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「木佐さんへの好きは、この子の父親への好きと違いますよ?それに両方だなんて・・・」
「いいんだよ。どういう意味でも僕のこと好きでしょ?だったら利用していいよ」
「利用・・・て・・・」
「僕の君への思いを利用して僕をこき使って構わないって言ってるんだ。辛い時に呼んだり、病院への足に使ったり、買い物に行ったり・・・ま、とにかくなんでも、僕に頼んで」
そんな、利用してこき使うなんて・・・。
「できません。そんなこと・・・」
「いいんだ。僕がそうしたいんだ。君を助けたい。力になりたい。そして、そうしてるうちに僕を好きになってもらえたらラッキー」
木佐さんはにっと笑って僕の頬を拭う。また涙が流れていた。だって僕も、同じことを・・・。
「・・・僕もそう思ってました。だけど、僕は好きになってもらえなかった。だから、僕も木佐さんのこと・・・」
好きにならないかもしれない。
「だから、それでもいいんだよ。ダメでもともと。君に見返りは求めない。僕がそうしたいだけ。君はただ、僕に尽くされていればいいんだ」
にこにこ笑って涙を拭ってくれるその手が優しい。
ああ、この人も優しい人だ。どうして僕の傍には優しい人しかいないのだろう。だけどこの人は、僕を好きだと言ってくれる。
甘えていいのかな・・・?
「甘えてくれていいよ。その方が僕もうれしい」
僕の心を読んだ様なその言葉に、僕の心が揺らぐ。
「罪悪感なんて感じなくていい。僕が弱っている君につけ込んでるんだから。むしろ僕の方が罪悪感を抱かなきゃね」
優しい木佐さん。
僕を悪者にしない。
僕は無意識に木佐さんの手を取り、頬に当てた。
「ありがとうございます」
涙が止まらなかった。
「さ、話は終わり。今日はゆっくり休むといい。明日迎えに来るから、支度して待ってて。もし体調が悪くなったらすぐ連絡するんだよ」
そう優しく言うと、車のドアを開けてくれた。
「今日は本当にありがとうございました」
僕はそうお礼を言うと、マンションに入った。本当は木佐さんを見送りたいけど、きっと優しい木佐さんは僕が入るまで帰らない。だから僕はそのままエントランスへ入っていった。
胸のむかつきは大分治まったけど、まだもやもやしている。
本当は何か食べた方がいいんだけど、とても食欲がわかない。医師は赤ちゃんは必要な栄養は勝手に摂ってるから無理に食べなくてもいいって言ってたけど・・・。
今日は食べなくても大丈夫かな?
僕は夕食をやめてお風呂の支度を始めた。
温かいお湯に浸かると、身体のありとあらゆる力が抜けていく。
気持ちいい。
手足を伸ばすほど広い浴槽ではないけれど、僕はお湯の中でくったりする。そしてふとお腹を見るけど、そこはまだぺったんこ。でもここに、赤ちゃんがいるんだ。
なんだか不思議。
まだ外からは分からないしエコーで見ても白い点なのに、力強い心音を響かせ、僕を涙脆くさせて、気持ち悪くさせる。
でもこの変化は、確かにここに赤ちゃんがいることの証であり、僕の身体が赤ちゃんのために変わろうとしているんだ。そう思うと、この気持ち悪さもがまんできる。
僕もがんばるから、赤ちゃんもがんばってね。
僕はまだぺったんこのお腹を撫でた。
相変わらず胸はもやもやするけど心はとてもふわふわして、きっとこれが幸せなんだ、としみじみ噛み締めながら、その日はゆっくりお風呂に浸かってベッドに入ったけれど、次の日の朝、気持ち悪さで目が覚めると、早くも心が萎え始める。
昨日のお昼から何も食べてないのも原因かも、と、とりあえず家に常備してある食パンをかじって出勤の準備を始めるも、気持ち悪さは一向に治まらず、そのまま迎えに来てくれた木佐さんの車に乗った。
「大丈夫かい?水森くん」
木佐さんは僕の顔を見るなり、驚いたように訊いてくる。
そんな、開口一番で心配されるほど僕の顔は酷いのだろうか?
