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第一章
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しおりを挟むお母様の勝手な言い分に、お父様の顔がどんどん怖くなっていく。
お祖父様とお祖母様はさっきより顔色が悪い気がする。
「そんなにその娘が大事なら2人だけで暮せば良い。私達はオリガと縁を切ると決めている。これは私だけの意見ではない。イリーナとセミュンの願いでもある。お前はそれだけ2人を傷付けていたんだ。自覚しろ」
「何でそんなに冷たいことを言うの?ずっと家族として仲良くやってこれたでしょ?」
「それはその娘が来る前までの話だろ。その娘が来てからのお前は、家族の気持ちを蔑ろにし過ぎたんだ。我慢にも限度があるんだよ。お義父さん達には申し訳ありませんがこれ以上はもう無理です。私は妻より子供たちを優先したい」
お父様は言い切ると、私とお兄様の手をぎゅっと握ってくれる。
自分が居るから大丈夫だと言ってくれてるみたいで、不安だった気持ちが落ち着いていくのがわかった。
「イワン殿の選択は間違ってない。子供を第一に考えられない母親は必要ない。貴族としてそうしないといけない場面はあるかもしれないが、今回はオリガの私情で行動してるだけだから全く関係ない」
「そう言ってもらえると助かります。それと近いうちに噂が回ってくると思いますけど、イリーナが王太子の婚約者候補を辞退することになりました。イリーナの希望です」
「えっ!?あんなに夢中だったのに、イリーナは本当にそれで良いの?後悔したりしない?貴女なら王太子妃にもなれると私は思うわよ?」
凄い心配されてる………、
確かに前の私は王太子様に夢中だったからな。
流石に拗らせたりして周りに迷惑をかけたりはしなかったけど、盲目的に王太子様を好きだったのよね。
駄目なところを見ても、私がフォローしてあげないとって使命感に燃えていた。
何であんなに邪険にされていたのに、ずっと夢中だったのか前の私の唯一理解できない部分よね。
「目が覚めたといいますか………、何であんなに好きだったのか分からなくなってしまいました。公爵家としても王太子妃になっても、そこまで利点がないので、お父様と相談して辞退することにしました」
我が家はそこまで王太子妃って身分に執着してないのよね。
今の地位を維持できれば問題ない。
王族との関係も悪くないですし、お父様は宰相補佐だけど宰相になれなかったわけではない。
宰相の補佐をするほうがやり甲斐を感じることと、補佐の仕事のほうが家族との時間を作りやすいって考えてくれてることを知っている。
補佐の仕事でも忙しい時期は家に帰れないことはよくあるけどね。
「そんなの聞いてない!!イリーナがミハイルの婚約者じゃなくなったら、私はどうすればいいのよ!!接点がなくなるじゃない」
「何を言ってますの?私と王太子樣が婚約してようがしてなかろうが貴女には関係ないでしょ。貴女はこれからお母様と一緒にここから出て行かないといけないのですから。それと王族を呼び捨てにするなんて不敬ですわ。」
常識がないにも程があるわ。
婚約者候補を辞退することで、リリヤがここまで動揺するとは思わなかったわね。
「関係なくない!!何でこんなにおかしいことばかり起こるの!!今の時期にイリーナが婚約者候補から消えるなんておかしい。それに私がこの家から追い出されるなんて絶対にあり得ない!!私はこの家からミハイルが通ってる学園に通うはずなのに!!」
転生者確定ね。
予想通りだけどこの予想はハズレてほしかったな。
「妻と離縁するのに君がここに住み続けるわけ無いだろ。君には一緒に出て行ってもらう。私達が君を世話する理由はないからな」
「だったら離縁しなければ良い、そしたら皆が幸せになれるわ。私もこの家に居られるし、子供から母親を奪うなんていけないと思います」
「あの子達から母親を奪う原因になったお前が言うのか?オリガは元から人に甘いところはあったが、あそこまで話が通じず、子供を蔑ろにすることは今までなかった。お前が来てからオリガは変わってしまったんだ!!他人のお前が意見して良い話ではない!!」
お父様がこんなに怒ってるの初めて見たかもしれない。
本当はお父様もお母様と離縁したくなかったのかもしれない、だけど今のお母様では公爵家に迷惑かける未来しか想像できない、それに私とお兄様が今よりも傷付くことになるかもしれないから、私達のために離縁することを決めてくれたんだよね。
「お父様もう良いよ。あの子に何を言っても変わらないですわ。本人に理解する気持ちがないのだから時間の無駄です。私達にはお父様が居るからそれだけで良いです」
私にはお父様とお兄様がいる。
それだけで満足だわ。
お父様は嫌がるお母様に無理やり離縁届と親権放棄にサインを書かせる。
往生際悪く抵抗するお母様とリリヤを、お祖父様とお祖母様が責任持って連れて帰ってくれた。
二人が今後どうなるか知らないけど、後のことはお祖父様達に任せるしかない。
私とお母様達はもう他人なのだから
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