【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ

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第一章

29

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 私は気が付いたら寝ていたみたいで、家に着いてからメリーに起こされた。

「まさか馬車で寝てしまうとは思わなかったわ」

「色々とあって疲れてたんですよ。お嬢様はリリヤ様が来てから、あまり寝付きも良くなかったみたいですからね」

 メリーの言う通りでリリヤと会った日から、寝るたびに前世の時の夢を見ることが多かった。

 家族との思い出ばかりでこの世界のことは全く関係なかったけど、今はもう会えない家族のことを思い出すのは正直辛かった。

 夢を見るたびに懐かしさと寂しさで気分が沈んでいた。

 今の私には新しい家族が居るけど、前の家族も私にとって大切な家族だった。

「メリーには隠し事は出来ないわね」

「お嬢様のことは小さい頃からお世話をしてきたのですから当たり前です。私が結婚してもお嬢様のお世話係を辞めるつもりはありませんよ。この仕事に理解ない人とは結婚するつもりはありません」

 私にとってメリーは頼もしいお姉ちゃんなのよね。

 私にはお兄様が居るけど、男のお兄様には話しづらいこともある。

 親であるお母様にも話しづらい時があるから、そんな時にはメリーに相談してきた。

「メリーの気持ちは嬉しいけど、メリーの幸せを1番に考えてほしいわ。貴女は伯爵令嬢なんだから、公爵家や侯爵家に嫁ぐことだって出来るのよ」

 メリーは私の専属メイドだから公爵家の娘に仕えるってことで、私と同等の教育をされている。

 公爵家の娘である私は同等の身分の人や王族と関わることが多い、そんな私に仕えてるメリーがお客様に粗相しないために、同じレベルの教育をしてるのはメリーの為でもあるのよね。

 もしも問題を起こしてしまったら、相手によっては処罰を求めてくる可能性がある。

 相手の身分が高ければ高いほど、処罰の規模が重くなってしまうことがある。

 そんならない為に私やお兄様の専属の使用人は、高いレベルの教育を受けて貰う必要がある。

 だけどそのお陰で我が家の使用人は評判が良いのよね。

「私の幸せはお嬢様が幸せそうにしてるのを見守れることです。ですから絶対にお嬢様から離れるつもりはありませんよ」

 メリーは頑固だからな。

「分かったわ。でももしも何か優先したいことが見つかったら、絶対に躊躇してはいけないわよね。私もメリーには幸せになって欲しいって思ってることを忘れないでね」

「はい!!」

 メリーが私の専属メイドで良かった。

 こんなに無条件で愛してくれる存在は滅多に居ないわよね。

「話はその辺にしてそろそろおりましょう。お二人が話してる間に、心配になってる者たちが集まってますから」

 ノエルの発言を聞いて、窓の外を見ると数人の使用人とお兄様とお父様が居るのが分かった。

「そんなに心配されるほど時間が経ったかしら?普段よりちょっと時間が掛かったのは分かってるけど、あそこまで心配されるほど時間は経ってないわよね?」

「降りてこないから心配してるのかもしれませんね」

 なるほど………

 確かにやっと帰ってきたと思ったら、馬車から降りてこなかったら心配するわね。

 これ以上心配をかけてはいけないと思い、さっさと馬車からおりる。

「イリーナ大丈夫だったかい?」

「えっと………、何がですか?」

 ちょっと遅れて帰っただけで何でこんなに心配されてるのかしら?

「職場から帰ってる途中で大通りで酔っ払いが暴れてるって聞いたんだよ。家に帰ってみたら、イリーナが大通りに買い物に行ったと聞いて、心配になり大通りまで行こうと思ったてたらお前が帰ってきたんだよ」

「もうそんな噂が回ってたんですね。私にはノエルとメリーが居たので問題ありませんわ。それとユーリ様もその場に居て、ノエルと街の警備隊と一緒に解決してくれたので、直接危険な目にはあってません」

「そうだったのか………、ユーリが途中で消えたと思ってたら、また街に行っていたのだな。いつもみたいに甘味を選びに行っていたんだろうけど、結果的に考えたらイリーナを助けてもらったのだから、お礼を言わないといけないな」

 お父様はお礼を言うと言いながら、『でも3日に1回ぐらい1時間以上消えられるのは困るんだよな。いつもなら説教案件だけど、娘を助けてもらったから注意もしづらい』ってボソボソと言っている

 ユーリ様は甘いものを求めてよく居なくなるのね。

 でもユーリ様が宰相になってから宰相の仕事だけではなく、他の仕事も陛下から任されてるみたいだから、息抜きのために仕方ないのかもしれないわね。

 だけどクールな見た目からは想像できないわよね。

「他にもユーリ様にお礼を言わないといけない事があるんです。その場にいるのは危険だったので、私はあの場に居合わせた女性と子供を近くのカフェに誘導して避難したんです。待機してる間に、女性たちの気晴らしになればいいと思って、自分で払う気で飲み物をご馳走したんですけど、知らない間にユーリ様が全て支払ってくれたんです」

 あの時のユーリ様は行動全てがスマートでカッコ良かったわよね。

「ユーリがそんな事をしたのか!?女に冷たいアイツが………、支払いは私から返しとくから、イリーナは安心しなさい」

「お願いします。そういえばお父様は、ユーリ様の事を呼び捨てにしてるんですね?」

「ユーリが小さい頃に我が家に長期間預けられたことがあるんだよ。その時に兄弟のように育ったから、今でも昔の名残だな」

 そうなのね。

 お父様とユーリ様は年が離れてるから、お父様はユーリ様のことを可愛がってたのかもしれないわね。
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