58 / 131
58限目 一眼レフカメラ
しおりを挟む
(今日も色々ありすぎた)
レイラはため息をつきながら歩いていた。ピアノの部屋につくと軽く扉を叩いてから開けた。いつも誰もいない部屋であるためノックの返事を聞かずにあけた。
失敗であった。
扉を開けて、一番に目に入ったのは兄のリョウの姿であった。彼はピアノの鍵盤から手をおろすと椅子に座ったまま、こちらを見ていた。
「使用中でしたのね。失礼しましたわ」
と言ってレイラは、部屋に一歩も入らずに扉を閉めようとした。すると、リョウは素早く立ち上がり、その扉に足を入れて閉めるのを防いだ。
「待って下さい」
レイラは眉をひそめて扉を開けた。
リョウは足を引いてから手を動かし、レイラに中に入るように示した。レイラはしぶしぶ室内に入ると奥には入らずに扉の前に立った。
「なんですの?」
「そんなに怖い顔をしないでください」
リョウは眉を下げて困った顔をした。
(面倒くさいなぁ。コイツは昔から俺(レイラ)についてまわるよな。でも、攻略対象なんだろう? 俺(レイラ)を没落させるんだよな)
「ご用はなんですの?」
「……伊藤カナエさんの事です。彼女は出迎えに来なかったですよね。しかもその原因が遊んでたらしいじゃないですか。それで、なぜ家政婦を変えないのですか?」
「出迎えはなくても問題ありません。お兄様は彼女の顔を見ているのですわよね?」
「……」
リョウはレイラから視線を外して、床を見た。レイラは黙っている彼にため息をつくと、「お話になりませんわ」と言って扉から出て行ってしまった。
リョウは止めようとしたが、その後の言葉が続かずに口を閉じた。
リョウは、レイラが出て行った扉をじっと見つめた。その扉は動くことははなかった。
リョウは立ち上がり、ピアノの部屋を出ると自室に向かった。部屋に戻るとすぐに椅子に座り引き出しから一枚の手紙を出した。
『二人が血縁関係にある確率は99%だ。この二人が誰だかは聞かないが、なにかあったら言いなさい。父』
リョウは何度か手紙を読みなおしたが文字は変わることはなかった。
その時。
扉を叩く音がしてリョウは返事をするとリョウの専属家政婦であるユリコが頭を下げて現れた。
「もうそんな、時間ですか」
リョウは腕にある時計を見ると立ち上がった。
リョウはユリコが自分の鞄を持つのを確認すると部屋を出て車に向かった。そのリョウの後をユリコが追った。
彼が車に近づくと、運転手の港が後部座席の扉を開けて頭を下げていた。車に乗り込むと続けてユリコも乗った。港はそれを確認すると運転席に座り、彼らに声を掛けてから出発した。
しばらく車を走らせると、図書館が見えてきた。
図書館の駐車場に車を止めた港は、後部座席にいるリョウの方を向いた。
「いつもよりも使用している徳山図書館より遠いので早めのご帰宅をお願い致します。門限に間に合わなくなります」
港の言葉にリョウは頷き、いつもより1時間早い時間を伝えた。すると、港は納得したように頷いて、車から降り後部座席の扉を開けた。
リョウは彼から黒のチョーカーを受け取ると後から降りてきたユリコに渡した。ユリコは自分の首にそれを着けた。
港がその様子を見て目を細めたので、リョウは彼に笑顔をみせた。
「外出時に運転手の前で、首につけるという規則は守っています。それに、この事を父に報告しているですよね? 父からは何も言われてますか?」
「……“好きにさせろ”と仰せです。それと、“本人が責任を取れば良い”とも」
ニヤリと笑うリョウを見て港は首を振った。
「レイラさんは素直に育って良かったですね」
ユリコはボソリと言うと、港はそれに頷いた。リョウは「レイラさん? そうでしょうか」とニコリ二人に笑いかけると図書館に足を向けた。
港とは黙って頭を下げ、ユリコは彼を慌てて追いかけた。
リョウは図書館の正面玄関のまで来ると、建物を見上げた。ここは総合図書館であるためいつも行く、徳山図書館よりも大きく立派な建物であった。
リョウはユリコの方を見ると、彼女は軽く頷き図書館の中に入っていった。リョウも中に入るとユリコが1階にいるのを確認してから階段を上り、3階の階段から一番遠い場所にある学習室に入った。
学習室はすべて一人席であり、集中しやすい様に机がパーテーションで囲われていた。
何人かの利用者がいたが、席は十分に空いていた。リョウは、室内をキョロキョロと見回すと、目当て人物を見つけて目を細めた。
リョウはゆっくりとその人物のもとへ向かった。
相手は全く気づいていないようであった。
その人物の席の後ろに立つと、彼はそっと肩に触れた。
「……?」
それに気づいて人物が眉を寄せて、振り向いた瞬間に顔を青くした。言葉がでないようであり、唇を震わせている。
「お久しぶりですね。河野(かわの)まゆらさん」
彼は彼女に聞こえる程度の小さな声で話しかけた。彼女は慌てて、荷物をまとめて始めるとリョウはニヤニヤと笑った。
「また逃げるのですか?」
そう言って、リョウはまゆらの前に一眼レフカメラを置いた。
それを見て彼女は荷持をまとめる手をとめてビクリと体を震わせた。
そして、彼の顔を見た。
リョウは自分の眼鏡に触れながら、ニヤニヤと嫌な笑いを浮かべ机の上にある一眼レフカメラに触れていた。
「これ、お返ししますよ」
「……」
レイラはため息をつきながら歩いていた。ピアノの部屋につくと軽く扉を叩いてから開けた。いつも誰もいない部屋であるためノックの返事を聞かずにあけた。
失敗であった。
扉を開けて、一番に目に入ったのは兄のリョウの姿であった。彼はピアノの鍵盤から手をおろすと椅子に座ったまま、こちらを見ていた。
「使用中でしたのね。失礼しましたわ」
と言ってレイラは、部屋に一歩も入らずに扉を閉めようとした。すると、リョウは素早く立ち上がり、その扉に足を入れて閉めるのを防いだ。
「待って下さい」
レイラは眉をひそめて扉を開けた。
リョウは足を引いてから手を動かし、レイラに中に入るように示した。レイラはしぶしぶ室内に入ると奥には入らずに扉の前に立った。
「なんですの?」
「そんなに怖い顔をしないでください」
リョウは眉を下げて困った顔をした。
(面倒くさいなぁ。コイツは昔から俺(レイラ)についてまわるよな。でも、攻略対象なんだろう? 俺(レイラ)を没落させるんだよな)
「ご用はなんですの?」
「……伊藤カナエさんの事です。彼女は出迎えに来なかったですよね。しかもその原因が遊んでたらしいじゃないですか。それで、なぜ家政婦を変えないのですか?」
「出迎えはなくても問題ありません。お兄様は彼女の顔を見ているのですわよね?」
「……」
リョウはレイラから視線を外して、床を見た。レイラは黙っている彼にため息をつくと、「お話になりませんわ」と言って扉から出て行ってしまった。
リョウは止めようとしたが、その後の言葉が続かずに口を閉じた。
リョウは、レイラが出て行った扉をじっと見つめた。その扉は動くことははなかった。
リョウは立ち上がり、ピアノの部屋を出ると自室に向かった。部屋に戻るとすぐに椅子に座り引き出しから一枚の手紙を出した。
『二人が血縁関係にある確率は99%だ。この二人が誰だかは聞かないが、なにかあったら言いなさい。父』
リョウは何度か手紙を読みなおしたが文字は変わることはなかった。
その時。
扉を叩く音がしてリョウは返事をするとリョウの専属家政婦であるユリコが頭を下げて現れた。
「もうそんな、時間ですか」
リョウは腕にある時計を見ると立ち上がった。
リョウはユリコが自分の鞄を持つのを確認すると部屋を出て車に向かった。そのリョウの後をユリコが追った。
彼が車に近づくと、運転手の港が後部座席の扉を開けて頭を下げていた。車に乗り込むと続けてユリコも乗った。港はそれを確認すると運転席に座り、彼らに声を掛けてから出発した。
しばらく車を走らせると、図書館が見えてきた。
図書館の駐車場に車を止めた港は、後部座席にいるリョウの方を向いた。
「いつもよりも使用している徳山図書館より遠いので早めのご帰宅をお願い致します。門限に間に合わなくなります」
港の言葉にリョウは頷き、いつもより1時間早い時間を伝えた。すると、港は納得したように頷いて、車から降り後部座席の扉を開けた。
リョウは彼から黒のチョーカーを受け取ると後から降りてきたユリコに渡した。ユリコは自分の首にそれを着けた。
港がその様子を見て目を細めたので、リョウは彼に笑顔をみせた。
「外出時に運転手の前で、首につけるという規則は守っています。それに、この事を父に報告しているですよね? 父からは何も言われてますか?」
「……“好きにさせろ”と仰せです。それと、“本人が責任を取れば良い”とも」
ニヤリと笑うリョウを見て港は首を振った。
「レイラさんは素直に育って良かったですね」
ユリコはボソリと言うと、港はそれに頷いた。リョウは「レイラさん? そうでしょうか」とニコリ二人に笑いかけると図書館に足を向けた。
港とは黙って頭を下げ、ユリコは彼を慌てて追いかけた。
リョウは図書館の正面玄関のまで来ると、建物を見上げた。ここは総合図書館であるためいつも行く、徳山図書館よりも大きく立派な建物であった。
リョウはユリコの方を見ると、彼女は軽く頷き図書館の中に入っていった。リョウも中に入るとユリコが1階にいるのを確認してから階段を上り、3階の階段から一番遠い場所にある学習室に入った。
学習室はすべて一人席であり、集中しやすい様に机がパーテーションで囲われていた。
何人かの利用者がいたが、席は十分に空いていた。リョウは、室内をキョロキョロと見回すと、目当て人物を見つけて目を細めた。
