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やっぱり会社に行くのかな?と思っても、会社への道から外れてしまった。
「木佐さん?」
すると程なくして車はマンションの地下駐車場に入る。
「さ、降りて」
そう言いながら木佐さんはさっさと自分のシートベルトを外して降りてしまった。
降りてと言われても・・・。
躊躇していると木佐さんが前を回って助手席に来てドアを開けると、僕のシートベルトを外した。そうなるとさすがに降りざるをえなくて車から降りると、木佐さんは後部座席に置いた僕の荷物を手に取ってドアをロックする。
「さ、行こう」
片手に僕の荷物を持って、もう片手で僕の手を引く。そしてそのままエレベーターに乗ると12階を押した。
「ここ、僕のマンション。今日から君にはここに住んでもらうよ」
何となく、木佐さんのお家だとは思っていたけど、ここに住む?
びっくりして隣を見上げた僕に、木佐さんはかなり真剣な視線を送る。いつも笑っている人が笑ってないと、ちょっと怖い。
「君は一人暮らしだし、あそこに僕は入れない。昨日の今日でそんな顔色されたらこれから先、僕は心配でどうにかなってしまいそうだ。だから悪阻が治まるまででいいから、僕の目の届くところにいて欲しい」
突然のことにぽかんとしていると、エレベーターは目的階に着いてドアが開く。すると木佐さんは僕の手を引いたままエレベーターを降りて一番奥のドアの前まで来ると鍵を開け、そのドアを開いた。
「入って」
言われるままに中に入るものの、靴を脱いで上がるのを躊躇ってしまう。そんな僕に木佐さんは優しく背中を押す。
「いくら君が好きでも、悪阻で真っ青な妊夫さんを襲ったりしないから大丈夫だよ」
そう言われて見上げる木佐さんの顔にまた笑顔が戻っていて、僕は少しほっとする。
「さ、こっち。使ってない部屋があるからそこ使って。とりあえずすぐ使うものは今日買って来るから、あとは調子のいい時に君の部屋に取りに行こう」
そう言いながら僕をリビングに連れて行くとソファに座らせ、エアコンのスイッチを入れる。
「暖かくして身体を冷やさないように。この中は自由に見てもらって構わないから、遠慮しないで好きに使って。冷蔵庫の中身もね。食べられそうなら何か食べて」
そう言って一通り部屋の説明をしてくれた。僕の部屋はゲストルームのようでシングルベッドが置いてあり、そことは少し離れて木佐さんのベッドルームがある。
「部屋には鍵がついてないけど、妊娠中は発情期もないし、さっきも言ったけど妊夫さんを襲ったりしないから安心して。でも心配だったら鍵を買ってくるよ」
別にそこは心配してないけど・・・。
「あの、僕まだ一緒に住むって言ってませんよ?」
さっきからどんどん話が進んでいくけど、まだ承知した訳ではない。なのに、木佐さんはにっこり笑ってぽんぽんと僕の肩を叩く。
「ダメ。ここに住むんだよ。社長命令ね」
その言葉、さっきも聞きましたけど・・・。
「いくら社長でも、それは横暴ですよ?」
と一応言ってみるものの、何となく僕の意見は聞いてくれない気がする。
「そこまで木佐さんに甘える訳にはいきません」
木佐さんは利用してこき使えって言ってくれるけど、そこまでやってもらうのは申しわけない。こうやって朝迎えに来てもらうだけでもありがたいのに、いっしょに住むだなんて。なのに木佐さんはなんでもない事のように言う。
「僕は甘えて欲しいんだよ。それにね、昨日の今日でそんな顔色されたら僕の方が心配でたまらなくなる。君を家に送ったあと、ちゃんと無事でいるか、苦しんでないか、倒れてないか、気になって仕方がない。昨日だってちゃんと食べたの?」
僕はそれには答えられずに下を向く。
「こんなに心配して朝顔を見たら酷い顔色して・・・。僕のためにも、お願いだから僕の目の届くところにいて欲しい。だからって見返りなんか求めないから。あくまでも僕のためにそうして欲しい。それでもし僕のことを好きになり始めてくれたら、その時また改めて番とか結婚とかを申し込むよ。だから今は・・・」
僕は黙って木佐さんの言葉を聞いていたけど、思わず途中で口を挟んでしまった。だって・・・。
「番?」
今番って言った?
