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30.嵐の前の静けさ
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カーテンの隙間から漏れる陽射しが、ぽかぽかと身体を包んでいる。寝起きは割と良い方だと思っていたはずだが、今日はやけに瞼が重い。気のせいでなければ、身体も重いような……。
眠気になんとか打ち勝って瞼を持ち上げると、目の前にさらさらとした黒い髪が見えた。
僅かに視線を上げれば、彫刻かと見間違うほど綺麗な顔が眼前に広がる。
一瞬驚いて目を見開く俺のすぐそばで、静かに目を閉じてすうすうと寝息を立てている。
あれ、成海くんだ。なんで成海くんが俺と同じベッドで寝ているんだろう。
「……え、なんか眩し……」
嫌な予感がして身体を起こした。窓から漏れる光はいつも起きる時間帯のそれよりも明らかに明るい。
ポケットの中からスマホを取り出して確認すると、いつもはとっくに家を出発している時刻だった。
「な、成海くんっ! 起きて! やばい、寝坊した!」
「んー……」
ゆさゆさと身体を揺さぶる俺の横で、まだうとうととしている様子の成海くんが目を擦る。
しまった、成海くんは朝が苦手なんだった……!
だけど今はそんな悠長なことを言っていられない。
俺は無理やり毛布を剥ぎ取って、二度寝をしようとしている彼の腕を引っ張ってベッドから降ろすと、そのまま一階まで背中を押して階段を降り、洗面所に押し込んだ。
「沙也ちゃん、だいたーん」
「ばかなこと言ってないで早く! 一秒でも早く出ないと遅刻するから!」
「えー、急ぐのだるいし俺のこと置いてっていーよ、別に」
「わああ、もう、諦めないで……っ!」
その後、寝起きで一段とやる気のないふにゃふにゃした成海くんを連れてなんとか家を出て、なんとか一本遅い電車に乗り込んで、なんとか予鈴ギリギリに教室に駆け込むことに成功した。
朝から色んな意味で疲れた。息を乱しながら席に着くと、前の席のサトシがニヤニヤしながら振り返ってきた。
「おはよー沙也。珍しくギリギリじゃん」
「おはよ……ちょっとね……」
それにしても、段々と昨夜の記憶が蘇ってきた。
ほっと気が緩んだ瞬間に急激に眠気が襲ってきて、部屋に戻るのも億劫でそのまま成海くんのベッドで眠ってしまったのだ。
眠すぎて思考力が鈍っていたとはいえ、成海くんと二人で寝たという事実を思い出すだけで頭を抱えてしまいそうになる。
「ってかそんなことより、まずいことになってんぞ」
「え? なにが?」
ぼんやりと回想をしているとサトシが急に険しい表情をして、俺の目の前にスマホを突き付けてきた。
近すぎて画面が読めない。僅かに仰け反りながら目を細めると、やっと焦点が合った。
表示されているのはよくあるSNSの画面。スマチャとは違う、写真の投稿を主とする、派手な人達の使うアプリだ。そこに映し出されていたのは──。
眠気になんとか打ち勝って瞼を持ち上げると、目の前にさらさらとした黒い髪が見えた。
僅かに視線を上げれば、彫刻かと見間違うほど綺麗な顔が眼前に広がる。
一瞬驚いて目を見開く俺のすぐそばで、静かに目を閉じてすうすうと寝息を立てている。
あれ、成海くんだ。なんで成海くんが俺と同じベッドで寝ているんだろう。
「……え、なんか眩し……」
嫌な予感がして身体を起こした。窓から漏れる光はいつも起きる時間帯のそれよりも明らかに明るい。
ポケットの中からスマホを取り出して確認すると、いつもはとっくに家を出発している時刻だった。
「な、成海くんっ! 起きて! やばい、寝坊した!」
「んー……」
ゆさゆさと身体を揺さぶる俺の横で、まだうとうととしている様子の成海くんが目を擦る。
しまった、成海くんは朝が苦手なんだった……!
だけど今はそんな悠長なことを言っていられない。
俺は無理やり毛布を剥ぎ取って、二度寝をしようとしている彼の腕を引っ張ってベッドから降ろすと、そのまま一階まで背中を押して階段を降り、洗面所に押し込んだ。
「沙也ちゃん、だいたーん」
「ばかなこと言ってないで早く! 一秒でも早く出ないと遅刻するから!」
「えー、急ぐのだるいし俺のこと置いてっていーよ、別に」
「わああ、もう、諦めないで……っ!」
その後、寝起きで一段とやる気のないふにゃふにゃした成海くんを連れてなんとか家を出て、なんとか一本遅い電車に乗り込んで、なんとか予鈴ギリギリに教室に駆け込むことに成功した。
朝から色んな意味で疲れた。息を乱しながら席に着くと、前の席のサトシがニヤニヤしながら振り返ってきた。
「おはよー沙也。珍しくギリギリじゃん」
「おはよ……ちょっとね……」
それにしても、段々と昨夜の記憶が蘇ってきた。
ほっと気が緩んだ瞬間に急激に眠気が襲ってきて、部屋に戻るのも億劫でそのまま成海くんのベッドで眠ってしまったのだ。
眠すぎて思考力が鈍っていたとはいえ、成海くんと二人で寝たという事実を思い出すだけで頭を抱えてしまいそうになる。
「ってかそんなことより、まずいことになってんぞ」
「え? なにが?」
ぼんやりと回想をしているとサトシが急に険しい表情をして、俺の目の前にスマホを突き付けてきた。
近すぎて画面が読めない。僅かに仰け反りながら目を細めると、やっと焦点が合った。
表示されているのはよくあるSNSの画面。スマチャとは違う、写真の投稿を主とする、派手な人達の使うアプリだ。そこに映し出されていたのは──。
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