【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ

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第五章


 お父様とユーリ様は必死に私を止めようとするけど、私は頑なに意見を変えようとしないのを見て、ユーリ様は深くため息をつく

 ユーリ様に呆れられてしまったかしら?

 でもテイラー令嬢をこのまま好き勝手にはさせられない。

 次に狙うのはお兄様やお父様かもしれない、もしかしたらユーリ様って可能性だってある。

 テイラー令嬢は私を何故か目の敵にしてるから、私の婚約者であるユーリ様を虜にして、私を絶望させるために、ユーリ様を狙う可能性があると思うのよね。

 今はユーリ様に近づく機会がないから、何も行動を起こしてないけど、ミハイル様と王妃様を利用したら、ユーリ様に会う理由なんて幾らでも作れるわよね。

 私がテイラー令嬢の行動について考え込んでいると、ユーリ様がいきなり立ち上がる。

「ユーリ様?」

「ちょっと待っててください。すぐに戻ってきます」

 そう言ってユーリ様は足速に部屋から出て行った。

 どうしたんだろ?

「どうしたのでしょうか?」

「何か考えがあるんだろう。ユーリは考えなしに行動はしないからな。イリーナにもユーリのそう言うところを見習って欲しいんだが」

 何時もなら私の行動を全肯定してくれるお父様から、厳しい言葉が飛んでくる。

 言い方はとても優しいけど、自覚があるせいで胸が痛い。

 暫くしてユーリ様が戻ってきて、ユーリ様は何か大切そうに箱を持っている。

「待たせたね。本当ならイリーナ嬢が禁書を調べるのを止めたいけど、君は昔っから頑固で一度決めたら、中々意見を変えないことはサフィナ公爵から聞いてるからね」

 ユーリ様の言葉に恥ずかしさで顔が赤くなる。

 お父様はなんて話をユーリ様にしてますの!?

 お父様を思わず睨みつけると、お父様は涼しい顔をして、こちらを一切見ようとしない。

 ユーリ様は一瞬クスッと笑ってから、箱からネックレスと指輪と腕輪を取り出す。

「これは何ですか?」

「これは呪いや攻撃から身を守ってくれる魔導具だよ。宝物庫にはこのような魔導具が沢山あるから持ってきた。禁書を調べるならこれを絶対に身につけるって約束してください」

「なっ!?持ってきたって……、それって絶対に大問題ですわよね!?持ち出したユーリ様も怒られますし、それを使ったら私も怒られますよね!?」

 怒られるだけならまだ良い方で、もしかしたら罰せられることだってあり得るはず。

 なんてとんでもない物を持ち出してきますの!?

「ユーリ………」

「魔導具ですから使ってなんぼですよ。これを使って身を守れるなら、進んで使うべきでしょ?出し惜しみするときではありませんよ」

 なんだろう………

 正論なんだろうけど納得出来ない。

「流石にそれは駄目じゃないか?陛下の許可が無いのに勝手に持ち出したら、後でバレた時に大問題になるぞ。イリーナだって責められてしまう」

「ちょっと借りるだけだから問題ないよ。国宝を売るわけじゃないし、国の為に危険な調べ物をしてくれるイリーナ嬢に貸すのだから、事後報告になっても兄上なら許してくれるさ。何も分かってない今の状態では、何も説明できないからね」

 そうなんだけど………、

 不安しか無いわ。

 ユーリ様ってこういう性格だったのね。

 勝手なイメージだけど、真面目で曲がったことが嫌いで、絶対に不正とか誤魔化しはしない人だと思ってたわ。

 私情とか持ち込まないタイプだと思ってた。

 私の身を心配して、犯罪行為スレスレの行為をしてまで、私の身の安全を優先してくれるのは、嬉しい気持ちもあるけど、ユーリ様にこんな事をさせてしまったって申し訳なさの方が勝つわね。

「そんな辛そうな顔をしないでください。例え兄上に怒られたとしても、イリーナ嬢の安全の方が大事ですから、私の我が儘に付き合ってください」

 …………絶対に何か手掛かりを見つけるわ。

 この事がバレた時に、ユーリ様の行動が間違いじゃなかったって証明できるようにする。

「頑張りますわ!!この国の未来もユーリ様も絶対に守ってみせます!!」

「無理はしないでくれよ。私はイリーナ嬢が危険な目に遭うのは、何よりも辛いって思ってることを知っていて欲しい。危険なことをする前に絶対に相談して欲しい。些細なことでも良いから」

「はい!!」

 ユーリ様の期待に応えてみせるわ。

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