【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ

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第四章

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 お父様とお兄様の所に挨拶に来る人が増えたので、私とレイチェルは避難するために飲み物を取りに行くことにした。

「お兄様が恨めしそうな目をしてるわね。こういう時は次期跡取りとして逃げることは出来ないから、お兄様が不憫に感じますわね」

「本当だ。イリーナは後で八つ当たりされるんじゃない?」

「かもしれませんわね。レイチェルには絶対に八つ当たりをしないですから、あの恨みは私に行くでしょうね」

 お兄様は婚約してからずっとレイチェルには紳士ですからね。

「優しいのは嬉しいけど、イリーナとセミュン様のやり取りを見てると、セミュン様は私に壁を作ってる気がして寂しいかな」

 確かに普段のお兄様は意地悪なところもありますし、兄妹だから砕けて話すことも多いから、それを見てたらちょっと寂しくなるかもしれないわね。

 今日みたいなパーティーでは、公爵令息のお面を被って紳士的な青年を演じてるけど、お兄様の素の姿はちょっと俺様で強引な所がありますからね。

 妹である私にも悪戯をしたり、意地悪を言って私の反応を楽しんでる時もある。

 そんなお兄様を私が嫌わないのは、私が本当に困ってたり、悲しんでる時は寄り添って助けてくれるからなのよね。

 お兄様は心を許した相手にしか素を見せない。

 嫌いな相手には辛辣な態度になることもありますけど、それ以外の人には紳士に接している。

 公爵家の息子として、家の恥にならないように過ごすのは当たり前よね。

「お兄様はレイチェルに嫌われたくないんだと思いますわ。紳士的な男性を嫌う人は居ませんから、お兄様は嫌われないように必死なのよ」

 レイチェルとお兄様の婚約は、レイチェル側からの申込みだったけど、レイチェルに初めてあった時にお兄様が一目惚れしたのは間違いない。

 私はお兄様に好きな人が出来て安心したのよね。

 お兄様はちょっと人間不信なところがある。

 私も多少ではあるけど人間不信だから、お兄様の気持ちはよく分かるのよね。

 公爵家って身分があるせいで、私達に近付いてくる人は男女問わず沢山居る。

 媚てくる人や妬んで嫌味を行ってくる人、私が努力をして何かを出来るようになっても、公爵令嬢なんだから出来て当たり前だと思われることが何度もあった。

 努力をしてもその努力を受け入れてもらえない。

 結果だけを求められて、もしも出来なかったりすると、見下されたり残念そうにされることが何度もあった。

 公爵家って身分があるせいで、私自身を見てくれる人は少ない。

 公爵家の子供として失敗は許されない、大した事ない失敗でも大袈裟に吹聴する人が居る。

 私達が失敗することを喜ぶ人達が居る。

 私がまだミハイル様の婚約者候補だった時は、私が王太子妃になれる可能性が1番高いってことで、私を蹴落とすために失敗するように誘導する人もいた。

 失敗が許されないのは私だけではなく、お兄様とお父様も同じだったのよね。

 私の欠点が見つからない事で、私の身内の粗探しをするようになる。

 家族の誰かが問題ある人物だったら、それを理由に私を蹴落とすことが出来るから、私達家族は家から出たら気を抜くことは出来なかった。

 友達だと思ってた人に裏切られる事が何度もあった。

 それはお兄様も同じで1時期は人間不信が酷すぎて、お兄様と私は鬱になりかけたこともあるのよね。

 だからお兄様がレイチェルに一目惚れをした時に、私は心の底から安心したのよね。

 たぶんお兄様は私よりも人間不信が重症だと思うから、そんなお兄様が好きな人が出来て、心の底から私は嬉しかった。

 お兄様は人を好きになれないかもって不安だった。

 お兄様も悩んでいたことを知っていた。

 学園で年頃の男女が集まってたら、当たり前に恋愛に発展したりする。

 好きな人が出来たりするのは年齢を考えたら当たり前なのに、お兄様は全く好きな人が出来なかった。

 異性として意識することもなかったみたいで、当時のお兄様は本気で悩んでたのよね。

 でもお兄様の気持ちは分かるのよね。

 私も学園に通うようになって、今までより沢山の人と関わる機会が増えた。

 だから色んな人と関わるようになって感じることもあるのよね。

 私に近付いてくる人たちは、私の身分やお金が目的な人が多い。

 男性が相手でもそうなのだから、女性が相手なら余計によね。

 今は女性でも働ける場所は徐々に増えては来てるけど、古い考えの貴族などは女性が働くのに否定的な人が多い。

 そうなるとお金を直接稼いだり出来ない女性は、結婚相手に稼いでもらう必要がある。

 良い暮らしをするためには、地位がありお金を持ってる男性を選ぶのが当たり前になる。

 今のこの国では仕方ないことだから、当時のお兄様は家ではなく自分を見てくれる相手を諦めていたのよね。

 諦めてるお兄様に何か言ってあげたくても、当時の私は何も言えなかった。

 だっていつか好きな人が現れるとか、お兄様自身を見てくれる人が現れるなんて、確信のないことは言えない。

 公爵家に生まれ私達には、純粋に私達を見てくれる人を探すのは難しい。

 誰かを異性として好きになれなくても、結婚して子供を作ることは出来るから跡取りとしては問題ないのよね。

 でも結婚相手が心の支えになるかは分からない。

 貴族の当主は孤独を感じることが多い、だからこそ愛人を作ったりして心の支えにしたりする。

 結婚相手が心の支えになる人物なのが一番いいけど、例え愛人だったとしても居ないよりはいい。

 ずっとお兄様が心配だったけど、今のお兄様にはレイチェルが居る。

 もう大丈夫よね?
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