【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ

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第一章

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 ノエルとユーリ様は真っ直ぐ私達が座ってる席に歩いてくる。

「お疲れ様です。お怪我はありませんか?」

「俺は問題ありません」

「私も問題ないよ。素人相手だから怪我なんてしないさ。兄上を相手してる時に比べたら、幼子を相手してるようなものだよ。」

 ユーリ様の兄上ってことは陛下ってことよね。

 陛下は今年で45歳だったかしら?

 ユーリ様は陛下と年が離れていて21歳になるはずだから、そんなユーリ様が相手をするのが大変な陛下はどれだけ元気なのかしら?

「陛下が剣を持ってるのを見たことがないから何だか意外でした」

「兄上は今では賢王って言われてるけど、若い頃の兄上は机で仕事をするより、動いてる方が好きな人だからな。私は今でも本気になった兄上には勝てない」

 それは凄いわね。

 頭が良くて剣の腕も一流なら王として完璧ね。

 でもそんな人が兄や父親ならコンプレックスに感じそうね。

 もしかして王太子様の性格が俺様なのは、虚勢を張ってるのかな?

 小さい頃はそうだったんだろうけど、大きくなるにつれそれが当たり前になったのかもしれないわね。

「ユーリ様は陛下が大好きなんですね」

「確かに兄上を尊敬してますよ。でもいい歳した男が兄を好きって言うのは微妙な気分ですね」

「なんか済みません」

「構いませんよ。兄上のことを尊敬してるのは本当ですから。私にとって兄上は兄って言うより父親って感じですから、私の父親は最低な人でしたからね」

 ユーリ様は父親のことを思い出したのか、とても嫌そうな顔をしている。

 先代の王のことはあまり知らないけど、暴君で女好きだと有名よね。

 陛下とユーリ様は異母兄弟で、ユーリ様の母親は無理やり側室にされたと有名だった。ユーリ様の母親は陛下よりも歳下だったはず。

 ユーリ様の母親はユーリ様が小さい頃に病んで自害してしまったのよね。

 同じ女としてユーリ様の母親の気持ちがわかる、自分の父親と同じ年代の男に無理やり娶られて、嫌いな男の子供を産むことになったら病んでもおかしくないわよね。

 私はユーリ様の母親ではないですし、話したことない相手だから本当の気持ちはわからないですけど、憎い相手との間にできた子供って気持と、母親として自分の子供を愛おしく思う気持ちの狭間で、苦しんでいたんじゃないかって私は勝手に思っている。

 ユーリ様は母親のことをどう思ってるのかしら?

 流石に本人に聞けるような内容ではないけど、ユーリ様がこれ以上辛い思いをしないといいわね。

「どうかしましたか?」

「いえ、何でもありませんわ。そういえばユーリ様は何でこの場に居たのですか?」

「仕事中に食べれるものを切らしてたので補充しに来たんですよ。集中して書類仕事をしてると、体が無性に甘いものを求めるんですよね。部下に任せるのも良いんですけど、たまには自分の目で選びたかったんだよ」

 疲れてると糖分を脳が欲しがるって言うわよね。

 でも何か意外だわ。

 貴族の男性は甘いものを食べるのを知られるのは恥って考える人が多いのに、ユーリ様は何でもないことのように話すのね。

「最近は仕事が忙しいのですか?私の父も数日帰ってきてないみたいですし」

「職場のひとりが急病で仕事を休んでるから、何時もよりちょっと忙しいくらいかな?だから帰れないぐらい忙しいことはないけど、イワンが帰ってないのは他の理由があるんだよ」

 ならやっぱり王太子様と私のことが原因なのかしら?

 もしかしてお父様と陛下が揉めてるとか?

 私のせいで陛下から我が家の評価が下がってたらどうしたら良いのかしら

「そんな不安そうな顔をしなくても大丈夫だよ。私も協力したから話し合いは上手く進んでるよ。イワンが帰ってないのは全てを終わらせてから、イリーナ嬢に話したかったんだろうな。半月は掛かる作業を3日で終わらせてるところだよ。ほぼ全て私が言ってしまったようなものだけど、早く家に帰って父親からの報告を楽しみにしているといい」

「はい!!ユーリ様も私の為に色々と協力してくれてありがとうございます」

 私の我儘のせいで、お父様やユーリ様に迷惑をかけてしまったわね。

 だけど王太子様の婚約者候補を辞退できるみたいで嬉しい。

「正直に言うと、イリーナ嬢がこの国の王妃になってくれたら、この国の将来は安泰だったと今でも思ってる、だけどイリーナ嬢とミハイルの関係を見てると、イリーナ嬢に申し訳ないって思ってた。君はあの子に寄り添おうとしてるのに、あの子は全く君の気遣いをわかっていなかった」

「ユーリ様が謝ることではありませんわ。私と王太子様の相性が悪かっただけの話です。王妃としてこの国を支えることは出来ませんけど、いつか絶対に別の形でこの国の役に立ちたいと思ってます」

 ユーリ様はちょっと悲しそうな顔をしてから、小さくありがとうと言って帰って行った。

 ユーリ様みたいな頼りになる男性はカッコイイわね。

 もしも私がユーリ様と年が近かったら、ユーリ様の婚約者になれたのかしら?

 貴族なら年齢の離れた婚約者が居てもおかしくないけど、王弟であるユーリ様や公爵家の娘である私は滅多にないのよね。

 極稀に他国の王族に嫁ぐときや、王子や王女が生まれ時に高位貴族に同じ年代の子供が中々生まれなかった時とかには、年が離れて居ても婚約する場合もあるみたいだけど

 貴族は王族に合わせて子作りをするから、滅多にそんなことは起きないけどね。

 王族の婚約者になれなくても、努力次第で側近にはなれる可能性はある。

 だから基本的に時期を合わせて子供を作る人達が多いのよね。
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