さかなのみるゆめ

ruki

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僕だけが一方的に智明を好きになってしまったことが惨めに思えて、ずっと言えなかった思いをいま言わなければならないのか・・・。

「なんで、教えてくれなかったんだ?」

もう一度の問いかけに、僕は智明を見た。

苦しそうな辛そうな顔。
いつも笑っていた智明の顔は苦痛に歪んでいる。

なにも言わない僕に、智明は顔をさらに歪ませて両手で顔を覆い、そばにあった椅子に座った。

「・・・子供が出来たことを言いたくないくらい、佐奈は僕が嫌いなんだね」

それは小さなつぶやきだった。
ともすれば聴き逃してしまうくらい小さなその声は、だけど、僕の胸に突き刺さる。

嫌い?

「これは罰だ。あの時、佐奈がスマホを忘れたのに気づいていたのに何も言わなかった僕への罰なんだ」

あの時?
スマホ?

それは僕達の最初の時のこと?

「あの時すぐにスマホを佐奈に渡してあげていれば、佐奈は戻ってこなかったし、あんなことにはならなかった。佐奈の心も身体も傷つけることは無かったんだ」

「・・・どういうこと?」

智明は何を言ってるの?

胸がどきどきする。

「スマホを口実に、佐奈と二人で会いたかった。そんな浅はかな考えをしたから、僕はバチが当たったんだ」

顔を覆ったまま身体を小刻みに震わす智明の姿に、僕の頭は停止する。

「・・・ずっと好きだったんだ。佐奈のこと。幼稚園で最初に会った時から」

幼稚園・・・。

最初に智明に会ったのは幼稚園の入園式。
それは僕も覚えている。

『三守』と『水森』。
出席番号順に並んだ席で、僕達は初めて親元を離れて子供だけで座ってたんだ。その時、僕は新しく始まる生活にわくわくしてたけど、隣の子・・・智明は怖い顔して固まってた。
だから僕は、今にも泣きそうな智明の手を握ったんだ・・・。

「『大丈夫だよ』・・・そう言って笑った佐奈を見た時から、僕の心にはずっと佐奈がいた。あの年少の時以外同じクラスになることはなくて、佐奈は僕のことを忘れてしまったみたいだったけど、だけど僕はずっと佐奈が好きだった。だから中学で同じクラスになった時は本当にうれしくて・・・」

年少のころ、確かに同じクラスだった。だけど仲良くなるわけでもなく、クラスが別れたらそのままだった。その後も同じ小学校になったけど、一度も同じクラスにはならず、話すこともなかった。

「ずっと好きだった。だから同じクラスになって、共通の友達がいることが分かった時は本当にうれしくて、そいつにくっついて佐奈と仲良くなれた。だけど、いつまで経ってもグループの一人としてでしか話すことが出来なくて、僕は焦ってしまったんだ。卒業したら高校は別だ。また他人に戻ってしまうって」

智明のその震える声に、僕の心がついて行かない。何を言っているのか、聞こえているのに理解ができない。

「佐奈がスマホを忘れた時、チャンスだと思った。これを届ける口実に二人で会える。そして卒業後も会えるように話をしよう。そう思ったんだ。だからすぐに佐奈が戻ってきても、僕はどうにか佐奈を引き留めようと思ってた。そしてそれに成功して・・・」

僕は発情ヒートしてしまった。

「僕は最低なんだ。発情した佐奈が動けないのを分かっていて、僕は佐奈を押さえつけて無理やり・・・!」

あの時、不意に発情したオメガに巻き込まれたアルファ智明
智明だって発情ラットを起こしていた。仕方がなかったことだ。

「あの時、佐奈は泣いて叫んでいた。『やめて』『離して』『許して』。力が入らないはずの手を必死に動かして僕を押し返そうとしていたのに、僕はそれを力で押さえ込んで佐奈を犯したんだ。それで完全に発情にのまれた佐奈は無抵抗になり、父親に引き離されるまで僕は佐奈を犯し続けた」

・・・覚えていない。
発情した智明に恐怖を覚えたところで僕の記憶は途切れている。その後は切れ切れで、確かに智明を受け入れていたのは分かっているけど・・・。

「抑制剤を打たれて正気に戻った時、佐奈の酷い姿が目に入った。服を裂かれて裸に剥かれた佐奈の白い肌はところどころが赤く腫れ、そして下肢には凌辱の跡が・・・」

智明の声に嗚咽が混ざる。
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