【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ

文字の大きさ
118 / 143
第五章

しおりを挟む

 禁書を調べてから1週間が経った。

 全く進展してない。

 進展してないって言うより、躓いてしまってるのよね。

 まさか禁書の9割が古代語なんて思ってもいなかった。

 普通にの読めるものは、そんなに大昔に書かれたものではないみたいで、魔法について書いてるものはなかった。

 大抵は王家や大貴族のゴシップで、王家や大貴族が抹殺していであろう内容が書いてるだけで、今回調べてるもので役立つものはなかったのよね。

 禁書にするぐらいなら破棄すれば良いのに、何でここに残ってるのかしら?

 全く思ったように進まず、頭を抱えて唸っていると、こちらに誰かが近付いてくる。

 ユーリ様はここは立ち入り禁止にするって言ってたのに誰かしら?

「大丈夫かい?苦しそうな声が聞こえていたが?」

「ユーリ様!?どうしたんですか?仕事中ではないのですか?」

「休憩するからイリーナ嬢も誘いに来たんだよ。サフィナ公爵から聞いてるよ。まともに食事も取らずに調べ続けてるんだって?そんなんでは調べ終わる前に君の体が限界になってしまうよ」

「ごめんなさい。良い結果が出なくて焦っておりました」

「そんなに簡単に見つかったら、今までの研究者たちが泣いてしまうよ。それで何に躓いてるんだい?」

 そうよね。

 私と違って人生をかけて魔法について調べてる人も居るはず、そんな人達が苦労してるものを簡単に見つけられるわけ無いわよね。

「古代語で苦労してるんです。他国の言葉ならある程度何とかなる自信はありましたけど、流石に古代語を学ぶ機会はありませんでしたから」

「古代語か…………、流石に古代語は私も詳しくないな。知り合いにも居ないから助けてあげられなくて済まない」

「古代語なんて専門職をしてる人しか無理ですから、ユーリ様は何も悪くありませんわ」

「そうなんだけど、知り合いに調べてるものが居たら良かったんだけど、考古学者などなら個人で辞書とか作ってる可能性はあるが、流石に知り合いには居ないんですよね」

 考古学者か………

 テイラー伯爵令嬢の亡くなったご両親がそうだったのよね。

 あまり良い印象ではない人たちだったけど、その方たちの遺品の中にあったのかしら?

 もしも残ってたとしても、テイラー伯爵令嬢が所有してるだろうから借りれるわけ無いわよね。

「今は気分転換に食事に行こう。焦る気持ちはあるだろうけど、気分転換は必要だよ」

「そうですね。あっ、そうでしたわ!!ユーリ様にお礼が言いたかったんです」

「私にお礼かい?」

「ユーリ様がこの魔導具を用意してくれたお陰で、禁書を安全に調べることが出来てます」

 調べ始めてまだ1週間しか経ってないのに、死にかけたことが50回以上あるのよね。

 これがなかった絶対に死んでた気がする。

 古代語で書かれてる禁書の半分以上に、何かしらの魔法がかけられてるみたいで、本を開くと何かの魔法が飛んでくる。

 すぐに腕輪の魔導具に吸収されるから、何の魔法がかかってるのか分からないけど、絶対にイタズラとかの魔法ではないはず。

「役に立ってるなら良かった。ちょっと見せてくれるかな?」

 ユーリ様は私の手を取り、腕輪と指輪の魔導具を確認する。

「どうしたんですか?」

「まだ魔石が使えるのか確認してるんだよ。問題なさそうだね。魔石は蓄積してる魔力が多いと透明度が高いけど、魔力量が少なくなると黒くなってくるから気を付けて欲しい。後で予備の魔石を持ってくるから、ちょっとでも色が濃くなったら変えて欲しい。黒くなる前に変えて欲しい」

「でも魔石は貴重なものですよね?黒くなってから変えたほうが良いんじゃないですか?」

 魔石は宝石より高級で貴重な物だから、気軽に変えたりするのに抵抗がある。

 魔石は透明に近ければ近いほど値段が釣り上がる。

 完全に透明なものはそれ1つだけで、侯爵家が国から支給される1年分の運営費と同じぐらいの金額になる。

「それでは駄目だよ。攻撃を防いでる間に魔力が無くなったら、そのままイリーナ嬢に攻撃が行ってしまう、だから絶対に魔導具に付いてる魔石を確認してから、禁書を開くようにして」

「わかりました」

 自分の身を守るためには、気を抜いては駄目ってことね。

 どんな魔法が飛んでくるかわからないから、確かに気をつけないといけないわね。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄のあと、あなたのことだけ思い出せない

柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢セシリアは、王宮の舞踏会で王太子レイヴンから公開の場で婚約破棄を言い渡され、その場で倒れた。 目覚めた彼女は、礼儀も常識も覚えているのに――ただ一つ、レイヴンだけを思い出せない。 「あなたは、どなたですか?」 その一言に、彼の瞳は壊れた。 けれどレイヴンは何も語らず、セシリアを遠ざける。彼女を守るために、あの日婚約を捨てたのだと告げられないまま。 セシリアは過去を断ち切り、王宮の侍女として新しい生活を始める。 優しく手を差し伸べる護衛騎士アデルと心を通わせていくほど、レイヴンの胸は嫉妬と後悔で焼けていった。 ――守るために捨てたはずなのに。忘れられたまま、他の男に笑う彼女を見ていられない。 一方、王宮では“偽聖女”の陰謀と、セシリアの血に眠る秘密が動き出す。 記憶を取り戻せば、彼女は狙われる。取り戻さなければ、二人は永遠に届かない。 これは、忘れてしまった令嬢と、忘れられてなお愛を捨てられない王太子が、もう一度“選び直す”恋の物語。

近すぎて見えない物

あんど もあ
ファンタジー
エルリック王子と一夜を共にした男爵令嬢。エルリックの婚約者シルビアが、優しく彼女に言った一言とは。

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!

ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。 相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。 結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。 現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう… その時に前世の記憶を取り戻すのだった… 「悪役令嬢の兄の婚約者って…」 なんとも微妙なポジション。 しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

【完結】記憶にありませんが、責任は取りましょう

楽歩
恋愛
階段から落ちて三日後、アイラは目を覚ました。そして、自分の人生から十年分の記憶が消えていることを知らされる。 目の前で知らない男が号泣し、知らない子どもが「お母様!」としがみついてくる。 「状況を確認いたします。あなたは伯爵、こちらは私たちの息子。なお、私たちはまだ正式な夫婦ではない、という理解でよろしいですね?」 さらに残されていたのは鍵付き箱いっぱいの十年分の日記帳。中身は、乙女ゲームに転生したと信じ、攻略対象を順位付けして暴走していた“過去のアイラ”の黒歴史だった。 アイラは一冊の日記を最後の一行まで読み終えると、無言で日記を暖炉へ投げ入れる。 「これは、焼却処分が妥当ですわね」 だいぶ騒がしい人生の再スタートが今、始まる。

処理中です...