リョウはゆっくりとその人物のもとへ向かった。
相手は全く気づいていないようであった。
その人物の席の後ろに立つと、彼はそっと肩に触れた。
「……?」
それに気づいて人物が眉を寄せて、振り向いた瞬間に顔を青くした。言葉がでないようであり、唇を震わせている。
「お久しぶりですね。河野(かわの)まゆらさん」
彼は彼女に聞こえる程度の小さな声で話しかけた。彼女は慌てて、荷物をまとめて始めるとリョウはニヤニヤと笑った。
「また逃げるのですか?」
そう言って、リョウはまゆらの前に一眼レフカメラを置いた。
それを見て彼女は荷持をまとめる手をとめてビクリと体を震わせた。
そして、彼の顔を見た。
リョウは自分の眼鏡に触れながら、ニヤニヤと嫌な笑いを浮かべ机の上にある一眼レフカメラに触れていた。
「これ、お返ししますよ」
「……」
0
あなたにおすすめの小説
崖っぷち令嬢は冷血皇帝のお世話係〜侍女のはずが皇帝妃になるみたいです〜
束原ミヤコ
恋愛
ティディス・クリスティスは、没落寸前の貧乏な伯爵家の令嬢である。
家のために王宮で働く侍女に仕官したは良いけれど、緊張のせいでまともに話せず、面接で落とされそうになってしまう。
「家族のため、なんでもするからどうか働かせてください」と泣きついて、手に入れた仕事は――冷血皇帝と巷で噂されている、冷酷冷血名前を呼んだだけで子供が泣くと言われているレイシールド・ガルディアス皇帝陛下のお世話係だった。
皇帝レイシールドは気難しく、人を傍に置きたがらない。
今まで何人もの侍女が、レイシールドが恐ろしくて泣きながら辞めていったのだという。
ティディスは決意する。なんとしてでも、お仕事をやりとげて、没落から家を救わなければ……!
心根の優しいお世話係の令嬢と、無口で不器用な皇帝陛下の話です。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
公爵様のバッドエンドを回避したいだけだったのに、なぜか溺愛されています
六花心碧
恋愛
お気に入り小説の世界で名前すら出てこないモブキャラに転生してしまった!
『推しのバッドエンドを阻止したい』
そう思っただけなのに、悪女からは脅されるし、小説の展開はどんどん変わっていっちゃうし……。
推しキャラである公爵様の反逆を防いで、見事バッドエンドを回避できるのか……?!
ゆるくて、甘くて、ふわっとした溺愛ストーリーです➴⡱
◇2025.3 日間・週間1位いただきました!HOTランキングは最高3位いただきました!
皆様のおかげです、本当にありがとうございました(ˊᗜˋ*)
(外部URLで登録していたものを改めて登録しました! ◇他サイト様でも公開中です)
記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】
かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。
名前も年齢も住んでた町も覚えてません。
ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。
プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。
小説家になろう様にも公開してます。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない
魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。
そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。
ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。
イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。
ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。
いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。
離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。
「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」
予想外の溺愛が始まってしまう!
(世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる