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逃避(リリー父目線)
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私は、ジョセフ・フォンデンベルグ。
妻であり、前侯爵の娘であったミシェリー・フォンデンベルグの夫で、現在、フォンデンベルグ侯爵領の代行をしている。
もともと伯爵家の三男だった私は、喜んで婿入りをした。政略結婚だった。
金髪碧眼でとても美しい氷の女神のようなミシェリー。
その見た目とは裏腹に、活発でしっかりとした天真爛漫な女性だった。
私は伯爵家でも特に平凡で、秀でた才能も能力もなかったが、女性の話を聞いたり、人とのコミュニケーションは三男ならではなのか苦になることなく、成長するにつれて処世術のようになっていった。
政略結婚ではあったが、仲が悪い夫婦ではなかった。
が、私にはずっとミシェリーに隠していたことがあった。
それは、侯爵家に婿入りし、侯爵の仕事の引継ぎの関係で領内視察に行った時のことだった。
領内の宿に宿泊し、夜に一杯飲んでから寝ようと宿の酒場に向かった。そこで、イザベラと出会ってしまったのだ。
今思い返せば、自分が侯爵家の人間であることを誰かから聞いていたのだろう。
飲んだグラスに薬が混ぜられていたに違いない。
朝目覚めたら、横に裸のイザベラがいた。
話を聞いたら、没落した子爵家の人間で、同情を誘う身の上だった。
私は何を勘違いしたのか、視察のたびに関係を持つようになった。
最初はか弱い乙女のような発言ばかりをしていたイザベラだったが、関係が進むにつれてドレスや宝石をねだるようになり、側室でもいいから侯爵家に入りたいと言うようになった。
婿入りの立場で側室の話を出来わけもなく、またイザベラを愛していたわけでもなかった私は、毎回適当にあしらっては別れていた。
そんなある日、妻が妊娠した。
跡取りが出来ると妻は大層喜んだ。私も同じく自分の子供が待ち遠しかった。
…はずなのだが、妻が妊娠すると程なくしてイザベラからも妊娠したと告げられた。かなりの衝撃だった。万が一のために避妊薬も飲ませていたのに、なぜ子供が出来たのか?疑問しかなかったが、妻にだけは知られるわけにいかなかった。
妻と同時期に妊娠している愛人がいると知って、お腹の子供に影響を与えるわけにはいかない。
私は妻の様子を見ながらも、イザベラが何か仕出かさないか気が気でなかった。
仕方なく、イザベラの言われるままに、別宅を構え、欲しいものは買い与えた。勿論、そのお金は侯爵家からの支出である。
当時は妻も妊娠していたため、ほぼ侯爵領域や侯爵家の仕事は私が取り仕切っていた。少しばかりお金を融通してもらっても問題ないだろう、と気が緩んでいたのもあった。
それは秘密裏に妻が亡くなるまで続けられた。
正直、私はそんな生活にうんざりしていた。
美しい妻と、妻に似た娘と幸せな家庭さえ築ければ良かった。
自分の心が弱いばかりに、問題をただ先送りにしただけだった。
そして、妻の死後ー。
待ってましたとばかりに、侯爵家に押し入ってきたイザベラと娘のエリアル。
もう侯爵家とも、イザベラともかかわり合いたくなかった。
だから、私は侯爵家を捨て、領地に引っ込んだ。
娘を残し、たった一人で。
そんな私の元に、サザーランド公爵家の執事と、隣国のミリオニアの使者から会いたいと連絡が入った。
近いうちに伺う、と。
勿論、拒否することは不可能だ。
(……イザベラが何かやらかしたか?)
あまり良い内容でないことだけは確かだろう。
弱い私は、もうこれ以上は逃げる場所すらなかった。
(これが報いなのか……)
まあ、なるようななるだろう。
私はもう、生きている楽しみすらないのだから。
妻であり、前侯爵の娘であったミシェリー・フォンデンベルグの夫で、現在、フォンデンベルグ侯爵領の代行をしている。
もともと伯爵家の三男だった私は、喜んで婿入りをした。政略結婚だった。
金髪碧眼でとても美しい氷の女神のようなミシェリー。
その見た目とは裏腹に、活発でしっかりとした天真爛漫な女性だった。
私は伯爵家でも特に平凡で、秀でた才能も能力もなかったが、女性の話を聞いたり、人とのコミュニケーションは三男ならではなのか苦になることなく、成長するにつれて処世術のようになっていった。
政略結婚ではあったが、仲が悪い夫婦ではなかった。
が、私にはずっとミシェリーに隠していたことがあった。
それは、侯爵家に婿入りし、侯爵の仕事の引継ぎの関係で領内視察に行った時のことだった。
領内の宿に宿泊し、夜に一杯飲んでから寝ようと宿の酒場に向かった。そこで、イザベラと出会ってしまったのだ。
今思い返せば、自分が侯爵家の人間であることを誰かから聞いていたのだろう。
飲んだグラスに薬が混ぜられていたに違いない。
朝目覚めたら、横に裸のイザベラがいた。
話を聞いたら、没落した子爵家の人間で、同情を誘う身の上だった。
私は何を勘違いしたのか、視察のたびに関係を持つようになった。
最初はか弱い乙女のような発言ばかりをしていたイザベラだったが、関係が進むにつれてドレスや宝石をねだるようになり、側室でもいいから侯爵家に入りたいと言うようになった。
婿入りの立場で側室の話を出来わけもなく、またイザベラを愛していたわけでもなかった私は、毎回適当にあしらっては別れていた。
そんなある日、妻が妊娠した。
跡取りが出来ると妻は大層喜んだ。私も同じく自分の子供が待ち遠しかった。
…はずなのだが、妻が妊娠すると程なくしてイザベラからも妊娠したと告げられた。かなりの衝撃だった。万が一のために避妊薬も飲ませていたのに、なぜ子供が出来たのか?疑問しかなかったが、妻にだけは知られるわけにいかなかった。
妻と同時期に妊娠している愛人がいると知って、お腹の子供に影響を与えるわけにはいかない。
私は妻の様子を見ながらも、イザベラが何か仕出かさないか気が気でなかった。
仕方なく、イザベラの言われるままに、別宅を構え、欲しいものは買い与えた。勿論、そのお金は侯爵家からの支出である。
当時は妻も妊娠していたため、ほぼ侯爵領域や侯爵家の仕事は私が取り仕切っていた。少しばかりお金を融通してもらっても問題ないだろう、と気が緩んでいたのもあった。
それは秘密裏に妻が亡くなるまで続けられた。
正直、私はそんな生活にうんざりしていた。
美しい妻と、妻に似た娘と幸せな家庭さえ築ければ良かった。
自分の心が弱いばかりに、問題をただ先送りにしただけだった。
そして、妻の死後ー。
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もう侯爵家とも、イザベラともかかわり合いたくなかった。
だから、私は侯爵家を捨て、領地に引っ込んだ。
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そんな私の元に、サザーランド公爵家の執事と、隣国のミリオニアの使者から会いたいと連絡が入った。
近いうちに伺う、と。
勿論、拒否することは不可能だ。
(……イザベラが何かやらかしたか?)
あまり良い内容でないことだけは確かだろう。
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(これが報いなのか……)
まあ、なるようななるだろう。
私はもう、生きている楽しみすらないのだから。
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