58 / 143
第二章
16
しおりを挟むテイラー伯爵の婚姻申込書が見つかった2日後に、私とお兄様は仕事の手伝いをお休みにしてもらった。
本当なら今日も仕事の手伝いだったのだけど、ユーリ様が入学まで日数が少ないのだから、早くしたほうが良いだろうって私達に気を遣ってくれた。
ユーリ様も人手不足で大変だろうに優し過ぎるわよね。
「レイチェルは学部を変えてくれるでしょうか?」
「どうだろうな。特進クラスから一般クラスなら抵抗するかもしれないけど、一般クラスから特進クラスなら反対しないんじゃないか?」
普通はそうよね?
今なら学部を変えても学園の教師にしか知られることはないから、周りからの反感を買うこともないですし、拒否をする理由はないわよね?
学生の私達が知ってるのは自分が何処のクラスに入るかだけで、同じクラスに誰が居るのかは本人が言わない限り知られることはない。
入学前なのに私達がクラスを知ってるのは、学部によって制服が違うのと、特進クラスは1クラスだけだけど、一般クラスは複数クラスがあり成績で分けられていて、一般クラスは制服はみんな一緒だけど、クラスによってネクタイとリボンに違いが出るらしいのよね。
成績が下のクラスになれば成る程、デザインが地味になるとお兄様から教えられた。
学園で身分制度は低いらしいけど、成績での差別はあるってことよね。
あの学園は優秀な人材を教育することに力を入れてるから仕方ないのかしら?
あの学園に入学するのは、高度な教育を受けて就職に有利にしたいものと、優秀な人材を発掘してスカウトしたい人ばかりだから、分かりやすく区別されてるほうが選ぶ方も楽にはなるわよね。
レイチェルが来るのをボーっと待ってると、ドアがノックされる。
「レイチェル様がお見えになりました。お部屋にお通しして宜しいでしょうか?」
「構わないよ」
お兄様が許可を出すと、レイチェルとメイドが入ってくる。
「イリーナ、セミュン様、おはようございます」
「レイチェルおはよう~」
「朝早くから呼び出してしまい申し訳ありません」
「今日は1日暇でしたので問題ありませんわ。でもお二人は宰相様の手伝いがあるのにもう宜しいのですか?」
レイチェルが畏まってるのを見ると、すごく違和感を感じるわね。
私と2人だけの時は軽い口調だから、急に遠くに感じてしまうわね。
「まだまだ人手不足だから明日からまた手伝いに行く予定です。今日はレイチェル様にお願いしたい事と注意してほしいことがあり、俺とイリーナは休みにしてもらいました」
「私にお願いですか?セミュン様のお願いなら何でも聞きますよ?」
「何でも聞くなんて軽率なこと言ってはいけないよ。そんな事を言ったらどんなお願いをされるか分からないからな」
「セミュン様なら大丈夫ですわ」
レイチェルが自信満々に言うと、お兄様は複雑そうな顔をしていた。
こんなに良い笑顔で断言されたら、お兄様からしたら複雑な気分になるわよね。
信頼されて嬉しいって気持ちと、この期待を裏切らないために下手な事は出来ないってプレッシャーになるはず
こんなに信頼してくれてるレイチェルに手を出せなくなるわよね。
この世界では婚前交渉は禁止されてない。
この世界には避妊具と避妊薬があり、ちゃんと使用すれば妊娠することがないから婚前交渉も許されている。
婚約者が居るものは婚約者以外とするのは基本的には禁止されてますけど、そういう行いを売りにしてるお店などは例外なのよね。
婚前交渉を許されてる理由は色々あるけど、1番の理由は禁止されればされるほど興味を持ってしまうからだ。
性に対して興味を持つ年齢の者たちが学園で集まってるのに、間違いが起きないほうがおかしい。
10代後半なんて禁止されればされるほど興味を持ってしまう年齢だから、反対するより婚約者や恋人なら許可をしたほうが良いって事になった。
この決まりが出来たのは20年前ぐらいだから、あまり良く思ってない人も居るみたいだけど、私には前世の記憶があるからか別にいいと思ってるのよね。
だって婚約者が出来たとして、自分と出来ないからって学園で恋人を作られるより良いわよね。
10代後半なんて男は性教育が始まって、未亡人やそういう職業の女性と練習するようになる。
1度快感を知った男が数回だけで我慢できるわけない、10代の男の頭なんて猿並みなんだからね。
乙女ゲームや小説とかで、婚約者が居るのに学園にいる間だけ恋人作るとか良くあるけど、大体の理由がそういう事だと思うのよね。
737
あなたにおすすめの小説
婚約破棄のあと、あなたのことだけ思い出せない
柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢セシリアは、王宮の舞踏会で王太子レイヴンから公開の場で婚約破棄を言い渡され、その場で倒れた。
目覚めた彼女は、礼儀も常識も覚えているのに――ただ一つ、レイヴンだけを思い出せない。
「あなたは、どなたですか?」
その一言に、彼の瞳は壊れた。
けれどレイヴンは何も語らず、セシリアを遠ざける。彼女を守るために、あの日婚約を捨てたのだと告げられないまま。
セシリアは過去を断ち切り、王宮の侍女として新しい生活を始める。
優しく手を差し伸べる護衛騎士アデルと心を通わせていくほど、レイヴンの胸は嫉妬と後悔で焼けていった。
――守るために捨てたはずなのに。忘れられたまま、他の男に笑う彼女を見ていられない。
一方、王宮では“偽聖女”の陰謀と、セシリアの血に眠る秘密が動き出す。
記憶を取り戻せば、彼女は狙われる。取り戻さなければ、二人は永遠に届かない。
これは、忘れてしまった令嬢と、忘れられてなお愛を捨てられない王太子が、もう一度“選び直す”恋の物語。
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
婚約破棄と暗殺で死んだはずの公爵令嬢ですが、前に出ずに全てを崩壊させます
鷹 綾
恋愛
フォールス・アキュゼーション。お前に全ての罪がある」
王太子フレイム・ファブリケイト・ロイヤル・ロードは、自らの失策を公爵令嬢フォールスに押し付け、婚約を破棄。
さらに証拠隠滅のため、彼女を追放し、暗殺まで差し向ける。
――彼女は、死んだことにされた。
だがフォールスは、生き延びた。
剣も魔法も持たず、復讐に燃えることもない。
選んだのは、前に出ないという生き方。
隣国で身を潜めながら、王弟エクイティ・フェアネス・ロイヤル・ロードのもと、
彼女は“構造の隣”に立つ。
暴かず、裁かず、叫ばない。
ただ、歪んだ仕組みを静かに照らし、
「選ばなかった者たち」を、自ら説明の場へと追い込んでいく。
切れない証人。
使えない駒。
しかし、消すこともできない存在。
これは、力で叩き潰すザマアではない。
沈黙と距離で因果を完成させる、知的で冷静な因果応報の物語。
――前に出ない令嬢が、すべての答えを置いていく。
乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!
ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。
相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。
結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。
現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう…
その時に前世の記憶を取り戻すのだった…
「悪役令嬢の兄の婚約者って…」
なんとも微妙なポジション。
しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜
日々埋没。
ファンタジー
「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」
かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。
その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。
レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。
地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。
「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」
新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。
一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。
やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。
レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる