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商会設立
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朝起きると、公爵家の別荘にいることをようやく思い出した。
(ベッドがふかふか過ぎるしね……!)
公爵家の侍女たちは本当に可愛し、優秀!
侯爵家とは雲泥の差。
(まあ、メイドしてる私が言うのもあれだけど……)
気が付いたら、侍女が着替えと朝食の準備をしてくれている。ちらっとみたところ、私の大好きなスコーンやマフィンとサラダや卵などが用意されていた。
「おはようございます。リリアーヌ様。アルフォンス様はお仕事のために既に出発されております。手紙を預かっておりますので、こちらに置かせて頂きます」
「……ありがとう」
早速手紙を開くと、几帳面な文字が飛び込んできた。
『親愛なるリリー
おはよう。
これからミスボス商会の設立の手続きをしてくるよ。
そして、お誕生日おめでとう。
俺と未来を共に歩むことを決めてくれてありがとう。
絶対に幸せになろう。
愛してるよ、リリー。
追記
昼までには戻るから、出かける準備をして待っていて欲しい。
孤児院の初日、楽しみだな。
レイ』
レイからの初めての手紙は、見ているだけで気持ちが明るくなった。
そっと手紙を綴じて誰にも見られないように折りたたむ。
手紙を読む私の表情を見て、侍女からはお食事の後はお支度、張り切りましょうと声をかけられる。
(……すべてお見通しか?!)
「あーん、美味しいっ!幸せ……!」
大好きなプレーンのスコーンに、たっぷりのクロテッドクリームを塗り、至福のひと時を過ごす。
焼きたてなんてなんと贅沢……。
(サラダのドレッシングも美味しい!シンプルなオイルベースが好きだからたくさん食べられそう……!)
普段の使用人レベルのご飯は、不味くはないが贅沢でもない。もちろん、温かいなんてこともほぼない。
「そんなに喜んでいただけると、シェフも喜びます」
侍女が微笑ましそうに私の食べっぷりを見つめていた。
「……ごめんなさい。淑女らしくなくて……」
「とんでもございません。こちらの公爵家に務めさせていただき長いのですが、アルフォンス様があんなにも楽しそうにされているのを初めて拝見致しました。失礼ながらどんな方なんだろうと思っていたのですが、とても素敵な方で安心致しました。こちらのマフィンも本日、シェフおすすめだそうですよ。いかがでしょう」
「……ありがとう。とても美味しそうね。でも、後で頂くわ」
侍女おすすめのブルーベリーが入ったマフィンもとても魅力的だったが、普段あまり食べないせいかお腹がほぼ一杯になってしまっていた。
「かしこまりました。では、一旦お食事を下げさせて頂きます。アルフォンス様のお戻りに合わせてお支度に参りますのでしばらくお寛ぎください」
テキパキと片付けを終えた侍女は部屋を早々に出て行った。時計を見るとすでに10時を過ぎている。
(……でもあんまりのんびりしていられない時間だ……)
そうこうしていると、先ほどのテキパキ侍女が今日のドレスを持って現れた。
「リリアーヌ様。アルフォンス様より、本日は街に行かれるそうで、町娘スタイルをと仰せつかっております」
(さすが、レイ!)
「……ありがとう。それで大丈夫よ」
いつもの私スタイルの町娘の衣装と違って、どことなく品のある造りのすみれ色のワンピースだった。
「髪型も髪を下して、少し巻く程度に致しましょう。メイクもシンプルにさせて頂きます」
私は久しぶりの貴族令嬢のもてなしに落ち着かないやら、慣れたいやらで不思議な感覚に陥っていた。ともあれ、あと数年してレイと結婚したら今度は侯爵になるのだ。
(やっぱり、慣れておかないとね……)
使用人気質がいつの間にか根付いてしまった私は、どう修正していくか考えあぐねていた。
ぼーっと考え事をしていると、テキパキ侍女のおかげですべて支度が完了していた。
「リリアーヌ様、そろそろアルフォンス様が到着されます。お出迎えに行かれますか」
「もちろん、出迎えさせて頂きますわ」
私は未来の妻として、笑顔で答えた。
◇◇◇
「ただいま、戻った」
「お帰りなさい、レイ」
レイの表情がどことなく明るい。上手くいったのだろう。
「無事、ミスボス商会は無事に設立することが出来た」
「ありがとう!あとで、オスカーにも感謝しなくちゃね」
「ああ、そうだな」
「支度は出来ているようだね。ちょっと着替えてくるから少しだけ待っていてくれ」
そういうとレイは自室に向かった。
玄関に取り残された私は先ほどの客室に戻ろうかと思っていたら、ローナンに声を掛けられた。
「リリアーヌ様、初めてご挨拶させて頂きます。ローナンと申します。アルフォンス様の執事兼護衛をしております」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。ローナンも設立を手伝ってくれたのでしょう?ありがとう。皆さんに助けていただいて、私は幸せ者です」
「……そういって頂けますと光栄です。アルフォンス様は勝算のないことはやらない主義ですので、そういった意味でも勝算があった、ということでしょう」
(……勝算?なるほど!まあ、そうよね……)
私は一人納得した。
そうそう。
後から私以外の関係者は、今日が私の誕生日だって知っていることを知ることになる。
公然の秘密だったみたい。
(ベッドがふかふか過ぎるしね……!)