「そうだよ。僕は出来れば君と番って結婚して、正式にこの子の父親になりたいと思ってるんだ」
「木佐さん?」
すると程なくして車はマンションの地下駐車場に入る。
「さ、降りて」
そう言いながら木佐さんはさっさと自分のシートベルトを外して降りてしまった。
降りてと言われても・・・。
躊躇していると木佐さんが前を回って助手席に来てドアを開けると、僕のシートベルトを外した。そうなるとさすがに降りざるをえなくて車から降りると、木佐さんは後部座席に置いた僕の荷物を手に取ってドアをロックする。
「さ、行こう」
片手に僕の荷物を持って、もう片手で僕の手を引く。そしてそのままエレベーターに乗ると12階を押した。
「ここ、僕のマンション。今日から君にはここに住んでもらうよ」
何となく、木佐さんのお家だとは思っていたけど、ここに住む?
びっくりして隣を見上げた僕に、木佐さんはかなり真剣な視線を送る。いつも笑っている人が笑ってないと、ちょっと怖い。
「君は一人暮らしだし、あそこに僕は入れない。昨日の今日でそんな顔色されたらこれから先、僕は心配でどうにかなってしまいそうだ。だから悪阻が治まるまででいいから、僕の目の届くところにいて欲しい」
突然のことにぽかんとしていると、エレベーターは目的階に着いてドアが開く。すると木佐さんは僕の手を引いたままエレベーターを降りて一番奥のドアの前まで来ると鍵を開け、そのドアを開いた。
「入って」
言われるままに中に入るものの、靴を脱いで上がるのを躊躇ってしまう。そんな僕に木佐さんは優しく背中を押す。
「いくら君が好きでも、悪阻で真っ青な妊夫さんを襲ったりしないから大丈夫だよ」
そう言われて見上げる木佐さんの顔にまた笑顔が戻っていて、僕は少しほっとする。
「さ、こっち。使ってない部屋があるからそこ使って。とりあえずすぐ使うものは今日買って来るから、あとは調子のいい時に君の部屋に取りに行こう」
そう言いながら僕をリビングに連れて行くとソファに座らせ、エアコンのスイッチを入れる。
「暖かくして身体を冷やさないように。この中は自由に見てもらって構わないから、遠慮しないで好きに使って。冷蔵庫の中身もね。食べられそうなら何か食べて」
そう言って一通り部屋の説明をしてくれた。僕の部屋はゲストルームのようでシングルベッドが置いてあり、そことは少し離れて木佐さんのベッドルームがある。
「部屋には鍵がついてないけど、妊娠中は発情期もないし、さっきも言ったけど妊夫さんを襲ったりしないから安心して。でも心配だったら鍵を買ってくるよ」
別にそこは心配してないけど・・・。
「あの、僕まだ一緒に住むって言ってませんよ?」
さっきからどんどん話が進んでいくけど、まだ承知した訳ではない。なのに、木佐さんはにっこり笑ってぽんぽんと僕の肩を叩く。
「ダメ。ここに住むんだよ。社長命令ね」
その言葉、さっきも聞きましたけど・・・。
「いくら社長でも、それは横暴ですよ?」
と一応言ってみるものの、何となく僕の意見は聞いてくれない気がする。
「そこまで木佐さんに甘える訳にはいきません」
木佐さんは利用してこき使えって言ってくれるけど、そこまでやってもらうのは申しわけない。こうやって朝迎えに来てもらうだけでもありがたいのに、いっしょに住むだなんて。なのに木佐さんはなんでもない事のように言う。
「僕は甘えて欲しいんだよ。それにね、昨日の今日でそんな顔色されたら僕の方が心配でたまらなくなる。君を家に送ったあと、ちゃんと無事でいるか、苦しんでないか、倒れてないか、気になって仕方がない。昨日だってちゃんと食べたの?」
僕はそれには答えられずに下を向く。
「こんなに心配して朝顔を見たら酷い顔色して・・・。僕のためにも、お願いだから僕の目の届くところにいて欲しい。だからって見返りなんか求めないから。あくまでも僕のためにそうして欲しい。それでもし僕のことを好きになり始めてくれたら、その時また改めて番とか結婚とかを申し込むよ。だから今は・・・」
僕は黙って木佐さんの言葉を聞いていたけど、思わず途中で口を挟んでしまった。だって・・・。
「番?」
今番って言った?
「そうだよ。僕は出来れば君と番って結婚して、正式にこの子の父親になりたいと思ってるんだ」
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