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第五章
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自分達が病気に掛かってるかもしれないと知った人達は、我先にと魔導具に触りに行く。
王妃様が魔導具を使ったときには気が付かなかったけど、魔導具が魅了魔法に反応するときに、魔導具についてる魔石が光ることが、複数人で試していたときに気が付いた。
今も数人が反応している。
「結構な数が魅了されていたんだな。一家揃って魅了されてる家が多いな」
「そうですね。テイラー伯爵令嬢を家に招いたってことじゃないかしら?一家揃って魅了されていた家には、優先して使用人たちも調べる必要があるでしょうね」
魅了されてるものがいる家は、その家族全員が魅了されてる可能性があるって予想してたけど、嫌な方に予想があたってしまったみたいね。
「陛下は魅了されていた者たちに説明するのでしょうか?この中に都合よく貢がされていた人も居ますわよね?魅了から解けたのなら疑問に感じますわよね?」
「王妃様のお陰で、魅了されてる間の記憶が残ってることがわかってるから、貢いでいたものは疑問に思うだろうな。あの女に貢ぐほどの魅力は本来なら全くないからな」
彼女に魅力がないのは確かかもしれないけど、お兄様は嫌いすぎじゃないかしら?
お兄様って初対面のときから、あの子のことを嫌ってたわよね?
私は彼女から初対面のときから、敵対視を向けられてたから好きにはなれなかった。
だけどお兄様やお父様は、彼女から好意しか向けられてなかったわよね?
「ずっと気になっていたんだけど、セミュン様は何でそこまであの方のことを嫌ってるの?最終的にあの方のしてたことを考えたら毛嫌いするのは分かるけど、何をしてるのか知る前からかなり嫌ってるよね?」
レイチェルも同じことを思ってたんだ。
前世でだけど約20年間一緒に暮らしてたから、私達は思考が似てるのかしら?
「俺は卑怯なことをする人が嫌いなんですよ。1番の理由はあいつが妹に嫌がらせや迷惑をかけていたからかな?レイチェル様にも兄や姉が居るからわかるんじゃないですか?自分の家族を傷付ける相手は許せないだけですよ」
お兄様って普段は私を弄ることが多いから、ウザいって思うことが多いけど、こうやって大切にしてくれるから嫌いになれないのよね。
どちらかと言うと私はブラコンな気がする。
「その気持ちわかります。私もお兄様やお姉様に攻撃する人が居たら許せません。お兄様は私が何もしなくても、10倍にして返しそうですけど、お姉様は優しい人だから私が仕返しする気がする」
レイチェルはこの世界でもシスコンなのね。
あまり兄弟の話を聞かないから知らなかったわ。
レイチェルが家族の話をしないのは、私に気を遣ってるからかしら?
確かに家族の話をされたら、前世では私の妹だったのにって寂しく感じるかもしれないけど、家族と仲良くしてるならそれが1番だと思うのよね。
レイチェルは私が今の家族と仲良くしてるのを知ってるんだから、そんなに気を遣わなくて良いのに、逆に申し訳なくなるわ。
「ずっと気になってたんですけど、お兄様はいつまでレイチェルの事を様付けで呼ぶつもりですか?そろそろ呼び捨てにしてもいいと思うんですけど?レイチェルだってその方が良いですわよね?」
だいぶ前にレイチェルから悩みとして聞いてたから、良い機会だからお兄様に提案してみる。
私達3人はもう魔導具で確認済みだから、やることがなく暇だから、お兄様達の関係を進めるのにいい機会かもしれない。
切羽詰まってる人達からしたら、不謹慎かもしれないけど私達を気にしてる人達なんて居ないものね。
「私もレイチェルって呼んでもらえたら嬉しいかも。レイチェル様って呼ばれると、セミュン様に距離を置かれてる感じがして寂しいです」
「いやいやいや!?レイチェル様が俺のことを様付けで呼んでるのに、俺だけ呼び捨てなんて出来ないから!!レイチェル様は王女様なんだぞ」
「馬鹿なの?確かにレイチェルは王女様かもしれないけど、お兄様の婚約者でしょ?婚約者に距離を置かれたら寂しいに決まってるじゃない。レイチェルはこの国に来るまでは、周りから王族ってことで距離を置かれることが多かったから、悲しい気持ちを何度もしてたんだよ?お兄様がその人達と同じ対応をしてどうするのよ」
お兄様の鈍感さにイラッときて、遠慮なく思ってることをぶつける。
レイチェルと今世でも姉妹になれそうなのに、お兄様のせいで姉妹になれなかったら恨むわ。
「なんか婚約者の俺より、イリーナとの方が仲良すぎないか?レイチェル様が悩んでることも初めて知ったし、向こうでの生活に悩んでたなんて知らなかった。生まれたときからあの生活だろうから、何も気にしてなかったと思ってたんだけど」
確かに純粋にあの生活だけをしてたら気にならなかったかもしれない、だけどレイチェルには前世の記憶があるし、小さい頃なら悩みがあれば親に相談できるけど、思春期になったら友達に相談するようになるのに、その相談が出来る友達が居なかったら辛いよね。
「お兄様は鈍感すぎ。誰だって相手から距離を置かれたら寂しいでしょ。お兄様だって分かるんじゃない?学園に通ってることに公爵家の息子だからって、気を遣われたりしたことぐらいあるでしょ?育った環境なんて関係ないわ」
私だって何度もあるもの。
学園だけではなく、お茶会とかでも同じような対応をされる。
「そうだな。済みませんでした。俺の身勝手な決めつけで、レイチェル様を傷つけてたよな?」
「そんな!!セミュン様は悪くないよ。私が自分の意見を言わなかったから悪いの。言われないと分からないのに、勇気がなかったの」
「焦れったい。お互いに呼び捨てにして、この話は終わりにしたら良いんじゃないですか?お兄様はレイって呼んだらいいんじゃない?レイチェルはセミュンって呼んだらどうかしら?」
私も婚約者を呼び捨てに出来てないけど、私達はまだ婚約者になった期間が短いからってことで見逃して貰おう。
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