「大丈夫ですよ」
そう言って笑ってみたものの、木佐さんはじっと僕を見る。
「いや、ダメだ。今日は仕事を休むこと」
「大丈夫です。仕事はできます」
こんなことで仕事を休むなんて出来ない。悪阻は病気じゃないんだから。
「ダメ。社長命令」
そう言ったのに、車のエンジンをかける木佐さん。
「どこに行くんですか?」
てっきり車から下ろされて家に帰されるのかと思ったのに。
「いいんだよ。どういう意味でも僕のこと好きでしょ?だったら利用していいよ」
「利用・・・て・・・」
「僕の君への思いを利用して僕をこき使って構わないって言ってるんだ。辛い時に呼んだり、病院への足に使ったり、買い物に行ったり・・・ま、とにかくなんでも、僕に頼んで」
そんな、利用してこき使うなんて・・・。
「できません。そんなこと・・・」
「いいんだ。僕がそうしたいんだ。君を助けたい。力になりたい。そして、そうしてるうちに僕を好きになってもらえたらラッキー」
木佐さんはにっと笑って僕の頬を拭う。また涙が流れていた。だって僕も、同じことを・・・。
「・・・僕もそう思ってました。だけど、僕は好きになってもらえなかった。だから、僕も木佐さんのこと・・・」
好きにならないかもしれない。
「だから、それでもいいんだよ。ダメでもともと。君に見返りは求めない。僕がそうしたいだけ。君はただ、僕に尽くされていればいいんだ」
にこにこ笑って涙を拭ってくれるその手が優しい。
ああ、この人も優しい人だ。どうして僕の傍には優しい人しかいないのだろう。だけどこの人は、僕を好きだと言ってくれる。
甘えていいのかな・・・?
「甘えてくれていいよ。その方が僕もうれしい」
僕の心を読んだ様なその言葉に、僕の心が揺らぐ。
「罪悪感なんて感じなくていい。僕が弱っている君につけ込んでるんだから。むしろ僕の方が罪悪感を抱かなきゃね」
優しい木佐さん。
僕を悪者にしない。
僕は無意識に木佐さんの手を取り、頬に当てた。
「ありがとうございます」
涙が止まらなかった。
「さ、話は終わり。今日はゆっくり休むといい。明日迎えに来るから、支度して待ってて。もし体調が悪くなったらすぐ連絡するんだよ」
そう優しく言うと、車のドアを開けてくれた。
「今日は本当にありがとうございました」
僕はそうお礼を言うと、マンションに入った。本当は木佐さんを見送りたいけど、きっと優しい木佐さんは僕が入るまで帰らない。だから僕はそのままエントランスへ入っていった。
胸のむかつきは大分治まったけど、まだもやもやしている。
本当は何か食べた方がいいんだけど、とても食欲がわかない。医師は赤ちゃんは必要な栄養は勝手に摂ってるから無理に食べなくてもいいって言ってたけど・・・。
今日は食べなくても大丈夫かな?
僕は夕食をやめてお風呂の支度を始めた。
温かいお湯に浸かると、身体のありとあらゆる力が抜けていく。
気持ちいい。
手足を伸ばすほど広い浴槽ではないけれど、僕はお湯の中でくったりする。そしてふとお腹を見るけど、そこはまだぺったんこ。でもここに、赤ちゃんがいるんだ。
なんだか不思議。
まだ外からは分からないしエコーで見ても白い点なのに、力強い心音を響かせ、僕を涙脆くさせて、気持ち悪くさせる。
でもこの変化は、確かにここに赤ちゃんがいることの証であり、僕の身体が赤ちゃんのために変わろうとしているんだ。そう思うと、この気持ち悪さもがまんできる。
僕もがんばるから、赤ちゃんもがんばってね。
僕はまだぺったんこのお腹を撫でた。
相変わらず胸はもやもやするけど心はとてもふわふわして、きっとこれが幸せなんだ、としみじみ噛み締めながら、その日はゆっくりお風呂に浸かってベッドに入ったけれど、次の日の朝、気持ち悪さで目が覚めると、早くも心が萎え始める。
昨日のお昼から何も食べてないのも原因かも、と、とりあえず家に常備してある食パンをかじって出勤の準備を始めるも、気持ち悪さは一向に治まらず、そのまま迎えに来てくれた木佐さんの車に乗った。
「大丈夫かい?水森くん」
木佐さんは僕の顔を見るなり、驚いたように訊いてくる。
そんな、開口一番で心配されるほど僕の顔は酷いのだろうか?
「大丈夫ですよ」
そう言って笑ってみたものの、木佐さんはじっと僕を見る。
「いや、ダメだ。今日は仕事を休むこと」
「大丈夫です。仕事はできます」
こんなことで仕事を休むなんて出来ない。悪阻は病気じゃないんだから。
「ダメ。社長命令」
そう言ったのに、車のエンジンをかける木佐さん。
「どこに行くんですか?」
てっきり車から下ろされて家に帰されるのかと思ったのに。
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