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第五章
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しおりを挟むお兄様とレイチェルがお互いに照れくさそうに呼び合ってるのを横目で見ながら、私は魔導具で調べられてる人達をみる。
魅了に掛かってる人達は居るけど、この中には重症者は居ないみたいね。
長期間魔法をかけられた人は、魔導具を触った瞬間倒れてしまう。
人が大勢いる会場内で魔導具を使うってなった時に、もしも急に倒れる人が現れたら混乱するんじゃないかってなり、個室でやるって案もあったのだけど、個室でやるのは何をしてるのか分からず、不安を倍増するってことで没になった。
テイラー伯爵が無事だったことで大丈夫じゃないかって、陛下やユーリ様は判断したのよね。
テイラー伯爵よりも長い期間魔法に掛かってるものは、ほぼ居ないんじゃないかって判断されたのよね。
でもテイラー伯爵より後に魔法を掛けられたはずのミハイル様が廃人になってしまったから、絶対ではないから心配だったのよね。
テイラー伯爵令嬢はいまだに罪を認めてないから、まだまだ分かってないことが多い。
魅了魔法の威力をテイラー伯爵令嬢が調整できるんじゃないかって判断になり、ミハイル様みたいに狙ってる相手が居たのなら、高威力の魅了を掛けただろうから、廃人になる者が現れる可能性がまだある。
学園で彼女の様子を見てたレイチェルの話では、特定の誰かに執着してる様子はなかったって話だけど、全て終わるまで油断は出来ないわよね。
陛下とユーリ様も警戒していて、お二人の後ろには何があっても対処できそうな騎士が待機している。
「無事に終わりそうだな」
お兄様が私の頭を撫でながら、安心したように言う。
「本当に良かったです。もしも何かあったら、陛下とユーリ様が1番危険ですから」
「あの2人は頑固だからな。俺や父上や家臣たちが魔導具で確認するのは、他の人に任せてくれって言っても、絶対にこれだけは譲らなかったからな」
そうなのよね。
最後までこれは揉めていた。
もしも2人同時に何かあったら、皆が困ることになるって言ったのに、決して二人共下がろうとしなかった。
「あっ、終わったみたいですね。魔導具が壊れずに最後まで調べられて良かった。途中で壊れたら騒動になりそうですからね」
「そうだな。明日からは王都に住んでる平民達を対象に調べるんだよな」
「教会に任せると聞いてますわ。明日から同時進行で、テイラー伯爵令嬢への尋問が本格的に始まるみたいですね。今までは今日の事があったので、テイラー伯爵令嬢に人員が避けなかったみたいですから」
テイラー伯爵令嬢を牢屋に入れてるから、これ以上被害者が増えないってことで急いで尋問する必要がなかった。
現在、魅了魔法にかかってる人たちを救うことを優先してたのよね。
「尋問が進んだら、セミュン………様とイリーナとイワンおじ様が魅了に掛からなかった理由が分かるのかな?」
すぐにはお兄様を呼び捨てには出来ないみたいね。
見ていて面白いから私は良いですけど
「本格的に調査が始まったら、1週間以内に分かると思いますわ」
「そんなに早く?だって今もずっと黙秘を貫いてるんでしょ?」
「今は新人が取り調べをしてるみたいだから、成果が出るのは期待してないと思う。パーティーが終わるまでの練習台にちょうど良かったんだろ。相手は抵抗の力が弱い女だから危険もない。加減がわからず亡くなったとしても、処刑が決まってるから問題ない」
確かにそう考えると、練習台にちょうど良いかもしれませんね。
相手が10代の女なら、相手がどんな相手でも犯罪者相手に非道になれるかのテストになるでしょうしね。
犯罪者を取り締まる人は、相手の容姿に惑わされてはいけない。
ちょっとした油断が沢山の人の命に関わる。
「予定通り今日はこのまま解散みたいですわね」
「そうみたいだな。これからが大変だろうな。まだミカエル殿下の婚約者候補に残ってる人達は、ミカエル殿下がもう王位を継げないって言われても、簡単には納得しないだろうな」
「そうですわね。純粋にミカエル様が好きで残ってた人は、今回のことを文句は言わないでしょうけど、王太子妃の地位を狙ってた家は諦められないでしょうから」
ブルーム侯爵家も諦めないでしょうね。
パトリシア様はミカエル様を好きだったから残っていたけど、王太子妃にはそこまで興味がなさそうだったけど、ブルーム侯爵は娘の気持ちを利用してる部分がある。
娘の気持ちを無視してるわけではないから今までは問題なかったけど、これからはどうなるかわからないわよね。
ブルーム侯爵がユーリ様を狙ってくるかもしれない。
パトリシア様がユーリ様をどう思うかは分からないけど、もしも狙ってきたら面倒臭いのよね。
あの子って陰湿だから、細々とした嫌がらせが多い。
「巻き込まれる前に帰るか」
「そうですわね。今はまだミカエル様が病で回復の見込みがないってことで混乱してるけど、すぐにユーリ様を狙う人達が私に突っかかって来るかもしれませんからね」
その可能性がかなり高いですからね。
「そんなに警戒すつ必要あるの?イリーナはもう婚約者だから、イリーナを蹴落とそうとする人なんて居ないでしょ?サフィナ公爵家を敵に回すようなことする?王族なら側室だってなれるからそれを狙うんじゃないの?」
レイチェルの国ではそうかもしれないわね。
「先代までならそれもあり得ただろうな。だけど今の王家は側室制度にあまり肯定的ではないんだよ」
「そうなの?」
「ユーリ様と陛下のお父上が亡くなるまで、年若くて見た目の良い女性を無理やり側室にしてたんだよ。相手に婚約者や恋人が居ても強行してたの」
私達の世代では知らない人も居るけどね、ちょっと上の世代になると有名な話なのよね。
13歳で無理やり側室にされた女性もいる。
娘を持った親は恐怖だったでしょうね。
いつ無理やり娘を奪われるかわからない。
本人たちだって老人の側室になりたくない。
王族の一員になれるって言われても、いつ飽きられるかわからないですし、結婚するなら同世代が良いわよね。
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