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第一章
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しおりを挟むトラブルに巻き込まれたせいで、予想よりも時間が掛かってしまったわね。
もしかしたらお父様がもう帰ってきてるかもしれない。
お兄様は確実に帰ってるわよね。
「遅くなったけどノエルとお疲れ様。怪我とかしてない?」
「問題ありません。レクシン大公様や警備隊の方たちがすぐに来てくれたので、怪我をすることはありませんでした」
「なら良かったわ。レクシン大公って何か違和感があるわね。ユーリ様が20歳になった時に、ユーリ様がレクシン大公って地位を与えられたのよね」
王族は20になった時に王族が管理してる領地と爵位を与えられる事が多い。
能力に問題がないってことが前提みたいですけどね。
学園での成績を参考に決めてると噂されている。
あまりに成績が悪い場合は令嬢しか居ない伯爵家に婿入させられるらしい。
そんな人は滅多に居ないから噂止まりなのよね。
「疲れてるところ申し訳ないけど、家を出てから結構時間が経ってしまってるからもう帰りましょう。店員さんお会計をお願いします」
本当ならもう少しノエルをゆっくり休ませたいけど、ちょっと買い物に行くって言って出たから、あまりに帰りが遅かったら心配させてしまう。
流石にないとは思うけど、私が帰らないことで大騒ぎになったら困る。
今ではだいぶ減ったけど、昔はお父様に逆恨みした相手が私を誘拐しようとした事件が何回もあった。
その度に周りに助けられてきたから無事だったけど、そのせいで今でもお父様は過保護なのよね。
今ではお父様を説得して、外に出る時に護衛を1人か2人で納得したけど、最初の頃は外に出る時に5人以上居ることが当たり前だった。
王都の外を出るならまだ納得できるけど、街に行くだけなのにそんな大人数で移動なんて恥ずかしいわよね。
「お待たせいたしました。会計なのですけど先程の男性が全て払って行かれましたよ?」
ユーリ様が?
「そ、そうなのね。わかったわ。私達はもう帰りますわね。皆さんも今日は災難でしたね。もう安全ですので安心して下さい」
席から立ち上がり帰ろうとすると、店内に居た女性たちが一斉に立ち上がる。
「ありがとうとございます!!」
「本当なら大人の私達がお嬢様を含めて子供たちを守るべきなのに、全てお嬢様に任せてしまい申し訳ありません」
「騎士様、お嬢様、私の子供を守ってくれてありがとうございます!!お二人が居なかったら子供は大怪我をしていたかもしれません。出来ましたらお二人の名前をお教え下さいませ」
大勢の大人に感謝されて照れくさくてすぐにお店から出たい気分になってると、最後に酔っ払いに絡まれてた親子が感謝を述べてきた。
子供がトラウマになってないか気になり、子供の様子を見るとポカンとした顔で、私達と母親の顔を見ている。
大丈夫そうね。
「私は指示を出しただけなのでお礼なんていいですわ。貴族として当たり前のことをしただけです」
「俺も騎士として当たり前の事をしただけです」
女性に丁寧に断り、私達はすぐにお店から出て馬車に乗り込んだ。
このまま居たら、彼女以外の人たちまでお礼をいい始めて、中々お店から出れなくなるかもしれないものね。
「今日は大変だったわね。買い物に来てまだ2時間ぐらいしか経ってないのに、もう5時間以上経ってる気分だわ」
「本当ですね。まさか酔っ払いが暴れるとは思ってませんでした。あの通りにはよく行くのですが、昼間からあんな呑み方をする人は滅多に居ないんですけど?」
「そうなのね。そういえばユーリ様にお礼の手紙を書かないといけないわね。まさか私達の支払いをしてくれてるとは思わなかったわ。金額を聞いてびっくりしたんじゃないかしら?」
店内に居た全員の飲み物代だったから、それなりの金額になってるはず。
貴族からしたらたいした金額ではないけど、私とメリーの分だけだと思ったら、約20人分の金額だったら驚くわよね。
「お嬢様とメリーは何か高額なものでも頼んだのですか?」
何も知らないノエルが不思議そうに質問してきた。
「お嬢様はあのお店に一緒に避難した人たちに飲み物をご馳走したのよ」
「それは確かに知らなかったらビックリしますね。お嬢様は旦那様に考え方がどんどん似てきますね」
「お父様をお手本にしてるから当たり前よ。お父様は貴族として、そして人としてもとても素晴らしい人ですから」
小さい頃から私はお父様をお手本にしてきた。
お母様も素晴らしい人だけど、ちょっと他人に甘すぎるところがあった。
守るべき対象だと思ったら、とことん甘やかすところがあるのよね。
リリヤにしてるように何をされても許してしまう。
願いを何でも叶えてしまうから、芯が強い相手じゃないとダメ人間にしてしまうのよね。
お母様をお手本にするのは難しい。
お母様は1度受け入れてしまうと、見捨てることは滅多にしないのよね。
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