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孤児院

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結論から言うと私の心配は杞憂だった!
 ブラボー!

 一度しか会ったことのない少年オスカーは、快諾してくれた。レイ同様の黒目黒髪に、やはりかなりの長身の素敵な青年に成長していた。
(こっちにも眼福がいたなんてっ!幸せー!)

 18才になっていて孤児院を出るか迷っていたタイミングだったことと、自分が商会のトップとして振る舞え、やりがいを感じてくれたことが大きかった。

 町娘スタイルも効果あったかな?と一人突っ込みを入れてみる。

 まずは、これから商会を設立すること。表向きのトップになってもらうこと。そして、最初に取りかかるのはエンターテイメントの世界にしたいことを話した。

「つまり、ボス?あなたが書いた脚本を元に演劇をしたいと? 孤児院で人をスカウトし、孤児院で行う。それと、劇中の衣装や小物などは販売する。その他に版権が欲しければ契約して売買すると?」

「ええ、その通り。孤児院は場所を貸すから収入になるし、子供たちの稼ぎになる。衣装や小物は今はレイの商会経由で仕入れるつもりだけど、今後はオリジナルにしていくつもりよ。領地内の特産品を加工販売したり、マルシェ的にすれば孤児院への集客になるし。このビジネスモデルを販売して権利収益も得られるし、翻訳すれば他国に展開も出来るし」

 私は頭の中に描いていた内容をまとめながら話をした。レイとオスカーは真剣に聞いてくれている。

「あ、別に他にやりたいことがあれば是非計画して?皆で相談しながらやりましょう。で、この案はどうかなあ?意見が欲しいのだけど」

 二人とも無口なのはさすがに困る。
(無口なとこまで、この二人はそっくりなの?!)

 まるで兄弟のような二人。

「なかなか面白いと思うよ。王都のオペラや観劇は少し敷居も高いからな。それに、孤児院でやると慈善活動的なイメージもついてくるから、お貴族様にも受けがいいかも知れないな。ボス?」

「ちょっと、レイ!ボスはやめて!」

 二人はニヤニヤ笑いながら私を見ている。

「じゃあ、何と呼べば?人前でリリアーヌ嬢の名前を出すのはまずいだろう?」
 確かにその通りだった。

「……それなら、ミスボスにして?」

 二人は吹き出すのを堪えながら頷いた。

「……ミスボス!なるほど。納得だ。どうせなら商会名もミスボスにするか?」

 レイの提案に、オスカーも満更ではないのか少し考えてからそれもいいかも、私に告げた。

「あとはリリアーヌ嬢次第だが」

 ……ミスボス商会?
 何だか自分が未婚だって宣言してるみたいでちょっと恥ずかしいけど。
 ふふふ。何か遊び心があるかも?

「じゃあ、ミスボスにしましょう!」
 
私は満面の笑みで決断した。
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