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第一章
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しおりを挟むそういえばお父様の後でずっとお兄様が黙ったままなのよね?
もしかして怒ってるのかしら?
「お兄様?」
「本当に怪我をしてないんだな?」
「心配をかけてしまいすみません。私は大丈夫ですわ。ノエルとメリーも全く怪我をしてません」
お兄様は無言で近付いてくると、私の頭をグシャグシャに撫でてくる。
「ちょっ!?お兄様!!髪の毛がグシャグシャになるので止めて下さい」
「本当に心配したんだぞ。しかしイリーナは巻き込まれ体質みたいだな。家を出る前もあの女に絡まれたんだろ?」
「何故知ってるんですか?あの場には私達しか居ないと思ってたんですけど?」
そういえば家を出る前に、リリヤに色々と文句を言われたのを忘れてたわね。
街で色々とあったから、リリヤの事を完全に忘れてたわ。
会ったら思い出していただろうけど………
今思い出してもムカつくわね。
ノエルをモノ扱いするなんて何様なのかしら?
今までどんな教育をされてきたら、使用人を下僕扱いできるか知りたいわ。
リリヤが我が家に来てまだ一週間しか経ってないのに、使用人達からの苦情が多すぎるのよね。
無理難題を押し付けられて困ってるみたいなのよね。
恋人や奥さんがいる使用人に、今すぐ別れて自分に尽くせって迫ったと聞いた。
本当に私と同じ12歳なの?
お父様に報告しないといけないって思ってたからいい機会かもしれないわね。
「門番のひとりが教えてくれたんだよ。お前たちが行った後もずっと文句を言っていたみたいだな。我が家の門番はイリーナを娘のように可愛がってるものばかりだから、許せなかったみたいだな」
門番も居たのを忘れてたわね。
言うつもりだったから、お兄様たちに知られても私は何も問題ないけど、リリヤは何がしたいのかしら?
こんなに敵ばかりを作って、私は生まれた時からここで暮らしてるのだから、我が家には私の味方が多いのは当たり前なのに、そんな人達の前で私の悪口を言うなんて、印象が悪くなるだけよね。
「そうだったんですね。別に私は隠すつもりは一切ありませんでしたわ。リリヤのことはそろそろお父様に報告しないといけないと思ってたので、その時にお兄様にも聞いてもらおうと思ってたんです」
「なら良いけど」
私とお兄様の話を黙って聞いてたお父様はとても渋い顔をしている。
「お父様?」
「いや………、二人の話を聞いてる感じ、オリガからの報告と全然違うみたいだな」
お母様はどんな報告をしてるのかしら?
誤魔化したっていつかはバレるのに、お母様はそんな事も分からなくなってるの?
移動しながら今日の事と今までのリリヤの様子をお父様に報告する。
私やお兄様に迷惑をかけることは少ないけど、使用人にすごい迷惑をかけてるわよね。
「流石にこれ以上は看過できないな。すぐにでもルドルフ学園に入るように手続きをする。使用人にへの態度も許せないが、イリーナへの態度は大問題だな」
やっぱりそうなるわよね。
問題はお母様かな?
絶対にリリヤはお母様に泣きつくはず
「母上はどうするつもりですか?あの女がここまで調子に乗ったのは母上のせいでもあります。それに今回の決定を話したら、母上が反対するはずです」
お兄様も私と同じ意見なのね。
まぁ、今のお母様を見てたら想像できるわよね。
「もしもオリガが抵抗するようなら……………、オリガとは離縁するしかないだろうな。姪が大切なのはわかるが、公爵夫人として相応しい行動ではない。家族より姪を優先するなら、もう家族としてやっていけない」
お父様は辛そうに自分の決断を話してくれた。
お父様はお母様を愛してるからこの決断は辛いでしょうね。
お母様を好きな気持ちは今でもあるはず、だけど公爵家の当主として、公爵家の不利益になる存在をそのままにすることは出来ない。
辛いだろうな………、
「手続きなどで半月は掛かるからそれまでは2人も我慢してくれ。邪魔されたりしたら困るから、あの2人には前日まで内緒にしてるつもりだ」
「わかりました」
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