とある虐げられた侯爵令嬢の華麗なる後ろ楯~拾い人したら溺愛された件

紅位碧子 kurenaiaoko

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馬車

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 眼福さんことレイに商会を設立する話をしたら、俺も商会を運営しているから手伝うよ、と心強い申し出をもらってしまった。

 おそらくレイは言わないけど、かなり良いとこの人間で、大きな商会を抱えているんだと思う。

 でも、何から何まで初めての私にとってはとても嬉しい申し出だった。
(レイもまだここにいてくれるし、嬉しいなあ。あ、私いつの間にか、レイって呼び捨てだった……。うふふ)

 商会の助っ人もしてもらえて、眼福も拝めるなんて……!幸せの極みだー!

 レイが来てからもうすぐ3ヶ月になる。私の休みが少ないから実際に会ったのは数回だけど。

 今日のお休みはレイと領地にある孤児院の訪問にいく。なぜかと言えば、すばり商会の人材確保のため。

 どんな人材が商会に必要かずっと考えていて、先月レイに話をした。

 私がいま欲しい人材は四人。

 私の替わりに表の代表になる人材。(私が正式に侯爵になれば、商会を任せる人間)

 あとは、財務や資金繰りが出来る人材。

 それと、裏の仕事が出来る人材(情報拾ったりとかね!)

 最後は、私の護衛兼秘書

 という感じになった。

 何か商品を作るなら領内で探せばよいし、商会のメインメンバーとして、家族以上に信頼できる人を考えていた。

 そこで思い出したのが昔、慈善活動で訪れた領内の孤児院。そこにとても賢い少年がいたことを思い出した。

(あれから結構経ってるからいるかどうかも分からないけど)

 直接会って話をしたくなったのだ。

 その話をしたらレイが同行してくれることになった。まさかのレイとデートっ!(私が個人的にそう思ってるだけだけど……)

 辻馬車をダニエルが手配してくれたので、車内はまさかの二人っきり。

(わーっ!嬉しいなあ!)

 レイと二人きりなんて、贅沢すぎるっ……!
 
本来の目的を忘れそうになったけど、向かい側に座る眼福さんをチラチラ見ることにする。

 レイは元々なのか?居候だからか?は分からないけど、普段は滅多に自分から話をしない。もしかしたら、余計な話をしたくないのかも、なんだけど。
 だから、今日も私がひたす話かけるのみ!

「その男の子、当事で12才くらいだったと思うんですけど、レイと同じ黒髪黒目で、一見するとすごいクールというか、冷たい印象だったんですよー」

 ひたすら話私に、時々申し訳なさそうに相槌している眼福さん。

「で、当事は父と一緒に行ったんですけど、あ、まだその時は継母はいなくて。父が何か用事をしている間に案内してくれたのがその子で。話をしてたら、かなり博識で、頭いいなーって思って。どこかの貴族に捨てられたといってたから、教養があるのかなあ?」

 名前も分からないし、まだ孤児院にいてくれたらいいいなあーー。

「あ、私一人で話をし過ぎましたね。煩くてすみません……」

 相変わらず無口な眼福さんの存在に居たたまれなくなってきたよ……。

(普段、あんまり話出来ないから調子に乗ってしまったかなあ?それに、全然淑女らしくないよね……)

 別段、レイと恋人でも婚約者でもないのに……。
 気にする必要すらないのに、少しでもレイに良く思われたくていろいろ考えてしまう。

 ダニエルによると、レイは時々一人で外出しているらしい。レイの身辺調査をお願いはしたけど、結局取り下げた。いま一緒にいてくれるだけで充分し、レイの本当の姿を知るのが怖かったから。

 レイが来てから別宅も活気づいた。

 レイにアドバイスをもらいながら、商会設立に向けて書類の準備も始めた。どうしても登録に人が必要だから、今日は何とか勧誘を成功させないと!

 今日の服装も迷いに迷い、次期侯爵風ではなく、町娘風に決めた。私は、地位とか財産とかではなく、人として向き合ってくれる人と一緒にいたかった。だから、鎧は外してきた。

「……大丈夫だよ、一人じゃない」

 あんなに長い沈黙の後に投げかけられた言葉は、私にすんなりと染み込んでいく。

 ……そんなに優しくしないで?勘違いしそうだから。

 ふがいない私の頬は、少し赤く染まっていた。
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