公爵家の侍女たちは本当に可愛し、優秀!
侯爵家とは雲泥の差。
(まあ、メイドしてる私が言うのもあれだけど……)
気が付いたら、侍女が着替えと朝食の準備をしてくれている。ちらっとみたところ、私の大好きなスコーンやマフィンとサラダや卵などが用意されていた。
「おはようございます。リリアーヌ様。アルフォンス様はお仕事のために既に出発されております。手紙を預かっておりますので、こちらに置かせて頂きます」
「……ありがとう」
早速手紙を開くと、几帳面な文字が飛び込んできた。
『親愛なるリリー
おはよう。
これからミスボス商会の設立の手続きをしてくるよ。
そして、お誕生日おめでとう。
俺と未来を共に歩むことを決めてくれてありがとう。
絶対に幸せになろう。
愛してるよ、リリー。
追記
昼までには戻るから、出かける準備をして待っていて欲しい。
孤児院の初日、楽しみだな。
レイ』
レイからの初めての手紙は、見ているだけで気持ちが明るくなった。
そっと手紙を綴じて誰にも見られないように折りたたむ。
手紙を読む私の表情を見て、侍女からはお食事の後はお支度、張り切りましょうと声をかけられる。
(……すべてお見通しか?!)
「あーん、美味しいっ!幸せ……!」
大好きなプレーンのスコーンに、たっぷりのクロテッドクリームを塗り、至福のひと時を過ごす。
焼きたてなんてなんと贅沢……。
(サラダのドレッシングも美味しい!シンプルなオイルベースが好きだからたくさん食べられそう……!)
普段の使用人レベルのご飯は、不味くはないが贅沢でもない。もちろん、温かいなんてこともほぼない。
「そんなに喜んでいただけると、シェフも喜びます」
侍女が微笑ましそうに私の食べっぷりを見つめていた。
「……ごめんなさい。淑女らしくなくて……」
「とんでもございません。こちらの公爵家に務めさせていただき長いのですが、アルフォンス様があんなにも楽しそうにされているのを初めて拝見致しました。失礼ながらどんな方なんだろうと思っていたのですが、とても素敵な方で安心致しました。こちらのマフィンも本日、シェフおすすめだそうですよ。いかがでしょう」
「……ありがとう。とても美味しそうね。でも、後で頂くわ」
侍女おすすめのブルーベリーが入ったマフィンもとても魅力的だったが、普段あまり食べないせいかお腹がほぼ一杯になってしまっていた。
「かしこまりました。では、一旦お食事を下げさせて頂きます。アルフォンス様のお戻りに合わせてお支度に参りますのでしばらくお寛ぎください」
テキパキと片付けを終えた侍女は部屋を早々に出て行った。時計を見るとすでに10時を過ぎている。
(……でもあんまりのんびりしていられない時間だ……)
そうこうしていると、先ほどのテキパキ侍女が今日のドレスを持って現れた。
「リリアーヌ様。アルフォンス様より、本日は街に行かれるそうで、町娘スタイルをと仰せつかっております」
(さすが、レイ!)
「……ありがとう。それで大丈夫よ」
いつもの私スタイルの町娘の衣装と違って、どことなく品のある造りのすみれ色のワンピースだった。
「髪型も髪を下して、少し巻く程度に致しましょう。メイクもシンプルにさせて頂きます」
私は久しぶりの貴族令嬢のもてなしに落ち着かないやら、慣れたいやらで不思議な感覚に陥っていた。ともあれ、あと数年してレイと結婚したら今度は侯爵になるのだ。
(やっぱり、慣れておかないとね……)
使用人気質がいつの間にか根付いてしまった私は、どう修正していくか考えあぐねていた。
ぼーっと考え事をしていると、テキパキ侍女のおかげですべて支度が完了していた。
「リリアーヌ様、そろそろアルフォンス様が到着されます。お出迎えに行かれますか」
「もちろん、出迎えさせて頂きますわ」
私は未来の妻として、笑顔で答えた。
◇◇◇
「ただいま、戻った」
「お帰りなさい、レイ」
レイの表情がどことなく明るい。上手くいったのだろう。
「無事、ミスボス商会は無事に設立することが出来た」
「ありがとう!あとで、オスカーにも感謝しなくちゃね」
「ああ、そうだな」
「支度は出来ているようだね。ちょっと着替えてくるから少しだけ待っていてくれ」
そういうとレイは自室に向かった。
玄関に取り残された私は先ほどの客室に戻ろうかと思っていたら、ローナンに声を掛けられた。
「リリアーヌ様、初めてご挨拶させて頂きます。ローナンと申します。アルフォンス様の執事兼護衛をしております」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。ローナンも設立を手伝ってくれたのでしょう?ありがとう。皆さんに助けていただいて、私は幸せ者です」
「……そういって頂けますと光栄です。アルフォンス様は勝算のないことはやらない主義ですので、そういった意味でも勝算があった、ということでしょう」
(……勝算?なるほど!まあ、そうよね……)
私は一人納得した。
そうそう。
後から私以外の関係者は、今日が私の誕生日だって知っていることを知ることになる。
公然の秘密だったみたい。
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