
みんなはあまりの光に射ぬかれて思わず目をとじる。
再び目を開くと、やわらかな午後の青空と緑の木々、それに混じりけのない澄んだ風が吹抜けていった。
「帰ってこられたね」
リプルが感慨深そうにつぶやいた。
どうやらさっき登ってきた山のさらに上の方に出たらしい。
すぐ下に道があった。
「この道を戻れば、動物たちが待ってくれてるかな」
リプルたちは、山道を下りはじめた。ほどなくして青空がオレンジ色にかわりはじめた。
ロッドのことば通り、100段の階段を上がると、そこは殺風景な広間があった。
ただし、壁には何か機械のようなものが埋め込まれている。
「いいか、みんな。コトがなった今こそ油断するなよ」
出口に向い、ロッドが、みんなのゆるみかけた気持ちを引き締めようとげきを飛ばす。
ロッドは後ろ手に腕を組み、右に左に行ったり来たりしながら、語りはじめた。
「だいたい、こういう作戦がうまくいった時に限ってだな。最後に砦が爆破されて、中にいたヒーローたちは、危機に見舞われてというのが、よくあるパターンだ。くれぐれもその辺にある、あやしいボタンなんか押すんじゃないぞ、って! ペブル!! 何やってんだ!」
ロッドの目線の先には、
「押すな」
と書かれた赤いボタンを押しているペブルの姿があった。
ロッドの言葉にビクッとしたペブルはゆっくり振りかえると、
「『押すな』って書いてあったから、つい……」
ペブルの言葉が終わらないうちに、塔のあちこちからガラガラと何かが崩れるような物音が響いてきた。
「みんな急げ!」
ジールの声にみんながいっせいに走り出す。
みんなが階段を駆け上がり、フラップ式の扉を押し上げ、洞窟のようなところにはい出たとたんに塔は、ごうごうと音を立てて崩れ落ちてしまった。
一人遅れたペブルが、床の縁に両手をかけたまま宙づりになっている。
「た、助けて」
ロッドが、あわててペブルの手を取り、ひきあげた。
ペブルの足下から崩れおちた塔の残骸が、はるか下の方へばらばらになりながら落ちていく。
その代わりにもくもくと立ちあがってきた土煙に巻かれて、みんなは、ゴホゴホとむせた。
「だから! 言っただろう」
ロッドがこめかみの血管を浮き立たせるくらいの勢いでペブルにかみつこうとした時、ジールが
「まあまあ、地球に厄災をもたらす塔を破壊できたし、それにヤツらが僕らの土地を襲うことだって防げたんだし」
と、彼をなだめた。
さっとその背に隠れたペブルはうんうんとうなずいている。
「ジール様が優しいからって、調子に乗るなよ」
ロッドは、まだ怒りが収まらないらしい。
ブツブツ言いながら、あたりの壁をガツンガツン殴っている。
「ここからどうやって地上に出ればいいのかな?」
リプルがつぶやいた時、ボコッ。
ロッドが殴っていた壁のあたりで何かが崩れた音がした。
「えっ?」
ロッドの肩の辺りからサッとまぶしい光がさした。
「ロッド、後光が差してる。ありがたや~」
ペブルはロッドの背中に向かって両手を合わせる。
「外だ! 外だ」
ロッドの声にペブルがロッドを押しのけて、壁に空いた穴から外を見る。
「ほんとだ、まぶしい。ロッド、ありがたや~」
ペブルはまたロッドに向かって手を合わせた。
「んなことやってないで、おまえの出番だぞ」
「へっ?」
「何のためにそのでかいハンマー背負ってるんだよ」
「あっ、そっか」
ペブルは、背中からハンマーを取ると、両手で持ち上げて、思い切り壁にぶつけた。
すると、ガラガラと音がして壁が崩れた。
「まぶしいっ」
みんなはあまりの光に射ぬかれて思わず目をとじる。
再び目を開くと、やわらかな午後の青空と緑の木々、それに混じりけのない澄んだ風が吹抜けていった。
「帰ってこられたね」
リプルが感慨深そうにつぶやいた。
どうやらさっき登ってきた山のさらに上の方に出たらしい。
すぐ下に道があった。
「この道を戻れば、動物たちが待ってくれてるかな」
リプルたちは、山道を下りはじめた。ほどなくして青空がオレンジ色にかわりはじめた。
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