59 / 143
第二章
17
しおりを挟むレイチェルとお兄様がイチャイチャしてるのを黙ってみてたけど、いつ終わるか分からないから止めることにする。
「そろそろ話を進めてもいいかな?」
レイチェルはここに私が居るのを忘れていたみたいで、一気に顔を真っ赤にして顔を両手で隠す。
お兄様は顔色が全く変わらないけど、何を言ってこないって事は私が居たことに忘れていそうね。
「ごめんなさい。続けて下さい」
「レイチェルが可哀想だからこれ以上はツッコまないわ。レイチェルに来てもらったのは、レイチェルに学部を変えてほしいからなのよ」
「学部を?」
「えぇ、一般クラスから特進クラスに変えてほしいの。今なら学園の生徒には知られる前だから、誰かに何か言われたりはしないと思うわ。レイチェルが頭良いのはこの国でも有名だから、特進クラスに居てもおかしく無いと思いますし」
レイチェルの国の王族は全員が頭が良くて、それぞれの分野で活躍してるってこの国でも有名なのよね。
まだ未成年のレイチェルの話もこの国にまで回ってきていた。
お兄さんの手伝いをしていて、福祉関係に力を入れてると有名だった。
そんな人からお兄様に縁談を申し込まれて、当時の我が家はビックリしていたのよね。
「理由を聞いていいですか?」
「実は私達の従姉妹であるリリヤが私達が通う学園に入学してくるかもしれないの」
「リリヤと言うのは数年前に、この家で色々と好き勝手していた令嬢のことですか?」
レイチェルはリリヤについて詳しいけど、ここにはお兄様も居るからあまり知らない体で聞いてくる。
レイチェルはヒロインであるリリヤに興味津々で、私が前世の姉だと知ってからは根掘り葉掘り聞いてきたから、本当はかなり詳しいのよね。
だけどそれをお兄様は知らないから誤魔化すしかない、お兄様からしたらレイチェルとリリヤには何の関わりもないのだから、色々聞いてきたら不自然に感じるだろうでしょうし、レイチェルの行動は間違っては居ないわよね。
「その者であってるわ。従姉妹とは認めたく無いけど、一応は血縁関係がありますからね。お祖母様達と絶縁して戸籍から完全に抜かれてるみたいですから、表向きは赤の他人になります」
「婚約前にセミュン様から簡単に説明されましたけど、その人って修道院に入れられたんですよね?何故、学園に入って来ると思ってるの?彼女が入ってる修道院は簡単に出たり入ったり出来るところなんですか?」
そうなのよね…………
私もそこが1番疑問に思ってた。
リリヤが乙女ゲームに執着してるのは分かってたけど、お祖母様とお祖父様が問題を起しそうなリリヤ達を修道院に入れた。
お祖母様達が選んだ修道院がそんなに規則が緩いところだとは思えないのだけど?
お祖母様達からは2人が修道院に入ることになったとは聞いてたけど、何処の修道院かは聞かなかったのよね。
「お兄様はあの2人が何処の修道院に入れられたか知ってますか?」
「イリーナは知らなかったのか?2人はレイウィン修道院に入れられた」
本当にレイウィン修道院?
だってあそこはかなり厳しくて、1度入ったら抜けるのがほぼ不可能よね?
修道院に入れられたってことは修道女になったってことだから、あそこの修道女は結婚は許されていないはず
「何かの間違いじゃないですか?他の場所と勘違いしてるんじゃないですか?」
「間違いない。そのことを聞いたときに、お祖父様達は本気で娘と孫を手放すつもりなんだって思ったからな」
レイウィン修道院はこの国でトップ3に入るほど厳しいと有名な修道院だったはず。
修道院は大まかに分けて3種類あると言われている。
1つ目の修道院は孤児院が一緒になっている。こういう修道院には男性も女性もおり、結婚することも許されている。
修道女と修道士が神に仕えてることは変わりないけど、基本的に子供のお世話をしている場所で、修道院に入るのも出るのも簡単で規則が緩い。
2つ目の修道院は入ったり出たり出来るけど規則は厳しい修道院になっている。
男性だけの修道院や女性だけの修道院で、男女が一緒に居ることはない。
結婚することは出来るけど、その場合は通いの準修道女や準修道士になる。
こういう修道院には、ちょっとした問題を起こした貴族が預けられて再教育がされる。
問題を起こしてここに預けられる者は、まだ更生の余地があると判断されたものなのよね。
3つ目の修道院は1度入ったら抜けられないと言われている。規則も厳しくて贅沢は絶対に出来ない。
ここも男性用と女性用の修道院があり、結婚が認められていない。
ここにも問題を起こした貴族が入れられるが、ここに入れられる時には貴族の身分を完全に捨てることになる。
更生出来ないと思われたものや、親族が許すつもりがない場合に入れられるのよね。
リリヤ達が入ったりレイウィン修道院は3つ目の修道院に入るから、修道院から出て結婚するなんて本来なら有り得ないはず。
672
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
婚約破棄された公爵令嬢は冤罪で地下牢へ、前世の記憶を思い出したので、スキル引きこもりを使って王子たちに復讐します!
山田 バルス
ファンタジー
王宮大広間は春の祝宴で黄金色に輝き、各地の貴族たちの笑い声と音楽で満ちていた。しかしその中心で、空気を切り裂くように響いたのは、第1王子アルベルトの声だった。
「ローゼ・フォン・エルンスト! おまえとの婚約は、今日をもって破棄する!」
周囲の視線が一斉にローゼに注がれ、彼女は凍りついた。「……は?」唇からもれる言葉は震え、理解できないまま広間のざわめきが広がっていく。幼い頃から王子の隣で育ち、未来の王妃として教育を受けてきたローゼ――その誇り高き公爵令嬢が、今まさに公開の場で突き放されたのだ。
アルベルトは勝ち誇る笑みを浮かべ、隣に立つ淡いピンク髪の少女ミーアを差し置き、「おれはこの天使を選ぶ」と宣言した。ミーアは目を潤ませ、か細い声で応じる。取り巻きの貴族たちも次々にローゼの罪を指摘し、アーサーやマッスルといった証人が証言を加えることで、非難の声は広間を震わせた。
ローゼは必死に抗う。「わたしは何もしていない……」だが、王子の視線と群衆の圧力の前に言葉は届かない。アルベルトは公然と彼女を罪人扱いし、地下牢への収監を命じる。近衛兵に両腕を拘束され、引きずられるローゼ。広間には王子を讃える喝采と、哀れむ視線だけが残った。
その孤立無援の絶望の中で、ローゼの胸にかすかな光がともる。それは前世の記憶――ブラック企業で心身をすり減らし、引きこもりとなった過去の記憶だった。地下牢という絶望的な空間が、彼女の心に小さな希望を芽生えさせる。
そして――スキル《引きこもり》が発動する兆しを見せた。絶望の牢獄は、ローゼにとって新たな力を得る場となる。《マイルーム》が呼び出され、誰にも侵入されない自分だけの聖域が生まれる。泣き崩れる心に、未来への決意が灯る。ここから、ローゼの再起と逆転の物語が始まるのだった。
【完結】以上をもちまして、終了とさせていただきます
楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。
伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。
そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。
「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」
神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。
「お話はもうよろしいかしら?」
王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。
※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる